おっさんの異世界生活は無理がある。

祐一

第34話

それから動けなくなった俺の代わりにロイド達がボスをネットで覆い斡旋所へと転送してくれた。・・・でも結構中身を燃やしたから素材としても換金するとしても微妙な気もするがな。
それからボスの転送が終わると、そこには宝箱がぽつんと置かれていた。恐らく俺が内部を燃やしまくった宝箱だな。とりあえず期待せずに宝箱を開けると、そこには砕けた紅いクリスタルが幾つか入っていた。

「これ、多分ボスの心臓部分だな・・・」

「そうなのかい?私達は直に見てないから判断はできないな・・・どうだい?問題は無さそうかい?」

俺はクリスタルを手に持って確認をしてみる。・・・ボスの体内で聞いた鼓動のような音はもうしていない。砕かれた影響で停止しているみたいだな。

「あぁ、どうやら問題なさそうだ。とりあえず持って帰って売るか素材にするか考えないとな。」

俺はクリスタルをポーチに入れ、ある事を思い出した。

「そういえばこれ勝負だったな。」

「あぁそう言えば先に帰った方が勝ちという勝負だったね。」

「って訳だからリリアさん達は先に戻っていてくれていいぞ。俺はまだ体が満足に動かないからしばらくここで休みたいし。」

「私も九条さんの護衛をしなくてはいけないからね。今回の勝利はリリアさん達に譲るよ。」

俺達がそう言うと、リリアさんは呆れたような顔をしてバカでかいため息をついた。その横で、ライルさんは苦笑いをしている。

「馬鹿にしないで頂けませんか?我が身の危険をかえりみずボスを倒していただいた九条様を置いて、先に帰って勝利を収めるなど私のプライドが許しません!という事で私もここに残り九条様をお護りいたします。よろしいですかライルさん。」

「もちろんです、私もそうしたいと思っていましたから。」

「・・・ありがとうな。」

「感謝するよ、二人共。」

「いえいえ。ところで先ほどの事で気になったことがあったのですがよろしいですか?」

「ん?何だ?」

「少し前、九条様がロイド様に怒っている時に人の名前のようなものを言っていませんでしたか?」

「あぁ、確かに私も聞きました。えっと、マホって言っていましたよね?でも、私たち以外に人なんていませんし・・・」

「あぁ、そう言えば二人にはまだ紹介していなかったね。どうだい九条さん、紹介してあげたらどうだい?」

「まぁ二人なら余計な事は言わないだろうしな。別にいいかもな。」

(じゃあマホ、出てきて挨拶しな。)

(はい!分かりました!)

俺が許可を出すと、マホはスマホから出てきて俺の頭の上にちょこんと飛び乗った。
・・・一応ご主人様とか言われてるんだけど、頭の上に平気で乗るのね・・・まぁ良いけどさ。

「初めまして!ご主人様の暮らしをサポートする妖精マホと申します!よろしくお願いしますね!リリアさん、ライルさん!」

二人は突然出てきたマホに驚いたような表情をして固まっている。あ、この展開見たことがある気が。

「きゃー!何ですの何ですの!ちっちゃくて可愛らしい妖精さんじゃないですか!」

「す、凄いですよリリアさん!妖精って私初めて見ました!こんなに可愛いんですね!」

「ふふーん!そうだろうそうだろう!マホはとっても可愛いからね!見てご覧、今マホが着ている服は私がプレゼントした物なんだよ!」

「そうなんですのね!マホさんに似合っていてとても素敵ですわ!流石ロイド様!」

「はぁーまるでお人形さんみたいんです・・・」

三者三様マホの事を褒める褒める、まるでマホの下にいる俺が見えていないが如く褒めちぎる。うん、実際見えてないんだろうけどな。マホはマホででへへーとか言いながら俺の頭の上で照れながらくるくるしている。ちょっと痛いんで止めてもらって良いですかね?それからしばらくして、三人は正気を取り戻した。

「ごほん、なるほどマホさんというのは貴女の事でしたのね。改めて自己紹介させていただきますわ私はリリアと申します。よろしくお願いいたしますね。」

「私はライルです。よろしくねマホさん。」

「はい!よろしくお願いします!」

「じゃあ自己紹介が終わったぽいからそろそろ帰るか、俺も一応は動ける程度には回復したから。」

三人がマホをチヤホヤしだしてかなり時間が経ったからな、そりゃ体力も回復するよね。

「ただ、戦闘用の体力が不安だからちょっとよろしく。」

「分かったよ。私達がきちんと護ってあげるから安心してくれ。」

「さぁ!それじゃあ早速街へ帰りましょう!」

「はい!」

「了解です!」

それから街に帰るまでの道中、現れるモンスターを次々とロイドとリリアさんが倒していった。ライルさんは二人の援護に徹している。
俺はその後に続き、倒されたモンスターをしっかりと転送していく。

(ご主人様、何か格好悪いですね。)

いつのまにやらスマホに戻っていたマホが呆れたように語り掛けてくる。

(やかましい!俺だって情けないとは思うが売れば金になるから転送しないわけにはいかないだろ。)

(はぁー・・・ボスと戦ってる時は凄い格好良かったんですけどね・・・)

(ギャップだと思え。)

(だったら良い方のギャップが見たかったです!)

そんな感じの事をマホに言われながら、俺達は無事に街へと戻って来ることが出来た。

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