ナイトメアシンドローム

ブンカ工場長

-4-

ドッ――…

瞬間、何かを弾くような鈍い音と、空気を裂くような感覚が肌をかすめた。
優もキルトも、一瞬何が起きたのかわからなかった。

ぼて…っ、と何か・・が地面に落ちる。

「あ…」

それに気づいた瞬間、キルトが地面に崩れ落ちた。辺りにすさまじい悲鳴が響く。

「あ゛あぁあ゛あぁ――っ!!」

突然わき上がって来た激痛に、キルトは右手で片方の腕を押さえる。しかし、先程まであったものがそこにはなかった。

「キルト…っ!?」

驚いた優はしゃがみ込み、キルトの身体を見てゾッとした。
ちぎられたかのように、左腕がほぼなくなっていたからだ。

「勝手にこんな場所まで入り込むなんて……」

ふいに低い声が辺りを包んだ。
その方を向くと、先程まで自分たちが通り抜けてきた森の奥から人影が現れる。

「え……」

優は全身に悪寒を感じた。

「悪いコたち」

うっすらと口元を歪めながら、魔人ソニアが立っていた。

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