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おっさんの異世界生活は無理がある。

祐一

第59話

手土産を買ってから大分歩いたが、周囲の雰囲気がかなり変わって来た。見かける建物のほとんどが豪勢な屋敷とかに変わって来たし、地面も幅も広くなってしっかりと舗装されている。何というか、同じ街でも住んでる人間が違えばこうも変わるもんなのか・・・そんな事を思っていると、隣を歩くロイドが話しかけてきた。

「九条さん、この道を曲がって真っすぐ行くと私の実家にもう着くよ。」

そう言ってロイドが指を指した方向を見ると、幅が広く長い馬車道があった。道の周囲には建物の代わりに木々があり、奥の方に大きな門の様な物が見えていた。て言うか、まだかなりの距離があるな・・・俺はため息を吐きながらがっくりと肩を落とした。

「はぁ・・・まだ歩くのか・・・」

俺がそう言うと、隣にいたロイドはおかしそうに笑いながらこっちを見ていた。

「ふふっ、申し訳ないね。いつもは呼び出されて行くから、迎えの馬車が来てくれるんだ。しかし今回は、そう言う物を準備する時間が無くてね。」

「まぁ、昨日急に決めた事だからな。さてと、ここで立ち止まってもしょうがないしとっとと行くとするか。」

「そうだね。早く両親に会って、色々と情報を聞き出さないといけないからね。」

それから俺達はロイドの実家の門を目指して歩き始めた。進むにつれ、周囲が静かになってきて聞こえてくるのは木々の揺れる音だけとなった。そしていよいよ門の前に辿り着いた・・・のだが・・・

「・・・デカすぎじゃね?」

何というか、門の大きさが異常なのだが?馬車が3,4台は余裕で通れるんじゃなかろうか・・・そして門の前には、昨夜の護衛部隊と同じ恰好の門番が2人立っていた。ロイドはその人たちに近づいていき、笑顔で話しかけた。

「やぁ、久しぶり。元気にしていたかい?」

ロイドにそう話しかけられた瞬間、護衛部隊の2人はビシッと敬礼をしていた。そして驚いた表情でロイドに話かける。

「ロ、ロイド様!?あの、本日は一体どうなされたのでしょうか!本日お帰りになるとは、我々知らされておりませんでしたが!」

「ハッ!もしや、昨夜の事についてご当主様にご報告に来たのでありましょうか!」

2人はガチガチに緊張した感じでロイドにそう聞いた。と言うか、ロイドってそれだけ緊張される存在なのか・・・

「あぁ、そうなんだ。こちらの九条さんと一緒に報告に来たんだが、通っても大丈夫かい?」

「は、はい!勿論でございます!九条様も本日はようこそおいでくださいました!」

「あ、ご丁寧な挨拶ありがとうございます。」

「いえ!それでは、どうぞお通り下さい!」

そう言って門番の人は、門に近づいて腰につけてあった鍵を使った。するとガチャっという音と共に1人分の大きさの扉が開いた。あぁ、このデカい門が開くんじゃなくてちゃんと人の大きさの扉もあるのか。俺達はその扉を通り、敷地に入っていく。

「・・・・・」

俺は門の向こう側に広がる景色を見た瞬間、思わず絶句してしまった。いやだって何これ・・・引くくらい広いんですけど・・・・しかも正面に見える屋敷は、さっきまで見てきたのが霞むレベルで大きいんだが?

更に驚く事に屋敷まで続く道も歩きやすいように綺麗に舗装されているし、その道の中央部分には大きな噴水が存在しているし・・・右側を見ると綺麗に咲いた花々や植物に囲まれた庭園があり、その真ん中には小さなテーブルと椅子が置いてあった。

左側を見ると屋敷とは違う大きな建物があった。外観から考えて多分パーティー会場とかなんだろうけど、収容人数どれくらいなんだよ・・・それから、改めて周囲を見渡してみると何人ものメイドさんや執事さんが働いている姿が見えた・・・・え、マジで何これ、ロイドってこんなに凄い貴族の娘さんだったの?

「ふふっ、どうやら驚いている様だね。」

ロイドはあまりの衝撃に固まっている俺に微笑みながら話しかけてきた。

「いや、そりゃそうだろ・・・何と言うか、凄すぎて言葉が出てこねぇよ・・・」

「おや。そんなに驚いてくれるのなら、マホやソフィを招待した時にどんな反応するのか楽しみだね。」

「・・・多分、マホに関しては似たり寄ったりの反応じゃないか?ソフィの反応は分からないけどな。」

「確かにマホはとても良い反応を見せてくれそうだが、ソフィは変わらず冷静なんだろうね。さて、それじゃあそろそろ両親の居る所へ向かおうか。」

「あぁ、了解。」

それからロイドと並んで屋敷へと向かって行くが、門から屋敷までもかなりの距離があるんだな・・・やっぱ広すぎだろ。そんな事を考えながら噴水の近くまで歩いてきたら、屋敷の扉が開きカームさんが出て来た。
カームさんは俺達に気づくと一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに笑顔になるとこっちに走り寄って来て話しかけてきた。

「ロイド様と九条様ではありませんか?いかがなされたのですか?」

「いやなに、昨夜の事について直接両親に説明をしに来たんだよ。ついでに、何か情報があったら聞かせて貰おうかと思ってね。」

ロイドの説明を聞いて、カームさんは小さく頷きながら納得してくれたようだ。

「そう言う事でしたか。それならば丁度良かったです、実はこれから九条様のご自宅にお伺いしようかと思っていましたので。」

「え、そうなんですか?」

「はい。ご当主様が昨夜の事について直接お話をお聞きしたいので、呼び出して欲しいとの事でして。」

「そうなんですか。って事は、やっぱり来て正解だったみたいだな。」

「あぁ、そうみたいだね。それじゃあカーム、両親がいる所に案内を頼めるかい?」

ロイドがそう言うと、カームさんはビシッと敬礼をして笑顔でこっちを見る。

「かしこまりました。ご当主様と奥様は、執務室にてお仕事中でございますのでご案内させていただきます。」

「あぁ、頼んだ。それじゃ九条さん、早速向かおうか。」

「あぁ・・・はぁ、緊張するな・・・」

それからカームさんに案内され、俺達は屋敷の中に足を踏み入れた。その屋敷の中のまぁ凄い事!まず入ってすぐの玄関ホールがメチャクチャ広いし天井も高い!しかも巨大なシャンデリアがぶら下がっているしでマジで凄すぎる!

それから玄関ホールに階段を使い2階に来たのだが、ここもヤバいくらい広いんだが・・・っていうか道が複雑すぎて案内が無かったら迷子になるレベルなんですが?あと、部屋の数が多すぎじゃないですかね?こんなに必要か?まぁメイドさんや執事さんが使っているのかもしれないけどさ・・・

そして廊下の途中でも勿論メイドさんや執事さんを見かけた。彼らはこっちに気づくと深々とお辞儀をしてくれたのだが・・・正直言って俺は申し訳なさで胸が一杯な訳なんだが!だって俺はそんなご丁寧にお辞儀されるような客人では無いもの!

そんな風に屋敷内での事にいちいち驚きながらカームさんの後について行くと、広くて長い一本道の廊下が現れその奥に大きくて豪勢な両開きの扉が見えた。何と言うか、外で見た道に似ているな・・・そんな事を思っていたら、カームさんが立ち止まって話しかけてきた。

「九条様、あちらがご当主様の執務室になります。あの奥に、ご当主様と奥様がいらっしゃいます。」

「そうですか・・・失礼の無い様にしないと・・・」

「ふふっ、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。」

「えぇ。お二人共お優しい方達なので、きっとお力になってくますよ。それでは行きましょうか。」

そう言うとカームさんは扉に向かって行ったので、俺達もその後に続いて行く。そして扉の前に着くと、カームさんは礼儀正しく扉をノックした。少しして、扉の向こう側から落ち着いた男性の声が聞こえて来た。

「誰だ。」

「カームです。ロイド様と九条様がいらっしゃいました。」

「何?もう来たのか?」

「はい。ご当主様にお呼び出される事を予見して、いらっしゃったようです。」

「そうか。よし、入ってもらえ。」

「かしこまりました。」

カームさんは扉の前で一礼すると、扉の取っ手を持って後ろに下がりながらゆっくりと開いていった。さぁ、いよいよロイドのご両親と初対面だ。
気合を入れろ九条透!失礼な態度を取った瞬間お前の命は無い物と思え!俺は自分に喝を入れると、緊張した面持ちで扉が開き終わるのを待っていた。

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