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おっさんの異世界生活は無理がある。

祐一

第44話

イベントに参加できる権利を得た翌日、イベント参加者への案内が届いた。内容は、今回のイベントの詳細と集合場所と時間についてだった。
今回のイベントで使用する武器はショートブレード、魔法の制限は無いらしい。そして集合場所は闘技場の受付前、時間は闘技場が開かれる30分前には来るようにとの事だった。もしも時間を過ぎたら自動的に不戦敗扱いになるそうだ。

それからイベント開催までの日々、俺は一生懸命頑張った!料理を作る事をな!毎日ロイドの為に、マホと料理を作る日が続いた。なんだか主夫になった気分だったね。そんな感じで時間は過ぎ、いよいよイベントの開催日になった。

闘技場の前には、結構な人数が列をなして待機していた。その列を遠くの方から眺めて、俺は軽く吐きそうになっていた。

「おえええええ・・・・」

・・・訂正、思いっきりえづいていました。その背中をさすりながら心配そうに俺を見るマホ。そしてそんな俺を見て、笑っているロイドと呆れているリリアさん。

「ふふっ、随分と緊張しているようだけど大丈夫かい?」

「もう、シッカリして下さい!緊張がロイド様に移ってしまったらどうしますの!?あ、勿論ロイド様はこの程度の事で緊張などしないとわかっていますけどもね!」

「ありがとうリリアさん。でも、私も少なからず緊張しているんだよ。こうして落ち着いていられるのは、私以上に緊張している九条さんがいるからさ。ちょっと面白いからね。」

「へ、へへ・・・作戦大成功・・・」

「ご主人様、何にも成功していませんよ。」

「くそぉ・・・モンスター相手に緊張なんかしないが、やっぱり大勢の人の前に出るって考えると・・・」

今ままでそう言った事には一切の縁が無かったからな。緊張してもてしょうがないだろう!

「はぁ、しっかりして下さい!今日はマホさんと一緒に応援するために来たんですからね!ふがいない結果は許しませんよ!」

「任せとけ・・・かならず王者を倒してやる・・・!」

「言う事だけは立派なんですけどね。」

「はぁ・・・しょうがないですね。ご主人様、ちょっとこっち見てください。」

マホが呆れたようにため息をつくと、俺の前に回り込んで来た。

「え、何ぶはっ!!」

え、思いっきりフルスイングでマホにビンタされたんだけど!てかめっちゃ痛いんですけど!

「いったぁ!いきなり何すんのお前?!」

「いえ、あまりに情けないので気合を入れてあげようと思いまして!どうですか?!緊張はどっか行きましたか!」

「・・・あぁ、おかげさまでな。」

「よし!成功ですね!イェーイ!」

「いぇーいですわ!ナイスですマホさん!」

痛がっている俺を他所に、マホとリリアさんがハイタッチして喜んでいる。その横でロイドもくすくすと笑っていた。はぁ、ほっぺはジンジン痛むけど、気合も入って緊張もどっかいったしロイドも笑ってるから良しとするか。

「よし!じゃあ九条さんの緊張もどこかに行ったようだし、そろそろ行こうか。」

「了解。じゃあ行ってくるな。」

「はい!頑張ってきてくださいね!私達、一生懸命応援しますから!」

「私も、お二人の無事と勝利を祈っていますわ!」

エールを送る二人に見送られながら、俺達は選手用の入り口から闘技場の中へと入っていった。中に入った俺達は受付前を見てたが、他の選手が見当たらなかった。どういう事かと思いながらも、俺達は受付に向かった。すると、受付に居たお姉さんが元気よく挨拶してくれた。

「いらっしゃいませ!イベントの参加者の方ですね!っていうかほっぺが赤いですけどどうかしたんですか?」

「いえ、お気になさらず・・・・それで参加しに来たんですけど、他のギルドの人は何処に?」

「あぁ!他のギルドの方ならもう控室で待機していますよ!参加資格を確認したら、すぐに控室にご案内しているんです!時々血の気の多い方が、他のギルドの方ともめ事を起こす事があるので、そうならない様にすぐに控室に入ってもらっています!」

「なるほど・・・だから誰もいないのか。」

「どんな人が参加しているのか確かめてみたかったけど、そう言う事ならしょうがないね。あ、参加資格の確認にはカードをお渡しすれば良いんですよね。」

「はい!それでは、カードの確認をさせてもらってもよろしいでしょうか?」

「あぁ、お願いします。」

お姉さんは、俺とロイドが渡したカードを確認すると横にあった機械に差し込んだ。しばらくして、機械から音が鳴るとカードが出てきてお姉さんから返された。

「はい!これで正式に登録完了です!それでは係員が案内いたしますので控室に向かってください!ご健闘をお祈りしていますね!あ、ご案内の前に持ち物検査がありますのでお願いします!」

今回マホを連れてこなかったのは、この持ち物検査があるからだ。イベントにはアイテムの持ち込みが禁止されているのでスマホも当然持ち込めない。かといって家に置いておくには不安なので、リリアさんにスマホとマホを預けたという訳だ。
それから検査も無事に終わり、俺達は控室に向かう為に係員の後に続いて行く。俺達の控室は一番奥だそうだ。途中、係員さんが今日のイベントの説明をしてくれた。

「本日、イベントに参加するギルドは8組になっています。控室は東西に分かれていますので勝利した場合は間違えないようにしてください。敗北してしまった場合は、控室に係員が賞金を渡しに行きますので、受け取ったらすみやかに退出をお願いします。」

「分かりました。」

「まぁ、私達は敗北する気はないですけどね。」

「素晴らしい心意気ですね。あ、こちらが試合会場への入り口になります。」

通路の途中、係員さんが手を向けた方向にデカい門があった。

「こちらの門が開きますと、会場に出れます。そして東西から選手が入場し、試合開始のブザーが鳴ったら始まりです。ブザー前に攻撃すると失格になりますので注意してくださいね。」

門を過ぎしばらく進んでいくと、俺達の控室の扉が見えた。係員の人が中に入っていくのを見て、俺達も控室の中に入った。

「それでは控室について、案内させていただきますね。まず、上にあるモニターはトーナメントの勝敗を表示してくれます。見方は簡単で、敗者のギルド名がモニターから消えます。」

「つまり、勝てばモニターに残り続けると・・・」

「そうなりますね。」

「でも、まだモニターにはギルド名が出てないみたいですけど。」

「ギルド名は全部の参加ギルドが正式に登録され、闘技場が開場されてから表示されます。」

「じゃあ開場されるまでは、どのギルドと戦うのかは分からないと。」

「そうですね。イベント前に参加するギルド名が知られてしまうと、妨害工作をしようとする輩もいますので。」

「なるほど。色々考えてあるですね。」

「はい、不正なく危険を楽しんで一獲千金を狙う為の闘技場ですからね。」

危険を楽しむってすげぇな。まぁ今回に限っては俺もその危険を楽しむ人間の一人なんだろうけどな。

「それでは最後に試合開始までの流れを説明しますね。まず、試合の順番が来るとアナウンスが流れます。そうしましたら、そちらに置かれている武器を持って先ほどの門に行き待機してください。しばらくして、試合をする両ギルドが揃うと門が開きますので、会場の中央に向かってください。後は、先ほど説明した通りになります。」

「分かりました。武器を持って門の前で待機ですね。」

「その通りです。もしも武器を忘れてしまった場合、取りに帰る事は無理だと思ってください。それでは、他に質問はございますか?」

「あの、他のギルドの試合とかは見れないんですか?」

「はい。申し訳ありませんが、試合は見れないようになっています。闘技場では戦いの中で活路を見出していくのを売りにしている所もあるので、試合は見られないようになっています。」

「なるほど・・・分かりました。ロイドは質問は大丈夫か?」

「あぁ、問題ないよ。」

「それでは、これで失礼いたします。ナインティア様のご健闘をお祈りしていますね。」

そう言って係員の人は深くお辞儀をすると部屋から出て行った。

「さて、もう後には引けないな。」

俺は部屋の中央に置いてあるショートブレードを手に取って、重さなんかを確認する。

「うん、そこそこ重量感があるけど、問題ないな」

俺の横で、ロイドも武器を手に取って確認している。

「うん、私も大丈夫そうだ。」

「そうか。っていうか、ロイドってショートブレードって使えるのか?いつも使っているの普通のブレードだろ?勝手が違うんじゃないのか?」

「ふっ、問題ないよ。私はどんな武器も扱えるように訓練しているからね。だからショートブレードでも、問題なく使えるよ。」

「はぁー・・・流石というか何と言うか。凄いなロイドは。」

「褒めてくれてありがとう。それじゃあギルドが発表されるまで、しばらく待機していようか。」

「そうだな。じゃあ待機している時間で戦い方の確認を再度しておくか。」

それから俺達は、今日の試合での立ち回りについて再度確認する事にした。基本的には、俺が前に出て接近戦に持ち込み戦う。ロイドは周りの状況を確認しながら援護をしたり、一緒に戦ったりしてもらう事になっている。そんな事を細かくチェックしているうちに、時間はあっと言う間に過ぎていった。

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