パーティーを追放された俺は、隠しスキル《縁下》で世界最強のギルドを作る
第25話 万能元気薬チョコレット
あれからまた三週間が経過した。
トルエの協力(エスタル族長からの強制)の元、リスマン族の里中に客室と同じ空間を作り、リエンが時空間魔法でサシェス族の里と繋げた。
数としては十三。今ではサシェス族とリスマン族が互いの里に行き来をし、交流を深めている。
いや、交流を深めるだけでなく、戦争準備も互いに進めている。アデシャ族長曰く、こんなにも順調に準備が進んだことはいままで無かったそうだ。そりゃ、四日もかかる道中を数秒で行き来出来るようになったからな。
それに加え、戦争に参加出来ない子供達は、今は俺達の館に集めている。数にして二七五人。流石に子供達は、戦争に参加させられないからな。
今回、俺達の役割はクロ達の組織の足止め、または必要に応じてエルフ達の援護だ。あっちにはエンパイオがいる。それに対抗出来るのは、こっちではレアナとリエンくらいだからな。
俺? 無理無理。技術的には強くなったけど、俺自身の強さは大して上がってないからな。ここは二人に任せるしかない。
問題は、セツナやその他にいるだろう部下についてだ。
レアナとリエンをエンパイオにぶつければ、俺は必然的にセツナ達の相手をする事になる。魔剣アンサラーを手にしてるとは言え、それだけじゃ心許ないな……何か対策を考えないと。
とか考えながらの三週間だったけど、全く何もおもいうかばないんですよねぇ。
見晴台の上で横になり、空を見上げる。綺麗な青空だ。空はこんなに青いのに、俺の心は雨模様。なんちって。
「なーに辛気臭い顔してんのよ」
「……レアナか」
いつの間にか登ってきてたらしい。腰に手を当てて俺を上から見下ろしてくる。
「……いちごパンツ」
「んなっ、見てんじゃないわよ!」
いやこの位置でそう立ったって事は、見せに来たんだろ? それにしては年相応のお子様パンツだったけど。
「何かあったのか?」
「もう直ぐアデシャ族長とエスタル族長の祈りの儀式が始まるわよ。見に行かないの?」
「正確には、宝物奉納の儀だ。実の成る一週間前から始めて、ぶっ続けで祈り続ける儀式だったな」
それをやらないと、神樹デルタは実を付けることが出来ず、苗自体が枯れてしまうそうだ。結構デリケートなんだな、神樹ってのは。
「俺は良いや。ここで見張りしてる」
「見張りって……まだ一週間前よ? 流石に来ないんじゃないかしら」
「俺が奴らだったら、まず里を潰してから人質を取る。見せしめに首を一人ずつ飛ばして無理矢理従わせて祈らせ、人質と引き換えに神樹デルタの実を頂く」
「…………たまに思うけど、あんたの方がよっぽど悪人っぽいわよ」
何を言う。どうしても手に入れたいものなら、手段を選ばないのが人間だろ。
「全く……なら、私もここにいるわ。思ってみれば、儀式をずっと見続けるのは退屈だもの」
「その通り」
「……あんた、それが本音ね?」
バレたか。
レアナはそっとため息をつくと、俺の横に座って下界を見下ろす。
「……綺麗ね、ここの森は。守護森林の物騒さとは大違い」
「向こうは、魔物達の叫び声や這いずる音が煩いからな。遮音結界が無いと夜も眠れん」
「……私、ここ気に入ったわ。里も居心地がいいし、エルフの皆も優しくしてくれるし」
……レアナの言いたい事、何となく分かる。
何で神樹デルタの実一つで、そこまで争うのか……俺達には理解出来ない。エルフ皆で仲良くすれば争いは起こらないのにな……。
……いや、俺達人間の間でさえ、争いは尽きない。それはエルフも同じなんだろう。皆仲良く、ってのは幻想だ。
だからこそ、俺達は今やれることをやるしかない。
「……ねぇ、ジオウ」
「……そんな心配そうな声を出すなよ。大丈夫。お前達は強い。他でもない俺が保証する」
「……うん……そうよね。ありがとう」
……とか言いつつ、まだ心配そうだな……よし。
「チョコレット」
ぴくっ。
「チョコレットケーキ」
ぴくぴくっ。
「王都最高級チョコレット菓子」
ぴくぴくぴくっ。
もう一声か。
「一年分でどうだ?」
「うっしゃーーーー! やる気バリバリ出てきたわ! どっからでも掛かって来なさいってのよ! はーっはっはっは!」
ふっ、レアナも、リエンに負けず劣らず現金なヤツだ。
つっても、俺達の収入源は主にレアナだから、レアナの金で買うことになるんだけどな。別に俺の金で買うとは一言も言ってない。回り回って自分のところに帰ってくるだけだ。
そんな事言いませんけどね!
「……あんた、悪い事考えてる顔してるわよ。悪かったわね、単純で。ふんっ」
別に単純って所を馬鹿にしてるつもりはないんだが……まあある意味単純か。
膨れっ面のレアナを見て苦笑い。全く、可愛い奴め。
と……ん? 魔法陣?
見晴台の上に見た事がある魔法陣が刻まれ、そこからエタが現れた。
……え、何でそんな蜘蛛の巣まみれなのこの子?
「うぅ……しくじりました。まさか向こうも同じ戦法を取ってくるなんて……」
無表情のエタから、悔しそうなリエンの声が聞こえてくる。
「向こうって、何かあったのか?」
「はい、エタちゃんを使ってレグド族の里を偵察しに行ったのですが、探知魔法と捕縛魔法のコンボに捕まってしまいまして……完全に油断しました」
なるほど、だから蜘蛛の巣やら葉っぱを髪の毛にくっ付けたまま、転移して来たのか。
……アデシャ族長と言い、レグド族の族長と言い、人の作ったものを平気で改良したりパクッたりするのは本当に頂けない。
二度目だが、大切な事だから高らかに言おう。
「これだから天才はッッッ!!!」
トルエの協力(エスタル族長からの強制)の元、リスマン族の里中に客室と同じ空間を作り、リエンが時空間魔法でサシェス族の里と繋げた。
数としては十三。今ではサシェス族とリスマン族が互いの里に行き来をし、交流を深めている。
いや、交流を深めるだけでなく、戦争準備も互いに進めている。アデシャ族長曰く、こんなにも順調に準備が進んだことはいままで無かったそうだ。そりゃ、四日もかかる道中を数秒で行き来出来るようになったからな。
それに加え、戦争に参加出来ない子供達は、今は俺達の館に集めている。数にして二七五人。流石に子供達は、戦争に参加させられないからな。
今回、俺達の役割はクロ達の組織の足止め、または必要に応じてエルフ達の援護だ。あっちにはエンパイオがいる。それに対抗出来るのは、こっちではレアナとリエンくらいだからな。
俺? 無理無理。技術的には強くなったけど、俺自身の強さは大して上がってないからな。ここは二人に任せるしかない。
問題は、セツナやその他にいるだろう部下についてだ。
レアナとリエンをエンパイオにぶつければ、俺は必然的にセツナ達の相手をする事になる。魔剣アンサラーを手にしてるとは言え、それだけじゃ心許ないな……何か対策を考えないと。
とか考えながらの三週間だったけど、全く何もおもいうかばないんですよねぇ。
見晴台の上で横になり、空を見上げる。綺麗な青空だ。空はこんなに青いのに、俺の心は雨模様。なんちって。
「なーに辛気臭い顔してんのよ」
「……レアナか」
いつの間にか登ってきてたらしい。腰に手を当てて俺を上から見下ろしてくる。
「……いちごパンツ」
「んなっ、見てんじゃないわよ!」
いやこの位置でそう立ったって事は、見せに来たんだろ? それにしては年相応のお子様パンツだったけど。
「何かあったのか?」
「もう直ぐアデシャ族長とエスタル族長の祈りの儀式が始まるわよ。見に行かないの?」
「正確には、宝物奉納の儀だ。実の成る一週間前から始めて、ぶっ続けで祈り続ける儀式だったな」
それをやらないと、神樹デルタは実を付けることが出来ず、苗自体が枯れてしまうそうだ。結構デリケートなんだな、神樹ってのは。
「俺は良いや。ここで見張りしてる」
「見張りって……まだ一週間前よ? 流石に来ないんじゃないかしら」
「俺が奴らだったら、まず里を潰してから人質を取る。見せしめに首を一人ずつ飛ばして無理矢理従わせて祈らせ、人質と引き換えに神樹デルタの実を頂く」
「…………たまに思うけど、あんたの方がよっぽど悪人っぽいわよ」
何を言う。どうしても手に入れたいものなら、手段を選ばないのが人間だろ。
「全く……なら、私もここにいるわ。思ってみれば、儀式をずっと見続けるのは退屈だもの」
「その通り」
「……あんた、それが本音ね?」
バレたか。
レアナはそっとため息をつくと、俺の横に座って下界を見下ろす。
「……綺麗ね、ここの森は。守護森林の物騒さとは大違い」
「向こうは、魔物達の叫び声や這いずる音が煩いからな。遮音結界が無いと夜も眠れん」
「……私、ここ気に入ったわ。里も居心地がいいし、エルフの皆も優しくしてくれるし」
……レアナの言いたい事、何となく分かる。
何で神樹デルタの実一つで、そこまで争うのか……俺達には理解出来ない。エルフ皆で仲良くすれば争いは起こらないのにな……。
……いや、俺達人間の間でさえ、争いは尽きない。それはエルフも同じなんだろう。皆仲良く、ってのは幻想だ。
だからこそ、俺達は今やれることをやるしかない。
「……ねぇ、ジオウ」
「……そんな心配そうな声を出すなよ。大丈夫。お前達は強い。他でもない俺が保証する」
「……うん……そうよね。ありがとう」
……とか言いつつ、まだ心配そうだな……よし。
「チョコレット」
ぴくっ。
「チョコレットケーキ」
ぴくぴくっ。
「王都最高級チョコレット菓子」
ぴくぴくぴくっ。
もう一声か。
「一年分でどうだ?」
「うっしゃーーーー! やる気バリバリ出てきたわ! どっからでも掛かって来なさいってのよ! はーっはっはっは!」
ふっ、レアナも、リエンに負けず劣らず現金なヤツだ。
つっても、俺達の収入源は主にレアナだから、レアナの金で買うことになるんだけどな。別に俺の金で買うとは一言も言ってない。回り回って自分のところに帰ってくるだけだ。
そんな事言いませんけどね!
「……あんた、悪い事考えてる顔してるわよ。悪かったわね、単純で。ふんっ」
別に単純って所を馬鹿にしてるつもりはないんだが……まあある意味単純か。
膨れっ面のレアナを見て苦笑い。全く、可愛い奴め。
と……ん? 魔法陣?
見晴台の上に見た事がある魔法陣が刻まれ、そこからエタが現れた。
……え、何でそんな蜘蛛の巣まみれなのこの子?
「うぅ……しくじりました。まさか向こうも同じ戦法を取ってくるなんて……」
無表情のエタから、悔しそうなリエンの声が聞こえてくる。
「向こうって、何かあったのか?」
「はい、エタちゃんを使ってレグド族の里を偵察しに行ったのですが、探知魔法と捕縛魔法のコンボに捕まってしまいまして……完全に油断しました」
なるほど、だから蜘蛛の巣やら葉っぱを髪の毛にくっ付けたまま、転移して来たのか。
……アデシャ族長と言い、レグド族の族長と言い、人の作ったものを平気で改良したりパクッたりするのは本当に頂けない。
二度目だが、大切な事だから高らかに言おう。
「これだから天才はッッッ!!!」
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