ナイトメアシンドローム
第16夢 最後の関門 -1-
「よし、ここだ!」
そうして森を抜けると、そこにはキルトが言った通り池があった。
その池は小さな湖のようで、周りが光る森に囲まれているせいか淡い光が水面に映り神秘的だ。
それだけじゃない。この池の周辺だけ空気が違うのだ。
澄んでいて厳かで、明らかに今までとは違う感覚。
この場所こそ何かが隠されている――。そう優は直感した。
「それで、出口はこの池そのものってこと?」
「いや、それが…」
するとキルトは頬をかきながら、何やら歯切れの悪い様子で言った。
「その…、出口がこの池であることは間違いないんだ。
ただちょっと、この池には細工が施されていて…。カギがかけられているらしい」
「カギって?」
「これだ」
優が首をかしげると、すかさずキルトがそれを見せる。
その手にはたしかにスプーン大ほどのカギが握られていた。
「外へ出るには扉を開けるだろ?この池そのものが元の世界への扉みたいなもんで、それを開けるためのカギはあいつから受け取ったんだけどな。
これでカギを解除すればいいんだけど、肝心のカギ穴がわからねぇ…。
それができなけりゃただの水たまりだ」
くやしそうに言うと、キルトは目の前に広がる大きな池をうらめしげに見る。
念願の出口が目の前にあるというのに、最後の最後でそのような関門があろうとは……。
どうしてもここから逃がさないつもりなのだろうか?
「そのカギ穴っていうのはどこですか?」
「この池のどこかに隠れているとしか言われなかったから…。
けど、あいつからヒントはもらったぞ。自分で考えろ的なやつ」
「ヒントですか、どんなの?」
「えっと…、なんか、
こちら側とあちら側の二つ世界に共通して存在する唯一無二のモノ。だったかな?それこそがカギ穴だって」
「え?」
そう語るキルトの言葉に、優はひっかかる。
(なんだろう、この言葉どこかで……)
こちら側とあちら側――
二つの世界に共通――
唯一無二のモノ――
以前どこかで耳にしたような不思議な感覚に、優はふと思い出す。
(あ…っ)
あの時の青ガラスの言葉だ。
それは香木の森の中、出口への重要な手がかりとして、彼が優へ授けた唯一のヒントと同じであった。
青ガラスはその時がきたら道が拓けると言っていたが、まさかこの状況を見越していたのだろうか。
そうして森を抜けると、そこにはキルトが言った通り池があった。
その池は小さな湖のようで、周りが光る森に囲まれているせいか淡い光が水面に映り神秘的だ。
それだけじゃない。この池の周辺だけ空気が違うのだ。
澄んでいて厳かで、明らかに今までとは違う感覚。
この場所こそ何かが隠されている――。そう優は直感した。
「それで、出口はこの池そのものってこと?」
「いや、それが…」
するとキルトは頬をかきながら、何やら歯切れの悪い様子で言った。
「その…、出口がこの池であることは間違いないんだ。
ただちょっと、この池には細工が施されていて…。カギがかけられているらしい」
「カギって?」
「これだ」
優が首をかしげると、すかさずキルトがそれを見せる。
その手にはたしかにスプーン大ほどのカギが握られていた。
「外へ出るには扉を開けるだろ?この池そのものが元の世界への扉みたいなもんで、それを開けるためのカギはあいつから受け取ったんだけどな。
これでカギを解除すればいいんだけど、肝心のカギ穴がわからねぇ…。
それができなけりゃただの水たまりだ」
くやしそうに言うと、キルトは目の前に広がる大きな池をうらめしげに見る。
念願の出口が目の前にあるというのに、最後の最後でそのような関門があろうとは……。
どうしてもここから逃がさないつもりなのだろうか?
「そのカギ穴っていうのはどこですか?」
「この池のどこかに隠れているとしか言われなかったから…。
けど、あいつからヒントはもらったぞ。自分で考えろ的なやつ」
「ヒントですか、どんなの?」
「えっと…、なんか、
こちら側とあちら側の二つ世界に共通して存在する唯一無二のモノ。だったかな?それこそがカギ穴だって」
「え?」
そう語るキルトの言葉に、優はひっかかる。
(なんだろう、この言葉どこかで……)
こちら側とあちら側――
二つの世界に共通――
唯一無二のモノ――
以前どこかで耳にしたような不思議な感覚に、優はふと思い出す。
(あ…っ)
あの時の青ガラスの言葉だ。
それは香木の森の中、出口への重要な手がかりとして、彼が優へ授けた唯一のヒントと同じであった。
青ガラスはその時がきたら道が拓けると言っていたが、まさかこの状況を見越していたのだろうか。
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