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おっさんの異世界生活は無理がある。

祐一

第79話

おっと危ない危ない・・・色んな事が急に起こって軽くフリーズしちまった。

「え、えっと・・・どういたしまして・・・」

何とか脳を再起動した俺は、恐る恐る頭を下げた。その時、隣に居たマホが俺の顔を不思議そうな表情で覗き込んで来た。

「おじさん?何を戸惑っているんですか?」

「いや、礼とか言われ慣れてないからどう反応して良いのか・・・」

「・・・え、そんな感謝されて生きてこなかったんですか?」

「うん、正直怒られてる確率の方が圧倒的に高い。だから謝罪もお礼も経験不足過ぎてどうして良いのか・・・・」

「はぁ・・・・おじさん、もうちょっと人に感謝されるように生きてくださいね?」

「そう言われてもなぁ?」

「あ、あの、私なにかご迷惑な事を言ってしまいましたか・・・?あぁいえ!そういう事を言ったという事は自覚しているのですが!先ほどのお言葉で何かご迷惑をかけてしまいましたでしょうか?」

マホのやり取りを聞いていたアリシアさんが、突然体をグッと寄せてきて俺の事を見上げてきた!俺は後ろに後ずさりながら何とか距離を取る!

「かけてない!ご迷惑なんて全然かけてないから!」

「な、ならばどうして離れていきますの?やはりご迷惑を!」

「いや、こっちにも色々ありまして!と、とりあえず助けてくれマホ!」

後ずさった結果テーブルに足が当たってしまい逃げる事が出来なくなった俺は必死になってマホに助けを求める!するとマホは呆れながら首を横に振ってこっちに歩いて来た。

「はぁー分かりましたよ。おじさんは可愛い女の子に免疫が無いので、こんなに近づかれたら死んじゃいますもんね!・・・と言う事で、申し訳ありませんが少しだけ離れてもらっても良いですか?」

俺とアリシアさんの間に入ったマホは、申し訳なさそうに彼女を見上げていた。

「あ、は、はい・・・そういう事でしたら・・・」

アリシアさんはマホの言葉を聞くと早足にすすすと元の位置に戻って行った。

「お姉様、どうかなさいました?お顔が赤いような・・・」

「な、何でもありません!あの、何でもありません・・・」

「んー・・・・?」

シアンに何かを聞かれたアリシアさんは大声を上げるとそのまま顔を覆って下を向ていしまった。何があったのか気にはなるが、とりあえず・・・

「はぁ、ありがとうなマホ・・・」

「はぁ、って言うかいい加減に女の子に慣れて下さいよ。」

「いやぁ・・・それに関してはもう、諦めの境地に入ってるかなぁ。ははは・・・」

乾いた笑いを浮かべながら俺達も戻って行くと、エリオさんが机の上で手を組みながら口元に笑みを浮かべていた。

「はっはっは、九条さんはどうやら女性には不慣れの様ですね。」

「あはは、そう言う経験が今まで皆無だったもので・・・お恥ずかしい限りです。」

気恥ずかしさから苦笑いを浮かべていると、カレンさんがこっちを見ながら優しく微笑んでいた。

「ふふっ、恥ずかしがる事なんてありませんよ。」

「どうも、そう言って頂けると助かります。」

カレンさんにお礼を言って小さく頭を下げた直後、エリオさんが手を叩いて大きな音を鳴らすと俺達の事を見渡してきた。

「さて、それではそろそろ本題に入りましょうか。」

「本題って言うと、手紙に書いてあったお礼の事かい?」

隣に居たロイドがそう尋ねると、エリオさんはゆっくりと頷いた。

「あぁその通りだ。それで、何かリクエストなどはありますか?何かあれは私達が
全力でその望みを叶えさせてもらいます。」

「リクエスト・・・ちょっと待ってもらって良いですか?少し話しあいたいんで。」

「えぇ、大丈夫ですよ。」

エリオさんに許可を貰った俺は、皆を連れて部屋の隅に移動するとお礼の品について話し合いを始めた。

「んで、何かリクエストあるか?」

「そういうおじさんは何かないですか?」

「いやーだって金はそこそこあるだろ?んで、武器も良いのが手に入った。
ってなると、特に思い浮かばないんだよなぁ・・・高い物が欲しい訳でもないし。」

「物欲無いですね。」

「いや、多分発想が貧困なんだよ。それで、何かないか?マホは?」

「私ですか?うーん・・・前にも言いましたが高級なお肉とか?」

「いやぁ、それって勿体なくね?食ったら終わりだぞ?」

「そうですよねぇ。私も改めて考えると、お肉は勿体無い気がします。」

「だよなぁ・・・ロイドは?何かあるか?」

「私かい?特には無いかな。欲しい物は大体手に入るからね。」

「ははは、流石貴族の娘さん。言う事が違うぜぇ・・・ソフィは?前言ってた
武器か?」

「それはもう良い。手に入ったから。」

「・・・それ俺武器だよな。」

「うん。時々使わせてくれればいい。」

「まぁそりゃ別に良いけどさぁ・・・うーん・・・」

どうした物かと頭を悩ませている俺の脳内に、突然抽選会の事がフラッシュバックした・・・あぁ、これなら丁度いいかもな。

「よし、決まった。」

「え、お礼のリクエスト決まったんですか?」

「あぁ、つっても単なる思い付きだけどな。」

「まぁ、何も思いつかないよりマシじゃないか?それでどういった物なんだい?」

「いや、物じゃなくてさ。」

「物じゃない?」

「あぁ、実はさ・・・」

それから俺は、自分の脳内で思いついた事を簡単に教えてた。すると、皆が納得した感じで頷いてくれた。

「おじさん、いいアイデアですね!それでOKです!」

「うん、私もそれで良いと思うよ。」

「それが実現したら楽しみ。」

「よし、じゃあ決定だな。」

俺は全員の同意を受けて元いた場所に戻ると、穏やかに微笑むエリオさんの前に立った。

「どうやら、リクエストの内容が決まったようですね。」

「えぇ、一応。」

「じゃあ、教えてもらってもよろしいですか?」

「分かりました。えっと、リクエストなんですけど・・・全員で旅行がしてみたいんですけど・・・」

「旅行、ですか?」

「はい。今回色々あって疲れたので、慰安旅行でもどうかなーって思いまして・・・どうですかね?これって大丈夫ですか?」

内心ビクつきながら訪ねると、エリオさんは大きく頷いてくれた。

「えぇ、勿論です。どこか旅行先に希望はございますか?」

「いや、正直そう言う事には疎くて・・・お任せしてもいいですか?」

「はい、問題ありませんよ。それでは旅行先やその他諸々の事は、こちらで手配しておきますね」

「あ、あの、ちょっとよろしいですか?」

突然、俺達の話しを聞いていたアリシアさんが大きな声を上げてエリオさんの事を見た。

「おや、どうかしましたか?」

「えっと、その旅行の件・・・私達がお手伝いしてもよろしいですか?」

「お願いします!お姉様と一緒にお手伝いさせてください!」

突然、今まで俺達の話を聞いていたアリシアさんとシアンが身を乗り出すように
エリオさんにそう言った。俺は不思議に思いながら、アリシアさんに話しかけた。

「あの、一体どうして?」

「えっ!?あ、その・・・ご迷惑をかけたお詫びにと・・・ダメ、でしょうか?」

「ダメですか?」

美少女姉妹は潤んだ瞳で俺の事をジッと見てきた・・・うん、断る理由とか特にないよな?そう思って皆をチラッと見ると、小さく頷いていた。なので俺は笑顔でその提案を受け入れる事にした。

「いや、ダメなんて事はないさ。それじゃあこっちからもお願いしても良いか?」

「はい!お任せください!皆様が心から楽しめる様な旅行を全力で準備いたしますわ!」

「あ、お姉様!それじゃああそこはどうでしょうか!毎年行くあの街とか・・・」

「あら、それはいいアイデアよ!流石シアンね!」

「えへへー!それじゃあ楽しみにしていてくださいね!」

「こうしてはいられませんわ!早速準備にかからないと!それじゃあ私達はこれで失礼いたしますわ!おーっほっほっほ!」

「おーっほっほっほ!」

さっきまでの大人しいお嬢様はどこへやら・・・姉妹は高笑いをしながら部屋から出て行ってしまった。

「おやおや、これは楽しい旅行になりそうだね。」

「・・・若干の不安を覚えるがな。」

「でも、どんな旅行になるのか楽しみです!全然詳細を話してくれませんでしたから!」

「あ、そう言えば!」

「・・・後のお楽しみ?」

「そう言う事に、なるのかなぁ・・・はぁ・・・」

「これは、私達も忙しくなりそうだな。」

「えぇ、そうですね。」

俺達を置いて行ってしまった姉妹の事と、軽い気持ちで言った旅行がどう言う物になるのか・・・期待と不安を半々に抱えながら、俺は苦笑いを浮かべる事しか出来なかった。

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