ナイトメアシンドローム
-2-
「だからさ、おいらずっとこのヒントについて考えていたんだけど…、やっぱだめだ。
おいらじゃ見当つかねぇ。だから優、お前にこの池のカギを解除してもらいたい」
「え…っ!」
カギを握りしめ、まっすぐ優を見つめてキルトが言った。
その目は真剣で、建前なしに彼女を信頼しているかのようであった。
(……、あの時は答えられなかったけど)
あの時。あの森で彼に問われた時、その時は全く意図がわからず、ただ困惑するだけであった。
しかし、青ガラスといい目の前のキルトといい、自分ならこの状況を打破してくれるだろう。
そう思ってくれているのなら、自分はそれに応えたいし、何よりも素直にうれしいことだと、そう優は感じた。
「わかった、やってみます」
そう言うなり、優はヒントとなる言葉の意味について考えてみる。
(えっと…)
こちら側とあちら側、二つの世界に共通して存在する、唯一無二のモノ――。
(二つの世界は、私が元いた世界と、今いるこの世界のことだ。
そのどちらにも存在するものなんていったい……)
優は辺りを見渡してみる。
目の前の池。その周辺の森。空には無数の星たち。
それから元の世界のことも考えてみた。
学校。街中。商店街。神社…。
次々と、思いつく限りのものを頭の中に思い浮かべては消えていく。
けれどもそのどれもがピンとこず、とても正解があるとは思えなかった。
二つの世界に共通する…、二つをつなぐ、カギ穴――…
精一杯、思考をめぐらせて優は考えた。
そして再び池を見ると、ふとあるものに気づいた。
(……あ)
そして上を仰ぐと、つぶやいた。
「わかった」
「え?」
「わかったかも…」
「え、まじかよ!?それで…っ、何なんだその、唯一無二のなんちゃらってのは?」
ふいに出た優のつぶやきに、キルトが喰いつくように聞く。
「二つの世界に共通して存在する、唯一無二のモノ。それは……」
そう言って優は静かに空を指さした。
「答えは、˝月˝でしょ」
指さした先は真っ暗な夜空で、その中にまん丸の月、満月がゆったりと浮かんでいた。
それは夜空に一か所だけぽっかり空いた穴みたいで、まるでカギ穴のようだったのだ。
おいらじゃ見当つかねぇ。だから優、お前にこの池のカギを解除してもらいたい」
「え…っ!」
カギを握りしめ、まっすぐ優を見つめてキルトが言った。
その目は真剣で、建前なしに彼女を信頼しているかのようであった。
(……、あの時は答えられなかったけど)
あの時。あの森で彼に問われた時、その時は全く意図がわからず、ただ困惑するだけであった。
しかし、青ガラスといい目の前のキルトといい、自分ならこの状況を打破してくれるだろう。
そう思ってくれているのなら、自分はそれに応えたいし、何よりも素直にうれしいことだと、そう優は感じた。
「わかった、やってみます」
そう言うなり、優はヒントとなる言葉の意味について考えてみる。
(えっと…)
こちら側とあちら側、二つの世界に共通して存在する、唯一無二のモノ――。
(二つの世界は、私が元いた世界と、今いるこの世界のことだ。
そのどちらにも存在するものなんていったい……)
優は辺りを見渡してみる。
目の前の池。その周辺の森。空には無数の星たち。
それから元の世界のことも考えてみた。
学校。街中。商店街。神社…。
次々と、思いつく限りのものを頭の中に思い浮かべては消えていく。
けれどもそのどれもがピンとこず、とても正解があるとは思えなかった。
二つの世界に共通する…、二つをつなぐ、カギ穴――…
精一杯、思考をめぐらせて優は考えた。
そして再び池を見ると、ふとあるものに気づいた。
(……あ)
そして上を仰ぐと、つぶやいた。
「わかった」
「え?」
「わかったかも…」
「え、まじかよ!?それで…っ、何なんだその、唯一無二のなんちゃらってのは?」
ふいに出た優のつぶやきに、キルトが喰いつくように聞く。
「二つの世界に共通して存在する、唯一無二のモノ。それは……」
そう言って優は静かに空を指さした。
「答えは、˝月˝でしょ」
指さした先は真っ暗な夜空で、その中にまん丸の月、満月がゆったりと浮かんでいた。
それは夜空に一か所だけぽっかり空いた穴みたいで、まるでカギ穴のようだったのだ。
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