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おっさんの異世界生活は無理がある。

祐一

第74話

エリオさんから手紙を貰った翌日、俺は自室でアイテム整理を行っていた。
最近ちっとも整理できてなかったから、ポーチが重くなってきてたんだよな・・・

「えっと、これが使い終わった傷薬で・・・これが、期限切れの煙玉・・・いつか使うかもって思ってたが、結局使わなかったな。」

まぁいい、後で庭先で投げてみるか・・・煙出るかもしれないし。こんな感じで
アイテム整理を進めていくと、ふと置いてある冒険者カードが目に入った。何となく手に持って冒険者カードを起動してみると、赤く点滅しているアイコンが目に入った。

「ん?何だこれ?」

気になってタッチして見ると【引き換え期限:本日まで】と、カードにデカデカと表示された・・・ってこれ!

「やべっ、忘れてた!」

俺は部屋着から急いで外着に着替えるとリビングに向かった。リビングではマホとロイドがボードゲームを遊んでいて、ソフィが読書をしていた。

「あれ、ご主人様お出かけですか?」

俺がリビングに入って来た事に気づいたマホが、こっちを見てそう聞いて来た。

「ちょっとな、実は加工屋に武器を預けてたのを忘れててな。引き換えの期限が今日までだったから、受け取りに行ってくる。」

「そうなんですか?じゃあ私も一緒にお出かけします!」

「え?いや、別に武器を取りに行くだけなんだけど?」

「まぁそう言わずに!すいませんロイドさん、また後で一緒に遊んでください!」

「了解、また後でね。」

ロイドの返事にマホは笑顔を浮かべると、ゲームを中断してリビングを出ていった。そのすぐ後に、ロイドが立ち上がってこっちに歩いて来た。

「ん、どうした?」

「私も一緒に行こうと思ってね。着替えて来るから待っていてくれ。」

ロイドは微笑みながらそう言うと自室に戻って行った。そしてその後に続くようにソフィも自室へと戻って行く・・・全員が自室に戻ったのを確認した俺は、ポケットにいれた財布の中身を確認する・・・はぁ、今日はかなり出費しそうだなぁ。

そんな事を思いながら着替えを済ませた皆と一緒に外に出ると、マホが全身を大きく伸ばして深呼吸を始めた。そして満足そうに息を吐くと笑顔でこっちを見てきた。

「うーん!こうやって、皆さんでお出かけするのも久しぶりですね!」

「確かに。襲撃事件があってからは、こうして皆で気兼きがねなく出かける事も無かったからね。」

「あーそう言われればそうか。昨日までは出かける時も常に気を張ってたからな。」

「うん。だから今日は楽で良い。」

「そうですね!それじゃあ、出発しましょうか!」

笑顔で拳を大きく掲げたマホは、今にもスキップしそうな感じで俺達の前を歩いていった。俺達は、そんなマホの後ろ姿を見ながら後に続いて行く。

「あ、そう言えばご主人様。ちょっと気になった事があるんですけど」

しばらく前を歩いていたマホが、突然そんな事を言ってこっちに駆け寄ってきた。

「ん、どうしたんだ?」

「あの、ご主人様がこういう事を忘れるのって珍しいですよね。いつもは引き換え当日になったらすぐに武器を取りに行くのに。」

「あぁ、その事か。いやぁ武器を預けてから結構忙しかったろ?闘技場で戦ったり、ソフィがギルドに加入したり、何か危ない連中に襲われたりさ。そうこうしてたら、すっかり頭の中から預けてた武器の事は消えてたな。それに予備の武器が幾つかあるから、クエストとかには困らなかったしな。」

そう言いながら肩をすくめていると、後ろを歩いていたロイドが隣にやって来た。

「それに、今の九条さんの実力じゃ武器の優先度はそこまで高くなかったんじゃないかい?この街周辺のモンスターは、かなり低レベルだからね。」

「まぁそれもあるかもな。でも、今日たまたま気づけて本当に良かったよ。折角レアな素材で強化したのに、引き換えられないんじゃ勿体なさすぎるからな。」

「レアな素材ってどんなの。」

「うおっ・・・ソフィ、音も無く隣に立つと心臓に悪いからやめてくれ・・・」

「ごめん。それよりもどんな素材?」

「ん?確か、コアクリスタルとかって言ったかな?」

俺が素材の名前を告げた途端、いつも無表情のソフィの目がキラキラした感じになった。そしてズイッと顔を近づけて来ると、若干興奮した感じで話しかけてきた。

「凄い。コアクリスタルは滅多に手に入らない素材。それで強化した武器・・・・・楽しみ。」

・・・多分、ソフィは心からワクワクしているんだろうけど・・・無表情のまま笑うのは止めてくれ!何だか夢に出そうだ・・・!

「九条さん、お願いがある。」

「な、何だよ。」

「その武器、一度でいいから使わせて欲しい。お願い。」

ソフィはそう言ってジッと俺の目を見つめてきた・・・・その迫力に負けた俺は、ソフィの肩を持って押し返すと小刻みに頷いた。

「はいはい分かったよ!手に入ったらいの一番に使わせてやるから、ちょっと落ち着けって。」

「うん、約束。それじゃあ急ごう。」

ソフィはそう言うと早足になって前を歩き始めた。そんな彼女の後姿を見ながら、隣に立っているロイドがおかしそうに笑っていた。

「ふふっ。珍しい素材で強化された武器に目を光らせるなんて、流石闘技場の元王者だね。」

「・・・俺的には、そういう武器に目を光らせるよりぬいぐるみとかに目を光らせる系の女の子が良いんだがな。」

俺はそんな事を呟きながら、加工屋に早足で向かうソフィの後を追って行った。
てか、仕上がった武器ってどんな感じなんだろうな?あいつの期待に答えられるような物なら良いんだけど・・・まぁ、加工屋のお姉さんの腕は信頼しているけどさ。

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