おっさんの異世界生活は無理がある。
第17話
「九条さん、ダンジョン攻略お疲れ様でした。そう言えば他の皆さんの姿が見当たりませんけれど、いかがなさったんですか?」
「あぁ、俺以外の皆は先に帰りましたよ。素材なんかは俺が貰う事になってますし、それに彼女達も初めての戦いで肉体的にも精神的にも疲れたでしょうから。」
「なるほど、確かにロイドさん以外の子達はレベルが1でしたからね。」
「えぇ、まぁそう言う訳なんで今回の報酬を受け取っても良いですか?」
「かしこまりました。それではカードをお預かりさせて下さい。」
「はい、分かりました。」
ポーチの中からカードを取り出したお姉さん手渡した俺は、確認作業が終わるまでしばらく待つ事になったんだが……この世界って、こういう所の技術力がかなり凄いから本当に助かったよなぁ。
納品したモンスターの情報は勝手に登録されるから、こっちでどうこうする必要が全然ないし……まぁ、パーティを組んでいる場合は全員が納品した事になってるからソレで揉めてる連中が居たりもするけどな。
……だがそんな心配は俺にとって無縁と言っても良いだろう!だって誰かと一緒にパーティを組む機会なんてもう訪れないだろうからな!はっはっはっは……はぁ……
「それでは九条さん、納品の確認が終わりましたのでカードをお返し致しますね。」
「あぁ、どうもです。」
返されたカードを仕舞い込んでから改めて今回の報酬について話を聞こうと思ってお姉さんの方を向いてみると、何故か凄くキラキラした視線で俺を見つめながら身を乗り出す感じで顔を近づけて来て………
「そう言えば九条さん!納品されてきたモンスターの中にボスと思われる個体がありましたけれど、ソレってやっぱりロイドさんが活躍なされたって事ですよね!?」
「へっ!?いや、そのぉ……」
(もう、お姉さんに戸惑っている場合じゃないですよご主人様!ほら、ここは自分が活躍してボスを倒す事が出来たんだって言わないと!)
(えぇ……それはそれで何か恥ずかしいと言うか……お姉さんの期待を裏切りたくはないと言うか……なぁ、ここは全部の責任をロイドに押し付けるって事で良くね?)
(はい?!な、何を言ってるんですかご主人様!ここでボスを倒した事をお姉さんに教えてあげれば、パーティを組んで下さいって声を掛けてもらえる機会が増えるかもしれないんですよ!?)
(うん、俺としては面倒だからそんな機会は減らしたい訳なんで……)
(ちょっ、待って下さいご主人様!)
「いやぁ、実はその通りなんですよ!お姉さんにも見せてあげたかったな、ロイドがボスと戦う格好良い姿を!もうね、女の子達なんてメロメロだったんですから!」
(あーあー……どうなっても知りませんからね……)
マホの呆れた様な声を振り切って声を高らかに上げた俺は、ロイドがどれだけ活躍したのかをベラベラと喋りまくってやった!それを聞いてたお姉さんと斡旋所に居た冒険者達は、それはそれは感心した様なリアクションを見せてくれた!
そしてロイド、本当にゴメンね!俺はお前を犠牲にして、目立たず静かに暮らしていける日々を手に入れさせて貰うよ!
だけどきっと大丈夫!今日のお前の慕われっぷりを見させて貰ったが、この評判が広まるぐらい問題ないよな!そう信じてる!うん、頑張れ!後の事は知らんけど!
「流石ロイドさんですね……ボスを華麗に倒して、更にはその素材を他の方にお譲りするだなんて……」
「えぇ、本当にロイドには感謝の気持ちしかありませんよ!……それであの、今回の素材とかって換金するとどれぐらいになるんですか?」
「あっ、ソレをご報告する前に前に九条さんにご報告があるんですよ。実はボスから採れた素材の一部は、加工して武器や防具に作り変える事が出来るんです。」
「え、そうなんですか?」
「はい。ですので入手した全ての素材を換金するのではなく、加工用の素材は加工屋さんにお預けになさった方がよろしいかと思います。」
「な、なるほど……って、加工用の素材は自分で持っとくんじゃないんですね。」
「はい、素材には大きい物や小さい物……他にも保存しておくのが非常に難しい物と色々ありますからね。だからそういったお店にお預けされる方が大半なんですよ。」
「へぇー……」
「それで九条さんは素材は全て換金されますか?それとも加工用として一部をお預け致しますか?」
お姉さんに微笑まれながらそう問いかけられた俺は、腕を組みそっと目を閉じると唸り声を上げながら天井に顔を向けた。
(うーん……ボスの素材を売ればそれなりの金が手に入るだろうけど、俺が使ってた武器もボロボロになってきたから買い替えようかと思ってたんだよなぁ……よしっ、これもいい機会だし加工用の素材は預けるとするか。)
(私もそれに賛成します!それにご主人様が初めて倒したボスの素材なんですから、それを加工しておけば記念にもなりますよきっと!)
(あぁ、それもそうだな。)
最終的にマホの意見に乗っかる事にしてゆっくりと顔を下げて目を開けてみると、お姉さんがニッコリと微笑みかけてきていた。
「うふふ、素材をどうするのかはお決まりになりましたか?」
「はい、今回は加工用として預けとこうと思います。」
「かしこまりました。それではその様に手続きをさせて頂きますので、すみませんがもう一度カードをお預かりしてもよろしいでしょうか。」
「えぇ、お願いします。」
「それでは……加工を依頼される際はお店の方にお名前を告げて、こちらのカードをお渡しすればお預けになった素材で作成出来る物を提案してくれますよ。」
「そうなんですか……ん?でもそれってカードを盗まれたら悪用とかされません?」
「いえ、そこはご心配なく!このカードは持ち主以外の魔力には反応しませんから、お店で使おうと思っても無駄なんです……はい、これで素材に関する手続きが終わりましたので、こちらのカードはお返し致しますね。」
「あぁどうも……それであの、最終的に貰える報酬はどれぐらいになりましたか?」
「えっとですね、今回の報酬は7万5000Gになりますね。」
「おぉ……いつもならそれの半額以下ぐらいの報酬なのに、そんなに貰えるって事はやっぱりボスの存在が大きかったりするんですか?」
「そうですね。納品をして頂いたモンスターは合計で1万Gになるんですが、ボスの買い取り金額は3万Gになります。」
「へぇ、爪や牙は素材として貰ってますし皮はボロボロで血だらけなのに結構な額になりましたね。」
「確かに買い取りが難しい所のお値段はお安いんですが、ボスから採れたお肉が上質でしたので報酬額がドンっと上がったんですよ!あっ、もしよろしければそのお肉をお持ち帰り致しますか?お渡しする報酬額はお変わりしませんから。」
「えっと……うーん………」
(ご主人様!私、今晩はステーキが食べたいです!)
(……まぁ、殺されかけた相手の肉だけど異世界ならではって事で食ってみるか。)
「どうなさいますか?ご希望でしたら、こちらで下味を付けて後は焼くだけの状態にしておきますが。」
「あっ、それじゃあ頂きます!」
「はい。それでは報酬とお肉の方をご用意致しますので、もう少々お待ち下さい。」
お姉さんにそう言われてから数分後、大金の入ったズッシリと重い袋と美味そうな匂いがしてくる味付けされた肉を受け取った俺は疲れた体を引きずりながら斡旋所を後にするのだった。
(そうだご主人様!お家に帰ったら完全体になった私をお見せしますから、楽しみにしといて下さいね!)
テンションが高くなっているマホの声を聞いてそう言えばそうだったと思い出した俺は、もしかしたら年上のお姉さんっぽくなったコイツが見られるのかと考えて胸をドキドキさせながら家路を急ぐのだった……!
「あぁ、俺以外の皆は先に帰りましたよ。素材なんかは俺が貰う事になってますし、それに彼女達も初めての戦いで肉体的にも精神的にも疲れたでしょうから。」
「なるほど、確かにロイドさん以外の子達はレベルが1でしたからね。」
「えぇ、まぁそう言う訳なんで今回の報酬を受け取っても良いですか?」
「かしこまりました。それではカードをお預かりさせて下さい。」
「はい、分かりました。」
ポーチの中からカードを取り出したお姉さん手渡した俺は、確認作業が終わるまでしばらく待つ事になったんだが……この世界って、こういう所の技術力がかなり凄いから本当に助かったよなぁ。
納品したモンスターの情報は勝手に登録されるから、こっちでどうこうする必要が全然ないし……まぁ、パーティを組んでいる場合は全員が納品した事になってるからソレで揉めてる連中が居たりもするけどな。
……だがそんな心配は俺にとって無縁と言っても良いだろう!だって誰かと一緒にパーティを組む機会なんてもう訪れないだろうからな!はっはっはっは……はぁ……
「それでは九条さん、納品の確認が終わりましたのでカードをお返し致しますね。」
「あぁ、どうもです。」
返されたカードを仕舞い込んでから改めて今回の報酬について話を聞こうと思ってお姉さんの方を向いてみると、何故か凄くキラキラした視線で俺を見つめながら身を乗り出す感じで顔を近づけて来て………
「そう言えば九条さん!納品されてきたモンスターの中にボスと思われる個体がありましたけれど、ソレってやっぱりロイドさんが活躍なされたって事ですよね!?」
「へっ!?いや、そのぉ……」
(もう、お姉さんに戸惑っている場合じゃないですよご主人様!ほら、ここは自分が活躍してボスを倒す事が出来たんだって言わないと!)
(えぇ……それはそれで何か恥ずかしいと言うか……お姉さんの期待を裏切りたくはないと言うか……なぁ、ここは全部の責任をロイドに押し付けるって事で良くね?)
(はい?!な、何を言ってるんですかご主人様!ここでボスを倒した事をお姉さんに教えてあげれば、パーティを組んで下さいって声を掛けてもらえる機会が増えるかもしれないんですよ!?)
(うん、俺としては面倒だからそんな機会は減らしたい訳なんで……)
(ちょっ、待って下さいご主人様!)
「いやぁ、実はその通りなんですよ!お姉さんにも見せてあげたかったな、ロイドがボスと戦う格好良い姿を!もうね、女の子達なんてメロメロだったんですから!」
(あーあー……どうなっても知りませんからね……)
マホの呆れた様な声を振り切って声を高らかに上げた俺は、ロイドがどれだけ活躍したのかをベラベラと喋りまくってやった!それを聞いてたお姉さんと斡旋所に居た冒険者達は、それはそれは感心した様なリアクションを見せてくれた!
そしてロイド、本当にゴメンね!俺はお前を犠牲にして、目立たず静かに暮らしていける日々を手に入れさせて貰うよ!
だけどきっと大丈夫!今日のお前の慕われっぷりを見させて貰ったが、この評判が広まるぐらい問題ないよな!そう信じてる!うん、頑張れ!後の事は知らんけど!
「流石ロイドさんですね……ボスを華麗に倒して、更にはその素材を他の方にお譲りするだなんて……」
「えぇ、本当にロイドには感謝の気持ちしかありませんよ!……それであの、今回の素材とかって換金するとどれぐらいになるんですか?」
「あっ、ソレをご報告する前に前に九条さんにご報告があるんですよ。実はボスから採れた素材の一部は、加工して武器や防具に作り変える事が出来るんです。」
「え、そうなんですか?」
「はい。ですので入手した全ての素材を換金するのではなく、加工用の素材は加工屋さんにお預けになさった方がよろしいかと思います。」
「な、なるほど……って、加工用の素材は自分で持っとくんじゃないんですね。」
「はい、素材には大きい物や小さい物……他にも保存しておくのが非常に難しい物と色々ありますからね。だからそういったお店にお預けされる方が大半なんですよ。」
「へぇー……」
「それで九条さんは素材は全て換金されますか?それとも加工用として一部をお預け致しますか?」
お姉さんに微笑まれながらそう問いかけられた俺は、腕を組みそっと目を閉じると唸り声を上げながら天井に顔を向けた。
(うーん……ボスの素材を売ればそれなりの金が手に入るだろうけど、俺が使ってた武器もボロボロになってきたから買い替えようかと思ってたんだよなぁ……よしっ、これもいい機会だし加工用の素材は預けるとするか。)
(私もそれに賛成します!それにご主人様が初めて倒したボスの素材なんですから、それを加工しておけば記念にもなりますよきっと!)
(あぁ、それもそうだな。)
最終的にマホの意見に乗っかる事にしてゆっくりと顔を下げて目を開けてみると、お姉さんがニッコリと微笑みかけてきていた。
「うふふ、素材をどうするのかはお決まりになりましたか?」
「はい、今回は加工用として預けとこうと思います。」
「かしこまりました。それではその様に手続きをさせて頂きますので、すみませんがもう一度カードをお預かりしてもよろしいでしょうか。」
「えぇ、お願いします。」
「それでは……加工を依頼される際はお店の方にお名前を告げて、こちらのカードをお渡しすればお預けになった素材で作成出来る物を提案してくれますよ。」
「そうなんですか……ん?でもそれってカードを盗まれたら悪用とかされません?」
「いえ、そこはご心配なく!このカードは持ち主以外の魔力には反応しませんから、お店で使おうと思っても無駄なんです……はい、これで素材に関する手続きが終わりましたので、こちらのカードはお返し致しますね。」
「あぁどうも……それであの、最終的に貰える報酬はどれぐらいになりましたか?」
「えっとですね、今回の報酬は7万5000Gになりますね。」
「おぉ……いつもならそれの半額以下ぐらいの報酬なのに、そんなに貰えるって事はやっぱりボスの存在が大きかったりするんですか?」
「そうですね。納品をして頂いたモンスターは合計で1万Gになるんですが、ボスの買い取り金額は3万Gになります。」
「へぇ、爪や牙は素材として貰ってますし皮はボロボロで血だらけなのに結構な額になりましたね。」
「確かに買い取りが難しい所のお値段はお安いんですが、ボスから採れたお肉が上質でしたので報酬額がドンっと上がったんですよ!あっ、もしよろしければそのお肉をお持ち帰り致しますか?お渡しする報酬額はお変わりしませんから。」
「えっと……うーん………」
(ご主人様!私、今晩はステーキが食べたいです!)
(……まぁ、殺されかけた相手の肉だけど異世界ならではって事で食ってみるか。)
「どうなさいますか?ご希望でしたら、こちらで下味を付けて後は焼くだけの状態にしておきますが。」
「あっ、それじゃあ頂きます!」
「はい。それでは報酬とお肉の方をご用意致しますので、もう少々お待ち下さい。」
お姉さんにそう言われてから数分後、大金の入ったズッシリと重い袋と美味そうな匂いがしてくる味付けされた肉を受け取った俺は疲れた体を引きずりながら斡旋所を後にするのだった。
(そうだご主人様!お家に帰ったら完全体になった私をお見せしますから、楽しみにしといて下さいね!)
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