パーティーを追放された俺は、隠しスキル《縁下》で世界最強のギルドを作る
第19話 崩れ落ちる元最強
さて、挨拶はこのくらいにして──。
スーパーゴリラが俺を標的とし、拳を振り下ろしてきた。
それを僅かに体を傾けて避け、コンバットナイフで手首を切り落とす。
「ギャガッ!?」
間髪入れず綺麗に首を落とすと、俺、レアナ、リエンはそのまま守護森林を抜け、草原へ出た。
「……嘘……速い……!?」
「いや、リリ。俺はあの時から全く変わってないよ」
スピードも、パワーも変わらない。ただ、スーパーゴリラ如きに負けるほど、ヤワな鍛え方をしてないだけだ。……化け物のお前らに追い付こうと、俺も必死だった。それだけだ。
「……次の魔物が来るまで、まだ時間があるな。……お前らに真実を教えておく。お前らの力の源。それは、俺のスキルによるものだ」
簡潔に、かつ明瞭に俺のスキルについて話す。
隠しスキルについて。そして最近、それを覚醒させたことも。
真実を聞くと、全員愕然とした表情になった。
「つまりお前達の強さは、俺ありきのものだったんだよ」
「そ、そんな……そんな事って……!」
「事実だ、アリナ。受け入れろ」
俺の言葉に、誰も反論しなかった。どこか心当たりがあるんだろう。
自分達の強さだと思っていたものが、実は俺の存在が必要不可欠だった。その現実に、自尊心も、傲慢さも、誇りも、今まで信じて歩いてきた全てを、否定された感覚に陥ってるだろう。
そんな中、ガレオンがおずおずと声を上げる。
「で、でもよ、今回も俺達に力を貸してくれたって事は、一緒に大洋館を攻略するため、だよな? そうだよな、ジオウさん!」
「勘違い乙。確かに俺の目的は大洋館攻略だが、別にお前らの手を借りたいとは思っていない。今回お前らに力を貸したのは、俺達が楽に通る道を作るためだ」
「そん、な……! ふ、ふざけんじゃねぇ!!!」
……はぁ。逆上して殴りかかってくる。ガレオン、お前は本当に成長しないな。
瞬時に近づき、鳩尾を蹴って数メートル吹き飛ばす。いい位置に入ったのか、ゲロを撒き散らして蹲ってるな。
「俺は、お前達が俺にしたことを忘れていない。……俺の言ってる意味、分かるな?」
俺の問いに、全員顔を逸らした。分かりやすい反応をありがとう。
……そろそろ魔物が来るな。
「それじゃあ、後は自分達の力だけで乗り切ってくれ。じゃあな」
「ま、待って! 待ってジオウさん!」
リリが守護森林を出ようとして来るが、レアナがそれを押し返した。
「止めなさい。見苦しいわ」
「離して! 離してよ! 待ってジオウさん! 私、あなたの事が好きなの! あなたが望むなら何でもする! 殺しもやるし、肉オ〇ホでもいい! だから私も連れて行って!」
……はぁ……。
「……三年前。お前の態度で俺に向けられていた好意には気付いていた」
「それじゃあ……!」
そんな目を輝かせて……慌てるなよ。
「けど、それ以降のお前の態度の急変は目に余るものだ。ゴミを見るような目で見下し、戦闘に乗じてバックアタックを仕掛けてくるし、影で何度も死ねばいいって言っているのを聞いている。……生き残る為とはいえ、簡単に手の平を返すなんて、とんだ腐れビッチだな」
「…………」
心が壊れたのか、涙も流さずその場にへたり込むリリ。……話はそれだけみたいだな。
メンバー達と決別するように後ろを向き、草原を進む。
背後から【白虎】の叫び声や、肉が弾ける音。壊され、食われ、ぐちゃぐちゃにされる音が聞こえる。
「ジ、オウ……! ゆる、ゆるざねぇ、ぞ……! てめぇはっ、ぜってぇ……!」
……この声、レイガか。
「安心しろ。許しても許さなくても、お前らはそこで終わりだ」
「ぐ、ぞ……ぐぞぉ……!!!」
──────────
「……これであんたの心残りは無くなった。良かったわね、ジオウ」
背後の守護森林が米粒に見えるくらい歩いたところで、レアナが優しく口を開いた。
「そうだな。……自分でもびっくりだよ。ここまであいつらに憎悪の感情を持ってたなんてな」
でないと、普通あそこまで冷酷になんてなれないだろう。自分の中の闇を感じたな。
「私としてはジオウさんの冷酷さはとてもゾクゾクしましたっ。でも残念ながら、もうちょっと綺麗に死ぬよう操れたら私的には良かったですね。なので一〇〇点満点中八〇点です」
「それ自分の部下にしたいだけだろ」
「あのリリとかいう女の子、とても綺麗な肌をしてましたからねぐへへへへ」
怖い。やっぱこいつ怖い。
俺とレアナがドン引きしていると、リエンが「あっ」と声を出した。
「見えてきましたよ」
「……あれが、アルケミストの大洋館か……」
まだ全然遠いのに、禍々しい空気が肌を撫でるようだ。まるで死へと誘う雰囲気に、一瞬たじろぐ。
「……確かにありゃ、守護森林の数倍はヤバそうだな……」
守護森林も大概だったが、大洋館からすれば庭と言われても信じられるな……。
「ふーん、中々雰囲気あるわね」
「とても大きな洋館ですねぇ。あれが私達のものになると思うと、ワクワクします」
「……お前ら、余裕そうだな」
俺、今にもチビりそうなんだけど……。
だが二人は、キョトンとした顔で俺の顔を見つめてきた。な、何だよ?
「当然よ。なんてったって、最強の味方がいるんだもの。それに、二〇〇体の死体を使役するリエンもいる。どう考えても負ける要素はないわ」
「私も同じ考えです。ジオウさんとレアナちゃんがいて、負けるなんて考えられませんよ」
「……お前ら……」
……はぁ……そうだよな……こいつらに俺がいるように、俺にはこいつらがいるんだ。負けるなんて、ありえないよな。
「じゃあ、Sランクダンジョン、アルケミストの大洋館……行くぞ」
「ええ!」
「はい!」
スーパーゴリラが俺を標的とし、拳を振り下ろしてきた。
それを僅かに体を傾けて避け、コンバットナイフで手首を切り落とす。
「ギャガッ!?」
間髪入れず綺麗に首を落とすと、俺、レアナ、リエンはそのまま守護森林を抜け、草原へ出た。
「……嘘……速い……!?」
「いや、リリ。俺はあの時から全く変わってないよ」
スピードも、パワーも変わらない。ただ、スーパーゴリラ如きに負けるほど、ヤワな鍛え方をしてないだけだ。……化け物のお前らに追い付こうと、俺も必死だった。それだけだ。
「……次の魔物が来るまで、まだ時間があるな。……お前らに真実を教えておく。お前らの力の源。それは、俺のスキルによるものだ」
簡潔に、かつ明瞭に俺のスキルについて話す。
隠しスキルについて。そして最近、それを覚醒させたことも。
真実を聞くと、全員愕然とした表情になった。
「つまりお前達の強さは、俺ありきのものだったんだよ」
「そ、そんな……そんな事って……!」
「事実だ、アリナ。受け入れろ」
俺の言葉に、誰も反論しなかった。どこか心当たりがあるんだろう。
自分達の強さだと思っていたものが、実は俺の存在が必要不可欠だった。その現実に、自尊心も、傲慢さも、誇りも、今まで信じて歩いてきた全てを、否定された感覚に陥ってるだろう。
そんな中、ガレオンがおずおずと声を上げる。
「で、でもよ、今回も俺達に力を貸してくれたって事は、一緒に大洋館を攻略するため、だよな? そうだよな、ジオウさん!」
「勘違い乙。確かに俺の目的は大洋館攻略だが、別にお前らの手を借りたいとは思っていない。今回お前らに力を貸したのは、俺達が楽に通る道を作るためだ」
「そん、な……! ふ、ふざけんじゃねぇ!!!」
……はぁ。逆上して殴りかかってくる。ガレオン、お前は本当に成長しないな。
瞬時に近づき、鳩尾を蹴って数メートル吹き飛ばす。いい位置に入ったのか、ゲロを撒き散らして蹲ってるな。
「俺は、お前達が俺にしたことを忘れていない。……俺の言ってる意味、分かるな?」
俺の問いに、全員顔を逸らした。分かりやすい反応をありがとう。
……そろそろ魔物が来るな。
「それじゃあ、後は自分達の力だけで乗り切ってくれ。じゃあな」
「ま、待って! 待ってジオウさん!」
リリが守護森林を出ようとして来るが、レアナがそれを押し返した。
「止めなさい。見苦しいわ」
「離して! 離してよ! 待ってジオウさん! 私、あなたの事が好きなの! あなたが望むなら何でもする! 殺しもやるし、肉オ〇ホでもいい! だから私も連れて行って!」
……はぁ……。
「……三年前。お前の態度で俺に向けられていた好意には気付いていた」
「それじゃあ……!」
そんな目を輝かせて……慌てるなよ。
「けど、それ以降のお前の態度の急変は目に余るものだ。ゴミを見るような目で見下し、戦闘に乗じてバックアタックを仕掛けてくるし、影で何度も死ねばいいって言っているのを聞いている。……生き残る為とはいえ、簡単に手の平を返すなんて、とんだ腐れビッチだな」
「…………」
心が壊れたのか、涙も流さずその場にへたり込むリリ。……話はそれだけみたいだな。
メンバー達と決別するように後ろを向き、草原を進む。
背後から【白虎】の叫び声や、肉が弾ける音。壊され、食われ、ぐちゃぐちゃにされる音が聞こえる。
「ジ、オウ……! ゆる、ゆるざねぇ、ぞ……! てめぇはっ、ぜってぇ……!」
……この声、レイガか。
「安心しろ。許しても許さなくても、お前らはそこで終わりだ」
「ぐ、ぞ……ぐぞぉ……!!!」
──────────
「……これであんたの心残りは無くなった。良かったわね、ジオウ」
背後の守護森林が米粒に見えるくらい歩いたところで、レアナが優しく口を開いた。
「そうだな。……自分でもびっくりだよ。ここまであいつらに憎悪の感情を持ってたなんてな」
でないと、普通あそこまで冷酷になんてなれないだろう。自分の中の闇を感じたな。
「私としてはジオウさんの冷酷さはとてもゾクゾクしましたっ。でも残念ながら、もうちょっと綺麗に死ぬよう操れたら私的には良かったですね。なので一〇〇点満点中八〇点です」
「それ自分の部下にしたいだけだろ」
「あのリリとかいう女の子、とても綺麗な肌をしてましたからねぐへへへへ」
怖い。やっぱこいつ怖い。
俺とレアナがドン引きしていると、リエンが「あっ」と声を出した。
「見えてきましたよ」
「……あれが、アルケミストの大洋館か……」
まだ全然遠いのに、禍々しい空気が肌を撫でるようだ。まるで死へと誘う雰囲気に、一瞬たじろぐ。
「……確かにありゃ、守護森林の数倍はヤバそうだな……」
守護森林も大概だったが、大洋館からすれば庭と言われても信じられるな……。
「ふーん、中々雰囲気あるわね」
「とても大きな洋館ですねぇ。あれが私達のものになると思うと、ワクワクします」
「……お前ら、余裕そうだな」
俺、今にもチビりそうなんだけど……。
だが二人は、キョトンとした顔で俺の顔を見つめてきた。な、何だよ?
「当然よ。なんてったって、最強の味方がいるんだもの。それに、二〇〇体の死体を使役するリエンもいる。どう考えても負ける要素はないわ」
「私も同じ考えです。ジオウさんとレアナちゃんがいて、負けるなんて考えられませんよ」
「……お前ら……」
……はぁ……そうだよな……こいつらに俺がいるように、俺にはこいつらがいるんだ。負けるなんて、ありえないよな。
「じゃあ、Sランクダンジョン、アルケミストの大洋館……行くぞ」
「ええ!」
「はい!」
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