ナイトメアシンドローム
-2-
「行くしかないよな、やっぱ」
「なんか、ちょっと寒いな…」
ひやりとした冷たい空気に、優は両腕をさする。
「そうか?おいらは平気だけど…。んじゃ進んでいこうぜ」
そう言うとキルトは乾いた大地を歩き出した。優もつられて進めば、肌寒さがいっそう身体にまとわりつく。
この場所にたどり着いてから、なんだか辺りの気温がぐっと下がったようだった。
優とキルトは標がかしに言われた北西の方角を目指していく。
見渡す限り枯れ木と電柱しか見えず、出口への手がかりは再びふりだしに戻ったかのようである。
「なんもねーな」
「そうですね、それにしても…」
優は辺りを確認する。何もない、というわけではなかった。
「すごいゴミの量…」
二人は今、山のなかを歩いていた。山といっても普通のそれではなく、廃棄された器物がひしめくがらくたの山である。
「まだ使えそうなもんばっかじゃん。もったいねぇな」
キルトががらくたの山に近づくと、それらを見つめて言った。優も積み上げられた山のようなゴミを見上げる。
テレビにラジオといった電化製品や家具。さびれた自転車や車のタイヤ、または何かの機械部分など――。
いずれも優が日常生活のなかで目にするものばかりであった。
多少壊れてはいるものの、ゴミとして捨ててしまうにはあまりにももったいない感じだ。
「名づけるなら…、がらくたたちの墓場、って感じだな、ここ」
キルトがしんみりとした様子でつぶやいた。まさにぴったりな例えに、優はうなずく。
がらくたと呼ぶにはまだ早いものも多々みられるが、捨てられて行き場を失った器物が積み上げられた様は、なんとなくゴミの死骸のように感じられたのだ。
「それはそうと、なんかさぁ…。おいらたち、だまされたんじゃねーか?」
「え?」
すると突然、キルトがそんなことを言った。
「だってさ、言われた通り進んでるけど、出口への手がかりらしいもん何もないぞ。
あるのはここのがらくた山くらいだし…。あいつ、テキトーな道でも教えたんじゃねーの?」
そういうキルトは訝し気に顔をしかめた。標がかしの導きを、どうやら彼はあまり信じていないようだ。
しかし言われた方角へ進んではいるも、進展が感じられないこともまた事実であった。
この生気の感じられない枯れた大地を、もうずいぶん進んだのではないだろうか――。
延々と立ち並ぶ枯れ木と電柱の林を進み続け、たどり着いたのがこの「がらくたの墓場」というわけだ。
「適当な道かはまだわからないけど…。もう少し進んでみて何もないようなら、別の道を探しましょうか」
そう言って優はキルトをなだめる。
キルトはしぶしぶといった様子でとりあえずうなずいた。
「なんか、ちょっと寒いな…」
ひやりとした冷たい空気に、優は両腕をさする。
「そうか?おいらは平気だけど…。んじゃ進んでいこうぜ」
そう言うとキルトは乾いた大地を歩き出した。優もつられて進めば、肌寒さがいっそう身体にまとわりつく。
この場所にたどり着いてから、なんだか辺りの気温がぐっと下がったようだった。
優とキルトは標がかしに言われた北西の方角を目指していく。
見渡す限り枯れ木と電柱しか見えず、出口への手がかりは再びふりだしに戻ったかのようである。
「なんもねーな」
「そうですね、それにしても…」
優は辺りを確認する。何もない、というわけではなかった。
「すごいゴミの量…」
二人は今、山のなかを歩いていた。山といっても普通のそれではなく、廃棄された器物がひしめくがらくたの山である。
「まだ使えそうなもんばっかじゃん。もったいねぇな」
キルトががらくたの山に近づくと、それらを見つめて言った。優も積み上げられた山のようなゴミを見上げる。
テレビにラジオといった電化製品や家具。さびれた自転車や車のタイヤ、または何かの機械部分など――。
いずれも優が日常生活のなかで目にするものばかりであった。
多少壊れてはいるものの、ゴミとして捨ててしまうにはあまりにももったいない感じだ。
「名づけるなら…、がらくたたちの墓場、って感じだな、ここ」
キルトがしんみりとした様子でつぶやいた。まさにぴったりな例えに、優はうなずく。
がらくたと呼ぶにはまだ早いものも多々みられるが、捨てられて行き場を失った器物が積み上げられた様は、なんとなくゴミの死骸のように感じられたのだ。
「それはそうと、なんかさぁ…。おいらたち、だまされたんじゃねーか?」
「え?」
すると突然、キルトがそんなことを言った。
「だってさ、言われた通り進んでるけど、出口への手がかりらしいもん何もないぞ。
あるのはここのがらくた山くらいだし…。あいつ、テキトーな道でも教えたんじゃねーの?」
そういうキルトは訝し気に顔をしかめた。標がかしの導きを、どうやら彼はあまり信じていないようだ。
しかし言われた方角へ進んではいるも、進展が感じられないこともまた事実であった。
この生気の感じられない枯れた大地を、もうずいぶん進んだのではないだろうか――。
延々と立ち並ぶ枯れ木と電柱の林を進み続け、たどり着いたのがこの「がらくたの墓場」というわけだ。
「適当な道かはまだわからないけど…。もう少し進んでみて何もないようなら、別の道を探しましょうか」
そう言って優はキルトをなだめる。
キルトはしぶしぶといった様子でとりあえずうなずいた。
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