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おっさんの異世界生活は無理がある。

祐一

第61話

「おや、もうこんな時間になっていたのか。」

エリオさんは外が夕焼け色に染まっているのに気が付くと、カレンさんを見てそう言った。カレンさんも外を見て、驚いたような表情をすると俺達に話しかけてきた。

「ごめんなさいね。こんな時間までお付き合い頂いてしまって。ついついロイドちゃんと九条さんとお話しするのが楽しくって。」

「いえいえ。それはこちらも同じですよ。な?ロイド。」

「あぁ、私も2人と話せて良かったよ。色々と興味深い情報も貰えたし、警備も強化してくれる事になったからね。」

「確かにな。これで後は、相手方が自滅してくれるのを待つだけだな。」

俺がそう言った瞬間、扉の外からノックの音が聞こえて来た。その音に反応したエリオさんが声をかける。

「誰だ。」

「カームです。ロイド様と九条様のお帰り用の馬車をご用意いたしましたが、いかがなさいますか。」

か、帰り用の馬車?って事は帰りは楽できるじゃん!ラッキー!ってな感じで内心喜んでいるとエリオさんは扉の外にいるカームさんに指示を出した。

「分かった、もうしばらく待機させておけ。」

「かしこまりました。」

カームさんの返事を聞き、エリオさんは俺達を見て優しく笑って話しかけてきた。

「さて、名残惜しいがそろそろお別れの時間の様です。今日はお会い出来て良かったです、九条さん。」

「いえ。こちらこそ、色々とご助力頂き感謝しています。」

俺は、エリオさんとカレンさんの顔を見て深々と礼をした。それから顔を上げると、エリオさんは先ほどと同じ優しい顔でこっちを見ていた。

「何、ロイドとそのお仲間の為に当然の事をしただけですよ。今後も何か困った事があれば、気軽に訪ねて来てください。」

「ふふっ。エリオさんの言う通り、いつでもいらしてくださいね。その時にはまた楽しくお話ししましょうね。」

カレンさんも、エリオさん同じく優しい顔をしてそう言ってくれた。

「はい、勿論です。」

「ふふっ、九条さんが2人と仲良くなったみたいで何よりだよ。そうだ、今度はソフィとマホも連れてこようか?」

「あら、それは良いわね!是非ともソフィちゃんとマホちゃんにも会いたいわ!ね、エリオさん?」

カレンさんが笑顔でエリオさんに同意を求めると、エリオさんは顎に手を当て何かを考える様な仕草をしていた。

「ふむ、それなら丁度良い物があるな。」

そう言ってエリオさんは机の引き出しを開け、何やら白い物を取り出して机の上に置いた。それを見てカレンさんは、あぁ!と言った感じでそれを見ていた。な、何なんだろうか・・・見た感じ、金色の模様が描かれた封筒みたいだが・・・俺が疑問に思っていると、ロイドもカレンさんと似たような反応をした。

「そう言えば、もうそんな時期なのか。」

「ん?ロイドはこれが何か知ってるのか?」

俺がそう聞くと、ロイドは封筒を手に取って俺に見せて来た。

「まぁね。これは近々開催される、社交パーティーの招待状だよ。」

「・・・は?社交パーティー?」

「あぁ。毎年この時期になると、我が家が主催者となって開催しているんだ。そしてこの封筒の中には、パーティーへの招待状が入っているんだよ。」

「へぇー・・・ん?それは分かったけど、エリオさんはどうしてこれを・・・もしかして、そのパーティーにご招待してもらえるんですか?」

俺がそう尋ねると、エリオさんは笑顔のまま俺の事を見て頷いた。

「えぇ、その通りです。もしよろしければ、パーティに来ていただけませんか?」

「えっと、それはとても有難いお話しなんですが・・・まだロイドを狙った商人達の行方が分からないのに、パーティを開催しても大丈夫なんでしょうか?危険なのでは・・・」

「勿論、九条さんのおっしゃる事も分かります。ですがご安心ください。パーティ会場の周辺は護衛部隊がしっかりと護りますし、警備が手薄になる屋敷の裏には警報装置を大量に設置しています。もし何者かが侵入すれば、すぐに警報が鳴り響きますから。」

「それと、招待状はもう配り終わっているから今更パーティーを中止にする訳にも行かないんだ。その日の為にわざわざ予定を開けてくれた人も少なくないからね。」

「って事は、絶対にパーティーは開催される訳か・・・」

「あぁ、そう言う事になるね。」

うーん、それだったらそのパーティーに参加してみるかな。こんな経験、二度と出来ないからな。俺はエリオさんの事を見て、改めて頭を下げた。

「・・・分かりました。その招待状、有難く頂きます。」

「そう言って頂けて良かったです。」

エリオさんがそう言うと、ロイドが封筒を手に取って俺に渡してきた。封筒の数は3枚あるから、後でマホとソフィに渡しておかないとな・・・って、あれ?何か忘れていることがあるような・・・・

「あっ、まずい・・・」

「おや、どうかしましたか?」

俺の言葉を聞いて、エリオさんが不思議そうな顔でこっちを見てきた。

「あの、実はパーティーに出席する為の服を持っていなくて・・・すいませんが、何処かそういう物を売っているお店を教えてもらえませんか?」

「あぁ、そう言う事でしたらご安心ください。こちらの方でご用意させていただきますから。」

「え?!いやいや流石にそれは甘え過ぎと言いますか、申し訳ないですよ!」

俺は慌ててエリオさんの申し出を断ろうとした。しかしそんな俺を見て、カレンさんが微笑みながら話しかけてきた。

「あら、そんな事ありませんよ。九条さんには、ロイドちゃんの事で色々とお世話になっていますからね。」

「カレンの言う通りです。ですので、どうか遠慮なさらずに。」

「そうだよ九条さん。あ、どうせだったらマホとソフィの分のドレスも作ってもらおうじゃないか。」

「あら、それは良いわね!」

「ふむ、ならそちらの手配も準備をしておこう。」

「なら明日、私の家で皆の採寸を測ってもらおうじゃないか。」

「ほう、それは良い案だな。」

「ふふっ、そうですね。」

「え、いや、えぇ・・・?」

その後も家族で盛り上がっている所に口を挟めかった俺は、決められていく明日の予定をただ聞いている事しかできなった。そして大方の予定が決まった後、俺達は2人に別れを告げて屋敷の外に出た。
外には帰りの為に用意された馬車が待機していて、カームさんは屋敷を出てすぐの所に立っていた。

「それではロイド様、九条様。お気をつけてお帰りになってください。」

「あぁ。カームも母さんと父さんの事を頼んだよ。」

「かしこまりました。」

「あ、それと今度のパーティーに九条さん達も来ることになったんだ。」

「そうなのですね。それは心強い限りでございます。」

「え、心強いですか?」

「はい。もしもの時は、是非ともお力を貸して頂きたいと思っていますので。」

「あぁなるほど。分かりました、もしもの時は頑張らせてもらいます。」

「よろしくお願いします。」

そう言ってカームさんがお辞儀をすると、ロイドが苦笑いを浮かべながらカームさんを見た。

「こらこら、そのもしもを防ぐ為にまず頑張らないとだろ?」

「ははっ、それもそうですね。」

「それとも、カームが私達を裏切って賊の侵入を許してしまうのかな?」

「いやいや!そんな事は絶対にいたしませんよ!・・・フラグじゃありませんよ?」

「あ、カームさんもフラグとか知ってるんですね。」

「えぇ。最近ロイド様にご紹介してもらった本を読んで、色々と勉強しましたから。」

「・・・おい、何を紹介したんだ?」

「ん?マホやソフィに教えてもらった本が面白かったから、読書家のカームにも紹介したんだよ。」

「はい。その本がとても面白かったのですが、今まで触れた事のないジャンルでしたので勉強させて頂きました。」

「なるほど・・・」

俺が苦笑いを浮かべながら2人を見ていると、馬の鳴き声が聞こえて来た。

「さて、そろそろ帰るとしようか。」

「そうだな。あ、カームさん。パーティーの当日なんですけど、護衛部隊の人の装備を一式お借りする事って出来ますか?」

「え?はい、大丈夫ですが・・・一体なぜ?」

「いやぁ、もしもの時に丸腰って言うのも不安なんで。」

「なるほど、かしこまりました。ではパーティー当日に、装備一式を準備させていただきます。ソフィ様の分も準備した方がよろしいでしょうか?」

「あ、お願いします。」

「ふふっ、九条さんは随分と心配性なんだね。装備なんかつけなくても、大丈夫だと思うが?」

「いやいや。護衛部隊の皆さんの事は信頼しているけど、世の中何が起こるか分からないからな。じゃあカームさん、装備の件お願いしますね。」

「かしこまりました。」

その後、俺達は用意された馬車に乗って家へ向かっていた。って言うかこの馬車の乗り心地最高だな!座席はふかふかだし、外の風は入ってこないから温かいしで流石は貴族が乗る馬車って感じだ!そんな居心地の良い馬車に揺られながら、俺達は家に帰って来た。

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