今まで視界にも入らなかった地味なクラスメイトが、実はかなりのイケメンチャラ男だったなんてことある!?(仮)
間に合った! 間に合ったんだけど、何か忘れてる気がする
「瑞季! 要!」
やった、間に合った!
学校から猛スピードで学童の建物まで走った私は、その達成感を味わっていた。高校からここまで、走って20分!
暑いけど、気持ちいのよね。
「お姉ちゃん!」
「姉ちゃん!」
今日は、2人とも学童内で待っていてくれたみたい。要は、膝を擦り剥いてるから大人しくしてたのかな? ちゃんと、帰りの準備もしてるじゃないの! 偉い偉い。
……でも、なんか忘れてる気がするんだよね。なんだろう。
「……す、鈴木さ……ん」
「あ、兄ちゃん!」
「お兄ちゃんも一緒だ!」
あああ!!
そうだった! 青葉くんも一緒に来てたの忘れてた!
2人の嬉しそうな声で気づいた私は、急いで青葉くんの声がする方へと顔を向けた。
「ちょっと……、休ませ、てくださ……」
「ご、ごめん……」
すると、暑いのにセーター姿の彼は、汗だくになりながら玄関のところで倒れ込んでいた。そりゃあ、その格好で走ればそうなるわよね。
私は、彼の存在をすっかり忘れていた自分を棚に上げて、そんな青葉くんの様子を呆れながら見ていた。
「……お兄ちゃん、どうしたの?」
「姉ちゃんにタックルされたんじゃね?」
「そんなことするワケないでしょう!」
2人は、荷物そっちのけで青葉くんの方へと駆け寄っていく。
……と言うか、その格好の青葉くんでよくあのド派手な彼と同じだってわかるわね。子どもって恐ろしい。
***
「マリ、いた?」
「……うーん、見えない」
私は、今日もタピオカ屋さんの前まで来ていた。
一緒についてきてくれたのは、ふみかと由利。詩織は、部活があるから来れないの。
「2日連続で行ってて飽きないの?」
「甘いものはいつ摂取しても飽きないんだよ〜」
「私は昨日で飽きたけどね」
「ふみかは舌が大人なんだよ。コーヒーだってブラックじゃん」
「甘いのが苦手なだけ」
「今度生クリームの美味しさを布教してやる!」
「やめて。聞くだけで胸焼けする!」
もう! ふみかちゃんってば!
まあ、彼女のお目当ては店員さんだもんね。タピオカじゃないことはわかってる。でも、私はタピオカと店員さんが目当て! 良いお客さんでしょ?
もし、あのかっこいい店員さんがいたら今日も注文しちゃおう。
そう思ってここまで来たんだけど、お店の中が見えないくらい人が並んでて見えない!こう言う時、梓の身長の高さがうらやましくなるなあ。
私は、小さい。
お母さんもお父さんも小さいから、遺伝だと思う。でも、お姉ちゃんは身長高いんだよね。なんでだろう?
「見えない〜」
「並べばいいじゃん」
「えー、でもいなかったら並び損じゃん。由利ちゃんから見えない?」
「私からも見えないなあ。と言うか、こんな人いるって思わなかった。そんなかっこいいの?」
「かっこいい! なんかもう、アイドル並みのかっこよさ!」
「へえ、言われてもピンとこない」
「由利はあまりテレビ観ないもんね」
「本の方が面白い」
梓と同じくらいの身長がある由利にも見えないらしい。ふみかはその中間だから絶対見えないし……。
「……あれ、タピオカ屋さんの?」
私が根を上げていると、昨日梓みたいな人が走ってた向かいの歩道にお目当ての顔を見つけた。
その人は、家族かな……と一緒に談笑している。
なんだか、昨日梓と見間違えた子連れの人と似てるなあ。でも、昨日の人より今日の人の方がおしゃれ。だって、あれは外行きの服装だし。
「本当だ。下のズボン、うちの制服着てない?」
「普通科の制服だよね、あれ」
「ってことは、同じ学校!?」
「あんな人いた?」
「いないいない! いたらすぐわかるもん!」
「うーん、学食で橋下くんと居た人に似てるけど」
「違うと思う。眉の感じとか目がなんか……。兄弟って言われたら納得だけど」
「確かにそんな感じするー」
「3年生かな。てか、子どもいるじゃん」
「ショック……」
……なあんだ、彼女いるじゃん。もう結婚してる?
私は、その光景にショックを受けた。
もちろん、自分が彼女になれるとは思っていない。ほら好きな芸能人に彼女いたら嫌じゃないの。その感覚。
「でも、マリちゃんが言うようにかっこいいね」
「でしょう!? 彼女さんが羨ましい」
「残念だね、マリ」
うーん、でも、なんか子ども大きすぎない?
何歳の時の子どもなの?
          
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