世界の真実を知るためには生贄が必要と言われ、問答無用で殺された俺と聖女 〜実はこっちが真の道!? 荷物運びと馬鹿にされた【空間魔法】で真の最強へ至る〜
第4話 作戦
「……んんっ……ここは……」
……ああ、そうか。僕達、あそこから戻ってきて、それで……。
……っ、リオ……!
そっと布団を捲る。そこには、僕と同じく全裸のリオが僕の腕を枕にして眠っていた。
幸せそうな寝顔……よっぽど安心しているみたいだ。僕の側でこんな顔をされると、男冥利に尽きるってもんだ。
リオの髪を梳くように撫でる。抵抗もなく、少しも絡まらない艶やかな白銀の髪。
髪と同じ白銀の、長いまつ毛。
聖女と言われ、人々に振りまく笑顔と大空のように輝く青い瞳。
そんな彼女が、昨日はあんなに乱れて……。
……ぅ、ぁ……顔あっついっ。どうしよう、幸せすぎる……!
……い、今は考えないようにしよう。これ以上考えすぎると、我慢出来なくなりそうだ。
リオを起こさないようにそっとベッドから立ち上がると、空間魔法でしまっていた水とタオルを使って体を拭く。本当は風呂に入りたいけど、リオをこのまま置いていくことは出来ないし、今はこれで我慢だ。
床に散乱している服を着て、宿の窓を開ける。
澄んだ空気に、にぎやかな喧噪。人間族だけじゃなく、獣人族やエルフ族の姿も見える。
そんな人達が行き交い、道端で話し、食べ歩きをし……。
――ぐうううぅぅぅ~……。
あ……お、お腹空いたな……リオもまだ起きてこないし、先に食べよう。
空間魔法の中に保存してある、ドラゴン肉と野草のサンドイッチを取り出す。空間魔法にしまっておけば、冷めることも腐ることも劣化することもない。いつでも出来立てほやほやのまま食べることが出来る。ホント、便利だなぁ。
「いただきまーす」
ぱくっ。んーーーっ! うまぁ♪
ドラゴン肉は高たんぱく低脂質なのに、柔らかくてジューシーでたまらない。
それに加えて野草が肉の臭みを消していてめちゃくちゃ食べやすい!
隠し味で間に挟んだマスタードソースの相性も抜群だ。
あー、生きててよかった……。
「……んゅ……? ふわああぁぁ~……いいにおい……」
「あ、おはようリオ」
「……ぁ、アッシュさん。おはよ……しゅぴぃ……はっ。い、いけないいけない」
リオは自分の頬をムニュムニュと揉むと、晴れやかな笑みを浮かべた。
「おはようございます、アッシュさん」
「うん。リオも朝ごはん食べる? お腹に優しい野菜シチューもまだ残ってるよ」
「いただきます」
リオは着替えるのも面倒なのか、シーツを頭の上からかぶったまま僕の取り出した野菜シチューを受け取る。
「リオ、ちゃんと服着なよ」
「アッシュさんの前だから、いいかなーと」
「聖女としてどうなの、それ?」
「アッシュさんの前では、聖女の前に一人の女ですから。アッシュさんは、この完全無欠の聖女ボディを余すことなく堪能してるんですよ。前も、後ろも、胸も、口も……。今更恥ずかしがることないじゃないですか」
「べ、別に恥ずかしがってなんかない」
僕としては、どれだけ知った相手でも礼儀と言うか礼節をだね……。
「と、とにかく、食べたら服着てよ。今日は行くところがあるんだから」
「殺しにですか?」
「いや、それはまだ先。その前に、一つの噂とこの映像を流す」
僕の空間魔法の力の一つ。
「《投影》」
僕の前に現れた円形状の薄い板。そこに映し出されていたのは……祭壇に横たわる僕と、剣を突き付けるレッセン。それをつまらなそうに見ているセルン、地面に横たわるリオだった。
「こ、れは……!?」
「そう、あの時のものだ。僕の空間魔法は、僕の見た景色を第三者目線で映し出すことが出来る。この映像をまずは王国全土に流す。あ、安心して。これは僕の記憶しか映し出せないから、リオがやられたところは流さないよ」
「で、でもこれじゃあ、アッシュさんは死んだことに……」
「そう。だから僕はもうこの世にいない。死んだことにする。そうすれば、あいつらは自分の欲望のために僕を殺した犯罪者になる」
あいつらを陥れられるなら、僕の殺害シーンを世に出すのになんの抵抗もない。
あいつらにはどんなことをしてでも、この世の地獄を見せてやる。
「……アッシュさんは、本当に強い人なんですね」
「……リオ……?」
野菜シチューを食べ終えたリオは、シーツを使って僕の体を覆った。
シーツの中に広がる、むせるように甘いリオの匂いと、雌の匂い。
そして僕の視界全部に広がる、リオの艶めかしい体。
「私はアッシュさんのように強くありません。もし同じ力を持っていても、自分の殺害されたところを人々に見せるなんて出来ません」
「…………」
「もし、我慢しているなら……私が、あなたの我慢を全て受け入れます。受け止めます」
「……リオ……ありがとう」
……もしかしたら、僕は本当は我慢してるのかもしれない。
でも、リオがこうして側にいてくれると……どうしようもなく、安心する。
リオがいれば、何も怖くない。
「アッシュさん……来て……」
「……リオ……」
…………。
……ああ、そうか。僕達、あそこから戻ってきて、それで……。
……っ、リオ……!
そっと布団を捲る。そこには、僕と同じく全裸のリオが僕の腕を枕にして眠っていた。
幸せそうな寝顔……よっぽど安心しているみたいだ。僕の側でこんな顔をされると、男冥利に尽きるってもんだ。
リオの髪を梳くように撫でる。抵抗もなく、少しも絡まらない艶やかな白銀の髪。
髪と同じ白銀の、長いまつ毛。
聖女と言われ、人々に振りまく笑顔と大空のように輝く青い瞳。
そんな彼女が、昨日はあんなに乱れて……。
……ぅ、ぁ……顔あっついっ。どうしよう、幸せすぎる……!
……い、今は考えないようにしよう。これ以上考えすぎると、我慢出来なくなりそうだ。
リオを起こさないようにそっとベッドから立ち上がると、空間魔法でしまっていた水とタオルを使って体を拭く。本当は風呂に入りたいけど、リオをこのまま置いていくことは出来ないし、今はこれで我慢だ。
床に散乱している服を着て、宿の窓を開ける。
澄んだ空気に、にぎやかな喧噪。人間族だけじゃなく、獣人族やエルフ族の姿も見える。
そんな人達が行き交い、道端で話し、食べ歩きをし……。
――ぐうううぅぅぅ~……。
あ……お、お腹空いたな……リオもまだ起きてこないし、先に食べよう。
空間魔法の中に保存してある、ドラゴン肉と野草のサンドイッチを取り出す。空間魔法にしまっておけば、冷めることも腐ることも劣化することもない。いつでも出来立てほやほやのまま食べることが出来る。ホント、便利だなぁ。
「いただきまーす」
ぱくっ。んーーーっ! うまぁ♪
ドラゴン肉は高たんぱく低脂質なのに、柔らかくてジューシーでたまらない。
それに加えて野草が肉の臭みを消していてめちゃくちゃ食べやすい!
隠し味で間に挟んだマスタードソースの相性も抜群だ。
あー、生きててよかった……。
「……んゅ……? ふわああぁぁ~……いいにおい……」
「あ、おはようリオ」
「……ぁ、アッシュさん。おはよ……しゅぴぃ……はっ。い、いけないいけない」
リオは自分の頬をムニュムニュと揉むと、晴れやかな笑みを浮かべた。
「おはようございます、アッシュさん」
「うん。リオも朝ごはん食べる? お腹に優しい野菜シチューもまだ残ってるよ」
「いただきます」
リオは着替えるのも面倒なのか、シーツを頭の上からかぶったまま僕の取り出した野菜シチューを受け取る。
「リオ、ちゃんと服着なよ」
「アッシュさんの前だから、いいかなーと」
「聖女としてどうなの、それ?」
「アッシュさんの前では、聖女の前に一人の女ですから。アッシュさんは、この完全無欠の聖女ボディを余すことなく堪能してるんですよ。前も、後ろも、胸も、口も……。今更恥ずかしがることないじゃないですか」
「べ、別に恥ずかしがってなんかない」
僕としては、どれだけ知った相手でも礼儀と言うか礼節をだね……。
「と、とにかく、食べたら服着てよ。今日は行くところがあるんだから」
「殺しにですか?」
「いや、それはまだ先。その前に、一つの噂とこの映像を流す」
僕の空間魔法の力の一つ。
「《投影》」
僕の前に現れた円形状の薄い板。そこに映し出されていたのは……祭壇に横たわる僕と、剣を突き付けるレッセン。それをつまらなそうに見ているセルン、地面に横たわるリオだった。
「こ、れは……!?」
「そう、あの時のものだ。僕の空間魔法は、僕の見た景色を第三者目線で映し出すことが出来る。この映像をまずは王国全土に流す。あ、安心して。これは僕の記憶しか映し出せないから、リオがやられたところは流さないよ」
「で、でもこれじゃあ、アッシュさんは死んだことに……」
「そう。だから僕はもうこの世にいない。死んだことにする。そうすれば、あいつらは自分の欲望のために僕を殺した犯罪者になる」
あいつらを陥れられるなら、僕の殺害シーンを世に出すのになんの抵抗もない。
あいつらにはどんなことをしてでも、この世の地獄を見せてやる。
「……アッシュさんは、本当に強い人なんですね」
「……リオ……?」
野菜シチューを食べ終えたリオは、シーツを使って僕の体を覆った。
シーツの中に広がる、むせるように甘いリオの匂いと、雌の匂い。
そして僕の視界全部に広がる、リオの艶めかしい体。
「私はアッシュさんのように強くありません。もし同じ力を持っていても、自分の殺害されたところを人々に見せるなんて出来ません」
「…………」
「もし、我慢しているなら……私が、あなたの我慢を全て受け入れます。受け止めます」
「……リオ……ありがとう」
……もしかしたら、僕は本当は我慢してるのかもしれない。
でも、リオがこうして側にいてくれると……どうしようもなく、安心する。
リオがいれば、何も怖くない。
「アッシュさん……来て……」
「……リオ……」
…………。
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