世界の真実を知るためには生贄が必要と言われ、問答無用で殺された俺と聖女 〜実はこっちが真の道!? 荷物運びと馬鹿にされた【空間魔法】で真の最強へ至る〜
プロローグ 死亡
「──着いた。ここが世界樹に続く門だ……」
リーダーのレッセンが、生唾を飲んで目の前の巨大な門を見上げる。
今まで、誰も到達したことのない最奥の扉。こんなにも巨大なものだったなんて……。
「遂にここまで来た……って感じですね」
「長かったわ、本当に……」
聖女リオと、魔術師セルンも同様に呟く。
僕も同じ気持ちだ。ここまで来るのに、本当に長かった……。
世界の最奥に存在する世界樹。そこに辿り着けば、世界の真実に辿り着くと言われている。
ここまでの道のりは決して楽なものではなかった。僕達一人でも欠けていたら、間違いなく途中で全滅していただろう。
この旅は僕達の絆をより強固なものにした。
ああ……その旅もようやく終わるんだ。
──モヤ──。
っ……でも……何だろう、この言いようのない違和感は。ここまで来れたのに、何故か不安を感じる。
レッセンが俺達を振り返り、感極まった顔をする。
「さあ行こう。世界の真実を見に」
「はいっ」
「ええ」
「う、うん!」
レッセン、リオ、セルンに続き、僕も門の前に立つ。
「……あれ……どうやって開けるんだ……?」
レッセンの困惑も分かる。確かに、ここまで巨大な門を開けるには、人間の僕達では不可能だ……。
「……あ、レッセンさん。あそこに何か石碑があります」
「何だって?」
リオが指さした先には、異様に綺麗な石碑が鎮座していた。周囲の森や古代遺跡は風化してるのに、これだけが新品に見える。
「これは……古代エルフ文字ですね。今解読します」
石碑に手をかざすと、文字盤が白く浮かび上がった。聖女リオの得意とする魔法で、どんな言語でも即座に解読することが出来る。
古代エルフ文字……どんなことが書いてあるんだろう。
「……え……こ、これは……!?」
「り、リオ。どうしたのよ?」
「ま、待ってください。もう一度解読させてください」
……もう一度? あのリオが、解読し損ねたのか?
「……そんな……」
「リオ、なんて書いてあるのか教えてくれ」
「……これは、門の開け方を示した石碑です」
門の開け方……!? 僕達が一番欲していたものじゃないか……!
「リオ、どうやって開けるの?」
「……この石碑に書いてある文字を、そのまま読み上げます」
『門の先に世界樹あり。
門を開けたくば祭壇に生贄を捧げよ。
だがここで引き返せばここまで至る記憶が全て消えるだろう。
──しかし、引き返すことを推奨する。
ここまでの苦難が、そなた達の真の財産なのだから』
なっ……い、生贄……!?
……ぁ……そうか……何かおかしいと思ったんだ。
確かにここまでの道は本当に辛いものだった。皆で助け合わなければ、絶対ここまで来れなかった。
でも、最難関というレベルではない。
ここまでの道のりを思い返せば、誰も到達出来ないわけではないものだった。過去には絶対に、僕達より優れたパーティーがここに辿り着いているはず。
それなのにこの門を開けたことがないのは……この石碑のせいだったんだ。
絆を深め、困難を乗り越えて来た仲間を生贄に捧げなければ開かない。
ここはそういう場所なんだ。
「なるほどな……」
「…………」
レッセンが思案し、セルンは無表情で石碑を見る。
リオが立ち上がり、僕達を振り向いた。
「……皆さん帰りましょう。もういいではありませんか。私はここまで来れただけで満足──」
「《ショックボルト》」
──え?
セルンの持つ杖が光ると、僕の隣にいたリオが言葉もなく崩れ落ちた。
「な……え……え……?」
「帰る? 馬鹿言わないで。私はこの先にあるものの為にここまで来たのよ」
「俺もそうだ。俺はこの先の……世界の真実を見て、この世界最強の剣士になるんだ」
れ、レッセン……? セルン……?
「な……何してんだよ! 僕達、ここまで一緒に頑張ってきた仲間だろ!? それなのに何で──」
「《ショックボルト》」
──がっ……!?
ち、力が……入ら、ない……!
セルンの魔法で体が麻痺し、倒れ込む。
くそ……くそ……!
「仲間……仲間ね。ねぇアッシュ。あなたこの旅で役に立った?」
……ぇ……な、何を……?
「そうだな。空間魔法で物を収納するしか脳のない荷物運び……それなのに、一緒に頑張ってきた仲間? ハハハハハハハハ! 笑わせるなよ!」
…………。
「……アッシュ。お前も耳にタコが出来るくらい俺から聞いてただろ? 俺は、どんな手を使ってでも世界最強の剣士になる。ならなきゃならない。そのためなら、喩え心を通わせた仲間だろうと切り捨てる」
レッセンが僕の体を持ち上げると、祭壇に押さえ付けた。
こ……こ、殺される……!
ま、待ってくれ……待ってくれレッセン……!
目で訴えるが、レッセンは欲に目が眩んだのか狂人のような目で僕を見る。
「ああ、安心しろ。後でリオもそっちに送ってやるよ」
け、剣……!? 剣が、僕の喉に……!
「さあ……死んで俺に貢献しろ」
ぐっ……があああああああっ!? い、いだいっ、いだい痛いイダイいたい!? の、喉が……喉があああああああっ!?
「これで……これで俺も世界最強に……!」
く……そ……が……!
ふざ、けんな……ふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんな!
何が世界最強だ……何が世界の真実だ!?
仲間を殺して得る力が本当の力だと!?
許、さねぇ……こいつも、セルンも……絶対……絶対許さねぇ……!
「レッセン、はや──もう待ちくた──」
「ああ、もう──」
ぐっ……くそ……くそがあぁ……!!!!
リーダーのレッセンが、生唾を飲んで目の前の巨大な門を見上げる。
今まで、誰も到達したことのない最奥の扉。こんなにも巨大なものだったなんて……。
「遂にここまで来た……って感じですね」
「長かったわ、本当に……」
聖女リオと、魔術師セルンも同様に呟く。
僕も同じ気持ちだ。ここまで来るのに、本当に長かった……。
世界の最奥に存在する世界樹。そこに辿り着けば、世界の真実に辿り着くと言われている。
ここまでの道のりは決して楽なものではなかった。僕達一人でも欠けていたら、間違いなく途中で全滅していただろう。
この旅は僕達の絆をより強固なものにした。
ああ……その旅もようやく終わるんだ。
──モヤ──。
っ……でも……何だろう、この言いようのない違和感は。ここまで来れたのに、何故か不安を感じる。
レッセンが俺達を振り返り、感極まった顔をする。
「さあ行こう。世界の真実を見に」
「はいっ」
「ええ」
「う、うん!」
レッセン、リオ、セルンに続き、僕も門の前に立つ。
「……あれ……どうやって開けるんだ……?」
レッセンの困惑も分かる。確かに、ここまで巨大な門を開けるには、人間の僕達では不可能だ……。
「……あ、レッセンさん。あそこに何か石碑があります」
「何だって?」
リオが指さした先には、異様に綺麗な石碑が鎮座していた。周囲の森や古代遺跡は風化してるのに、これだけが新品に見える。
「これは……古代エルフ文字ですね。今解読します」
石碑に手をかざすと、文字盤が白く浮かび上がった。聖女リオの得意とする魔法で、どんな言語でも即座に解読することが出来る。
古代エルフ文字……どんなことが書いてあるんだろう。
「……え……こ、これは……!?」
「り、リオ。どうしたのよ?」
「ま、待ってください。もう一度解読させてください」
……もう一度? あのリオが、解読し損ねたのか?
「……そんな……」
「リオ、なんて書いてあるのか教えてくれ」
「……これは、門の開け方を示した石碑です」
門の開け方……!? 僕達が一番欲していたものじゃないか……!
「リオ、どうやって開けるの?」
「……この石碑に書いてある文字を、そのまま読み上げます」
『門の先に世界樹あり。
門を開けたくば祭壇に生贄を捧げよ。
だがここで引き返せばここまで至る記憶が全て消えるだろう。
──しかし、引き返すことを推奨する。
ここまでの苦難が、そなた達の真の財産なのだから』
なっ……い、生贄……!?
……ぁ……そうか……何かおかしいと思ったんだ。
確かにここまでの道は本当に辛いものだった。皆で助け合わなければ、絶対ここまで来れなかった。
でも、最難関というレベルではない。
ここまでの道のりを思い返せば、誰も到達出来ないわけではないものだった。過去には絶対に、僕達より優れたパーティーがここに辿り着いているはず。
それなのにこの門を開けたことがないのは……この石碑のせいだったんだ。
絆を深め、困難を乗り越えて来た仲間を生贄に捧げなければ開かない。
ここはそういう場所なんだ。
「なるほどな……」
「…………」
レッセンが思案し、セルンは無表情で石碑を見る。
リオが立ち上がり、僕達を振り向いた。
「……皆さん帰りましょう。もういいではありませんか。私はここまで来れただけで満足──」
「《ショックボルト》」
──え?
セルンの持つ杖が光ると、僕の隣にいたリオが言葉もなく崩れ落ちた。
「な……え……え……?」
「帰る? 馬鹿言わないで。私はこの先にあるものの為にここまで来たのよ」
「俺もそうだ。俺はこの先の……世界の真実を見て、この世界最強の剣士になるんだ」
れ、レッセン……? セルン……?
「な……何してんだよ! 僕達、ここまで一緒に頑張ってきた仲間だろ!? それなのに何で──」
「《ショックボルト》」
──がっ……!?
ち、力が……入ら、ない……!
セルンの魔法で体が麻痺し、倒れ込む。
くそ……くそ……!
「仲間……仲間ね。ねぇアッシュ。あなたこの旅で役に立った?」
……ぇ……な、何を……?
「そうだな。空間魔法で物を収納するしか脳のない荷物運び……それなのに、一緒に頑張ってきた仲間? ハハハハハハハハ! 笑わせるなよ!」
…………。
「……アッシュ。お前も耳にタコが出来るくらい俺から聞いてただろ? 俺は、どんな手を使ってでも世界最強の剣士になる。ならなきゃならない。そのためなら、喩え心を通わせた仲間だろうと切り捨てる」
レッセンが僕の体を持ち上げると、祭壇に押さえ付けた。
こ……こ、殺される……!
ま、待ってくれ……待ってくれレッセン……!
目で訴えるが、レッセンは欲に目が眩んだのか狂人のような目で僕を見る。
「ああ、安心しろ。後でリオもそっちに送ってやるよ」
け、剣……!? 剣が、僕の喉に……!
「さあ……死んで俺に貢献しろ」
ぐっ……があああああああっ!? い、いだいっ、いだい痛いイダイいたい!? の、喉が……喉があああああああっ!?
「これで……これで俺も世界最強に……!」
く……そ……が……!
ふざ、けんな……ふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんな!
何が世界最強だ……何が世界の真実だ!?
仲間を殺して得る力が本当の力だと!?
許、さねぇ……こいつも、セルンも……絶対……絶対許さねぇ……!
「レッセン、はや──もう待ちくた──」
「ああ、もう──」
ぐっ……くそ……くそがあぁ……!!!!
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