今まで視界にも入らなかった地味なクラスメイトが、実はかなりのイケメンチャラ男だったなんてことある!?(仮)
なんですっぴんなのに私ってわかるの……?
「思い出してくれましたか?」
「あ、あ。生クリーム……、同じクラスの……あの」
「はい、マシロ高校2年の青葉です」
私は、ずっと探していた人物を目の前にして、無意識におたまを床に落とす。
すると、青葉くんは持っていた鞄を床に置いて、おたまを拾ってくれた。それと同時に、笑顔で挨拶をしてくれたわ。結構律儀なのかも。
「先週、急いでてちゃんと挨拶できなかったからわからなかったですよね。すみません」
「あ、いえ……」
いやいや! 挨拶されてもわからなかったわ!
こんなの、同一人物だって誰がわかるの!?
瑞季たちよくわかったわね!
え、何?
私の想像力が欠乏してるの?
たしかに、美術は2だけど……。にしても、わからないって、これは!!
「えっと、その……。雰囲気変わりますね」
「鈴木さんも、学校の時と雰囲気全然違いますね。びっくりしました」
「え、あ……。ああ!!」
あ! 待って!
今、私すっぴんだった! 髪の毛も、適当に結んでるだけ!
しかもしかも! お母さんが着てる古臭いパーカー姿!
また見られた……。スーパーの時よりひどい格好。
……終わったわね、私の人生。
私は、最後の悪あがきの如く、急いで髪の毛をほどきできるだけ顔を隠した。
もう少し髪の毛伸ばしておけばよかったわ! 服までは隠せない。
すると、
「そういう鈴木さんもかわいいですよ。俺は好きです。……ここまで来てアレですけど、バイトがあるので帰りますね」
「……あ、えっと」
「お邪魔しました、おふたりにもよろしくお伝えください」
「あ……」
クラスメイトの青葉と名乗った男性は、私の慌てる姿を見て笑っている。
急にそう言われた私は、なんだか顔が熱くなった。何か言おうと口を開くも、目の前で玄関の扉が閉まってしまう。
あれ、今何か言われたような?
「……え。かわいい? 好きって。え? 男の人ってそんな簡単に口にするもんなの?」
確かに、彼は「好き」と言った。
別に、恋とかの好きではないのはわかってる。
でも、男性に言われたことないんだもの。慣れてないのよ。
私は、心配した瑞季が呼びに来るまでそのまましばらく玄関で立ち尽くした。
今の出来事に、頭が追いつかない。再度、すっぴん見られたショックも大きい。
それにそれに!
スーパーの時もだけど、メイクしてる顔しか見せたことないのになんで青葉くんはこの顔で私ってわかったの……?
          
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