パーティーを追放された俺は、隠しスキル《縁下》で世界最強のギルドを作る
第14話 頼み
暫くしてシュユとリエンが執務室に戻ってきた。リエンの方は……顔から察するに、大天使についての情報は得られなかったみたいだ。
「御三方。本当になんとお礼を言って良いやら……」
「それはいいんだが……これ、大天使ミカエルの羽だぞ。元々探していたものとは違うし、羽を探していた仲間もいい思いはしないだろ?」
「問題ない。神樹デルタに供える物は、希少物になればなるほど良いとされているんだ。探していた同朋は、元から捜索に乗り気じゃなくてサボってばかりだったからな。感謝の手紙も預かっているぞ」
おいエルフ……。
エルフの能天気具合に頭が痛くなってきた……。
俺達三人がシュユをジト目で見ると、いたたまれなくなったのかそっと目を逸らした。
「え、エルフが全員そういう訳ではないぞ? ただあの方は、乗り気じゃないと仕事をしないと言うか、イヤイヤと言うばかりで……」
「イヤイヤ期の子供かそいつは」
「うっ……そうなのだ。返す言葉もない……」
……シュユも色々と苦労してたんだな……これ以上責めるのは可哀想だから、もういいか。
「シュユ、座ってくれ。レアナとリエンも」
俺の言葉に、全員ソファーに座り、俺は執務椅子に座る。
「シュユ。早速だが、今回俺達が助けた理由と、俺達の目的を話す。それを踏まえた上で、俺達はエルフ族に頼みがある。良いか?」
確認をすると、シュユが少し考え込んでから頷いた。
「……分かった。私個人には限界があるが、出来る限り族長に受け入れて貰えるよう、説得しよう」
「助かる」
さて、まず俺達の事から話をしようか。
「俺達三人は、国に所属していないギルドとして活動をしている。組織名は【虚ろう者】。どこにも属さないが、どこからの仕事も請け負う組織だ」
「……ギルドと言うのは聞いた事あるぞ。確か、報酬と引き換えに依頼を受ける組織だったか?」
「その通りだ。だけど、俺達にはその依頼をしてくる相手がいない。そこで、エルフ族の依頼や面倒事を、俺達に解決させて欲しいというのが、俺からの頼みだ」
情報では、エルフ族にはギルドのような組織は無く、災害などは自然のものとして受け入れているのが現状だと聞く。
だがそれは、受け入れじゃなく諦めだと俺は思っている。
逆らっても抗えない災害。だから受け入れるしかない。
でも、そんな事は無いと分かってもらいたい。人類は災害や魔物に抗う事で発展してきた。エルフだって、これから発展して行くことも出来るはずだ。
「要は、エルフ族の自治に人間が介入するということか……」
「自治とまでは言わないけど、協力出来る所は協力させて欲しい。勿論、厄介事や面倒事以外にも、自然災害への対処や魔物の駆除も任せてくれ。俺達ならそれが出来る」
「ふむ……」
シュユが深く考え込んでいると、「ん?」と首を傾げた。
「一つ疑問に思うのだが、何故国に属していないんだ? こんな回りくどい事をしなくても、御三方の力なら簡単に国に認められて貰えると思うが……」
……あ、そう言えばスキルについて説明してなかったか。
レアナとリエンを見ると、二人とも縦に首を振る。俺もそれに答えるように、小さく頷いた。
「……それは、俺のスキルが関係する。ユニークスキル《縁下》。効果は、俺と契約した組織にいる者の力を一定数倍増させる。今はスキルレベル2だが、倍増量は三倍。……後は分かるだろ?」
「……なるほどな。確かにジオウ殿がギルドに所属するだけで、そのギルドにいる全員が強くなれば、その組織全体が傲り、暴力の限りを尽くすだろう」
理解してくれたようだ。やっぱり、頭の回転は速いんだな。頭の回転が速いやつは嫌いじゃない。
「……分かった。我がサシェス族族長に話を通してみよう。族長も革新派だから、恐らく受け入れてくれると思う」
「ああ、それで良い」
最終的な説得は俺の方からするつもりだ。それでダメなら、他にも部族はいる。可能性を少しでも上げるなら、頼りにする他ないだろうな。
シュユはレアナとリエンを見て、うんうんと二度頷いた。
「お二人から感じるオーラ、只者ではないとは思っていたが……なるほど。そう言ったカラクリがあるのだな」
「シュユちゃんも入ります?」
リエンの問いに、シュユは快活に笑った。
「ふふふ。前向きに検討しておこう」
「御三方。本当になんとお礼を言って良いやら……」
「それはいいんだが……これ、大天使ミカエルの羽だぞ。元々探していたものとは違うし、羽を探していた仲間もいい思いはしないだろ?」
「問題ない。神樹デルタに供える物は、希少物になればなるほど良いとされているんだ。探していた同朋は、元から捜索に乗り気じゃなくてサボってばかりだったからな。感謝の手紙も預かっているぞ」
おいエルフ……。
エルフの能天気具合に頭が痛くなってきた……。
俺達三人がシュユをジト目で見ると、いたたまれなくなったのかそっと目を逸らした。
「え、エルフが全員そういう訳ではないぞ? ただあの方は、乗り気じゃないと仕事をしないと言うか、イヤイヤと言うばかりで……」
「イヤイヤ期の子供かそいつは」
「うっ……そうなのだ。返す言葉もない……」
……シュユも色々と苦労してたんだな……これ以上責めるのは可哀想だから、もういいか。
「シュユ、座ってくれ。レアナとリエンも」
俺の言葉に、全員ソファーに座り、俺は執務椅子に座る。
「シュユ。早速だが、今回俺達が助けた理由と、俺達の目的を話す。それを踏まえた上で、俺達はエルフ族に頼みがある。良いか?」
確認をすると、シュユが少し考え込んでから頷いた。
「……分かった。私個人には限界があるが、出来る限り族長に受け入れて貰えるよう、説得しよう」
「助かる」
さて、まず俺達の事から話をしようか。
「俺達三人は、国に所属していないギルドとして活動をしている。組織名は【虚ろう者】。どこにも属さないが、どこからの仕事も請け負う組織だ」
「……ギルドと言うのは聞いた事あるぞ。確か、報酬と引き換えに依頼を受ける組織だったか?」
「その通りだ。だけど、俺達にはその依頼をしてくる相手がいない。そこで、エルフ族の依頼や面倒事を、俺達に解決させて欲しいというのが、俺からの頼みだ」
情報では、エルフ族にはギルドのような組織は無く、災害などは自然のものとして受け入れているのが現状だと聞く。
だがそれは、受け入れじゃなく諦めだと俺は思っている。
逆らっても抗えない災害。だから受け入れるしかない。
でも、そんな事は無いと分かってもらいたい。人類は災害や魔物に抗う事で発展してきた。エルフだって、これから発展して行くことも出来るはずだ。
「要は、エルフ族の自治に人間が介入するということか……」
「自治とまでは言わないけど、協力出来る所は協力させて欲しい。勿論、厄介事や面倒事以外にも、自然災害への対処や魔物の駆除も任せてくれ。俺達ならそれが出来る」
「ふむ……」
シュユが深く考え込んでいると、「ん?」と首を傾げた。
「一つ疑問に思うのだが、何故国に属していないんだ? こんな回りくどい事をしなくても、御三方の力なら簡単に国に認められて貰えると思うが……」
……あ、そう言えばスキルについて説明してなかったか。
レアナとリエンを見ると、二人とも縦に首を振る。俺もそれに答えるように、小さく頷いた。
「……それは、俺のスキルが関係する。ユニークスキル《縁下》。効果は、俺と契約した組織にいる者の力を一定数倍増させる。今はスキルレベル2だが、倍増量は三倍。……後は分かるだろ?」
「……なるほどな。確かにジオウ殿がギルドに所属するだけで、そのギルドにいる全員が強くなれば、その組織全体が傲り、暴力の限りを尽くすだろう」
理解してくれたようだ。やっぱり、頭の回転は速いんだな。頭の回転が速いやつは嫌いじゃない。
「……分かった。我がサシェス族族長に話を通してみよう。族長も革新派だから、恐らく受け入れてくれると思う」
「ああ、それで良い」
最終的な説得は俺の方からするつもりだ。それでダメなら、他にも部族はいる。可能性を少しでも上げるなら、頼りにする他ないだろうな。
シュユはレアナとリエンを見て、うんうんと二度頷いた。
「お二人から感じるオーラ、只者ではないとは思っていたが……なるほど。そう言ったカラクリがあるのだな」
「シュユちゃんも入ります?」
リエンの問いに、シュユは快活に笑った。
「ふふふ。前向きに検討しておこう」
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