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おっさんの異世界生活は無理がある。

祐一

第82話

さて、旅行計画書を見てみると俺達も色々とやらなきゃいけない事があるらしい。

まずはミューズの街までの馬車の予約。貴族用の馬車の車輪は街道などの整備された道を走る為に作られているので、悪路などには耐えられないから遠出は出来ないらしい。だから自分達で馬車の予約をする必要があるんだとさ。
まぁそれも、旅行の思い出ですってマホなんかは楽しんでいるから良いだけど。

何て呑気に考えていたら予約時にちょっとした問題が起きた。まぁ本当にちょっとした事で、ミューズの街まで行く4人乗りの馬車が既に満席だった事だ。
なので仕方なく5人乗りの馬車を予約する事にした・・・はぁ、これで旅行当日は見知らぬ誰かと一緒だという事がほぼ確定したって事だよなぁ・・・何だろう、
仲良しグループに放り込まれてしまった修学旅行を思い出してきた・・・!

・・・次にやらなくてはいけない事は、王都で1泊する宿屋の予約だ。まぁこれはかなり楽に終わったけどな。何故かというと、宿屋の予約が出来る店が街にあったからだ。少しだけ値段は上乗せされるが、行き当たりばったりで宿屋を探さなくていいから凄い助かる・・・らしい。俺も使ったのは初めてだからよく分かんないけど。
やっぱゲームみたいにいつでも空いてる宿屋ってのは無いもんだね。

そんなこんなで色々と準備をしていたら、あっと言う間に旅行当日を迎えた。
そして朝早くに荷物の入ったバッグを持って家を出でると、集合場所である街の入口に向かった。

「おぉ・・・朝早いってのに働いてる人多いな・・・って、え?」

目的地に辿り着いた俺が見た物は、屈強な男達が数多くある馬車に荷物を運ぶ姿
だった・・・何故だか全員タンクトップ姿で笑顔を浮かべてな・・・何なんだ、
そんなに筋肉が見せたいのか??全く持って意味が解らん・・・

「うわぁ、凄いですよおじさん!筋肉モリモリの男性たちが大きな荷物を軽々しく運んでいます!あっちでは大きな石像を運んでます!ほら見てくださいよ!」

興奮したマホが俺の裾を引っ張りながら男達にキラキラした視線を送っていた。
だが俺はマホの言葉を軽くスルーすると、並んでいる10台近い馬車の列を見渡して話題を変える事にした!

「てか、それよりも俺達が乗る馬車はどこなんだ?こうも馬車が多いと探すの苦労
しそうなんだが。」

きょろきょろと馬車の列を見ていると、隣に立っていたロイドが荷物を置いて話しかけてきた。

「ふむ、それなら列の後方だろうね。」

「え、分かるのか?」

「あぁ、馬車の並びには順序が定められていてね。前の方が荷物の積まれた馬車、
そして後方には私達の様な旅行者の為の馬車が並んでいるだ。そして一番前と中央、最後尾には護衛が乗る馬車があるんだ。」

「はぁーなるほどね。じゃあとっとと馬車を探すとするか。」

俺達が馬車の列の後方に移動を始めようとしたその時、列の前方から見知った顔がこっちに向かって歩いて来た・・・!?

「えっ、アリシアとシアンか?」

突然現れた姉妹の名前を思わず口に出してしまうと、2人は微笑みながら会釈をして俺達の前にやって来た。

「皆様、おはようございます。」

「おはようございます。」

「あ、あぁおはよう・・・え、何でここに居るんだ?」

「うふふっ、2人でお見送りにまいりましたの。」

「そうなのか?・・・わざわざ悪いな。」

「いえいえ。あ、私達が用意した旅行計画書はお気に召しましたでしょうか?」

アリシアさんが微笑みながらそう聞いてくると、隣に居たマホがアリシアさんに
近づいていった。

「勿論ですよ!あれで気に入らないはずはありません!」

「あら、それなら良かったですわ。シアンと一緒に考えたかいがありますわ。」

「え、シアンも一緒に考えてくれたのか?」

「はい!色々と考えました!勿論、エリオ様やカレン様もご一緒に!」

「おや、そうなのかい?」

「えぇ、色々と助言を頂きましたわ。最初考えていたプランでは、馬車も宿も全部
こちらで予約しようかと考えていましたの。ですが『旅行は事前の準備も楽しめるから、そこを奪うのは勿体ないよ。』と、言って頂きましたのでその意見を取り入れて計画書を作り上げました。」

「あぁ、だから俺達の準備についても書かれてたのか。まぁ確かに準備も楽しめたっちゃあ楽しめたかな。馬車に関しては一瞬ヒヤッとしたが。」

「あぁ、それについては申し訳ありません。予約票を確認した時は空いていたのですが、計画書をお渡しした当日に急に予約が舞い込みまして。」

「・・・予約票?」

さらっと言われた言葉の意味が理解できなかったので、俺は思わずアリシアさんに聞き返していた。すると彼女はきょとんとした後にロイドに視線を送った。

「あら、ロイドさんおっしゃっていませんの?」

「ん?何をだい?」

「いえですから、我が家の商会の仕事について。」

「・・・あぁ、そう言えばすっかり言うのを忘れていたね。」

「そうなんですの?では、改めてご紹介させて頂きますね。」

アリシアさんはごほんと咳払いをすると、馬車の列をずらっと見渡してこっちを見てきた。

「こちらに並んでいる馬車は全て、父の商会の物ですの。」

「「・・・・えええええ?!」」

俺とマホは同時に驚きの声を上げていた!その瞬間、屈強な男達が怪訝な顔で俺達を見てきたがそれはどうでも良くて!

「こ、この馬車全部がアリシアさんの・・・?」

「まぁこれでも一部ですがね。」

「い、一部って・・・あの、アリシアさんのお家ってどんなお仕事しているんですか?」

「そうですわね・・・簡単に言えば、物や人を街から街へ運ぶお仕事ですわね。」

・・・マ、マジでか・・・え、じゃああの馬車の予約をした所もアリシアさんの所の商会が取り仕切ってるって事だよな?え、しかもこれで一部って・・・どんだけ
金持ちなんだ?・・・なんて考えている時、俺の中で何かが閃いた。

「・・・もしかして、その仕事の関係で高級ホテルに泊まれるのか?」

「えぇ、その通りですわ。九条様達にお渡ししたチケットは、ホテルから私達家族に送られてきた物ですの。そちらのホテルには、昔から我が商会が荷物を運び入れていますから」

その言葉を聞いて、マホがアリシアさんの事を見上げながら驚き戸惑っていた。

「え、それって貰っちゃっていいんですか?ご家族で行く為の物なんですよね?」

「勿論かまいませんわ。父も母も私を助けて下さったお礼に是非とも使って欲しいと言っていましたから。」

「そ、そうなのか・・・じゃあ有難く使わせてもらうよ。ご両親によろしく言っておいてくれ。」

「かしこまりました。父と母にしっかりと伝えておきますわ。」

アリシアさんが微笑みながら了承してくれたその時、馬車の列から屈強な男達が離れ始めた。

「そろそろ出発するぞぉ!馬車に乗る人は乗り遅れない様に注意してくれ!」

野太い声が街の入口に響き渡ると、周囲の人達が荷物を持って馬車列の後方に移動を始めた。

「あら、そろそろ時間の様ですわね。」

「そうみたいだな。俺達も急いで馬車に乗らないと。」

俺達は地面に置いていた荷物を手に取ると、改めてアリシアさんとシアンに向き直った。

「アリシアさん、シアンちゃん、色々とありがとうございました!お二人のおかげでとっても楽しい旅行になりそうです!」

「そう言って頂けると嬉しいですわ。ね、シアン。」

「はいとっても!あ、マホちゃん!帰ってきたら感想を聞かせてくださいね?楽しみにしていますから!」

「了解です!いっぱい思い出を作ってきますので、帰ってきたらお聞かせします!」

マホとシアンは互いに手をギュッと握ると笑顔で顔を見合わせていた。

「アリシアさん。本当にありがとうね、この旅行楽しませてもらうよ。」

「はい。ロイドさんにはこれまで大変失礼な行いを散々してしまいましたので、
これでお詫びとなるか分かりませんが是非とも楽しんできてください。」

「ふふっ、気にしないでくれ。色々あったが、アリシアさんは私のライバルだからね。これからも私に挑んでくれると嬉しいな。」

申し訳なさそうにロイドを見るアリシアさんだったが、ライバルと言われてハッとするとその表情は明るく変わっていった。

「・・・えぇ!ではこれからも、ライバルとしてよろしくお願いしますわ!」

「勿論。どんな事にも負けるつもりは無いけどね。」

「ふふっ、いつかその鼻を明かして見せますわ!」

・・・完璧に蚊帳の外になった俺とソフィは荷物を持ちながら、互いの顔を見合わせていた。

「・・・私達もライバルになる?」

「いや、俺が勝てるビジョンが見えないのでやめとこう。」

「そう?一度勝ったのに。」

「あれからソフィも成長してるからなぁ。ライバルとして俺は力不足だよ。」

「・・・そんな事無いのに。」

「ふっ、ありがとよ・・・よし!じゃあそろそろ馬車に乗るとするぞ。人もだいぶ
減って来たしな。」

周りを見渡すと既にほとんどの人が馬車に乗り込んでいて、外に居るのはごく数人となっていた。

「では、皆様お気をつけて。」

「いってらっしゃいです!」

俺達はアリシアさんとシアンに手を振って見送られると、列の後方に向かって行った。どの馬車かと探していると、一番後ろ手前の馬車の前に御者の人が立っていて
大きく手を振って来た。

「お客さーん!そろそろ出発しますから、急いでくださーい!」

そう言われた俺達は小走りになりながら馬車に向かうと、御者の人が笑顔でお辞儀をして来た。

「お待ちしておりました。それでは馬車の乗車券を確認させて頂いてもよろしいですか?」

「はい、お願いします。」

俺達はポケットから乗車券を取り出すと御者の人に手渡した。御者の人が券を確認している間で馬車を眺めていたんだが、やっぱり貴族が乗るような馬車よりも質素
だよな。天井も側面も布製だし床も木がむきだしてるしな・・・尻が痛くならなきゃいいけど。

「・・・はい。それでは確認が終わりましたので、荷物を持って後方からお乗りください。既にお1人様ご乗車済みですのでお早めにお願いします。」

「分かりました。じゃあ、行くか。」

荷物を持って後ろに向かっている時、マホがぴょんぴょんしながら俺の事を見てきた。

「おじさん、一緒に行く人ってどんな人なんですかね?」

「さぁな、会ってみれば分かるだろ。」

「うーん、ですよね・・・何だかドキドキしてきました!」

・・・俺的には、チャラい若者とか態度がでかいおっさんとかじゃなければ誰でも良いんだけどな。そんな事を考えながら馬車の後ろに辿り着いた俺達は、乗り込む為の布をめくった。すると先に乗車していた人と目が・・・合ったんだが・・・

「あっ、どうもおはようございます。」

・・・そこには綺麗で可愛いおっとり系の大人の眼鏡美人さんが座っていて、
こっちを見て優しく微笑んでいた。

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