【ジョブチェンジ】のやり方を、《無職》の俺だけが知っている
家族
クレアの兄を見る。
クレアを見る。
片や身長二メートル弱。片や身長一六〇センチくらい。顔立ちも厳格そうな雰囲気と、ちんちくりんな感じ。正反対だ。全くもって血の繋がりを感じない。
「警備長から、クレアが不審な男と共に戻って来たと連絡を受けた! 確かに見るからに不審な男! 今ここで成敗してくれりゃあああああああああ!」
顔を真っ赤にして突進して来た。
ふむ……。
「《ガード》」
「ほべぶっ!?」
「「「あ、アラン様ーーーー!?」」」
《ガード》に顔面から突っ込んできて悶える厳。何がしたいのこいつ?
「クレア、これどういうこと?」
「……何かごめん」
いや謝られても……。
「くっ……魔法とは卑怯な……! 貴様、男なら正々堂々拳で勝負せんかーーー!」
「《ライト・ファイアーボール》」
パァァァァァァンッッッ!!!!
「「「目がっ、目があああああ!?」」」
目を抑えて悶えるクレアの兄と黒服達。
「ギャーーー! 何で私までぇ!?」
あ、ごめんクレア。
◆◆◆
「なるほど、ゼノア殿がクレアを助けてくれたのか。早とちりをして済まなかった」
ほっ……良かった。案外話は通じる人だったか。
クレアの仲介で説明をして、なんとか理解してもらうことが出来た。こんなゴツい体の割には、理解が早くて助かる。
というか、警備長さんちゃんと報告しろよ! どんだけ俺が不審者に見えたんだ、全く!
「そういうことだから、ゼノアをうちに招待したいのよ。いいでしょ、兄さん?」
「うむ。妹を助けてくれた恩人に礼もせず帰すのは、アルフレッドの名を傷付けることになる。それに、父上と母上も喜ぶであろう」
……え? 家に招待? 何それ聞いてない……。
「ゼノア殿、自己紹介が遅れたな。私はアラン・アルフレッドだ。見た目で判断されがちだが、俺の歳は二五だ」
「えっ!?」
てっきり四〇代だとばかり……どんだけ老け顔なんだこの人。
「……やっぱり老けて見えるよなぁ、そうだよなぁ……」
「あ、いやっ、その威厳のある言葉遣いで、歳が行ってるように見えただけだから、はは……」
意外とガラスのハートなのか、号泣するアランさん。見た目が見た目なだけに、泣き方もものすごく豪快だ……。
「……年下に気を使われるとは……ぐすん」
うわめんどくさ。
「兄さんめんどくさいわ。ゼノアが困ってるじゃない」
「……年下を困らせるとは……なんてダメな奴なんだ私は……」
…………。
「アルフレッド家って、めんどくさい人ばかりなんだな……」
「ゼノア? それ私は含まれてないわよね? 含まれてないわよね!?」
含んでるから、わざわざアルフレッド家って言ったんだ、アホめ。
「……なあ、街中で騒いでると他の人に迷惑だし、行くんだったらさっさと行かないか?」
「む、そうだな! 客人を待たせるわけにはいかん! 皆の者、急ぐのだ!」
「「「はいっ、アラン様!」」」
急に復活したアランさんは、黒服達を連れて猛ダッシュで町中を駆けていった。
俺とクレア、置いてけぼり。
「……なんのために来たんだ、あの人達……」
「兄さんは常に全力なのよ。さっきちらっと聞いたけど、私が一晩帰らなかっただけで、捜索隊を編成してたみたいで……私が単に依頼で帰らなかっただけなら、どうするつもりだったのかしら」
「過保護……いや、兄バカってやつか」
「どっちかって言うとバカ兄ね」
「……髪や目の色だけじゃなくて、バカという点もそっくりなんだな……」
「それ、もしかしなくても私のこともバカにしてるわよね!?」
気のせい気のせい。
「ほら、帰りが遅くなると、またアランさんが騒ぎ出すぞ。さっさと行こうぜ」
「あ、待ってよー」
アランさん達を追うように歩き始めると、クレアもてけてけと着いてくる。
「ああそうだ、ゼノア。一つ、先に謝っておくわ」
「ん? 何だ?」
「うちの家族がごめんなさい」
……アランさんのことか? え、でも先にってどういう……?
「きっ、貴様かあああああああ!? 私の可愛い可愛い可愛い娘を拉致った不届き者めはあああああああ!? 万死、万死、万死ッ! 万死に値するるるるるるるるるるゥ! クレアの操は無事か!? 無事でなかったら貴様、最早万死では足らん! この我が全権限をもってこの世にあるありとあらゆる苦痛を与え、細かくミンチにして地の底に沈め地獄の業火によって骨も魂も残さず焼き尽くしてくれるわあああああああああ!」
「まあまあまあまあッ。クレアちゃん朝帰りの上にこんなに可愛い男の子をお持ち帰りだなんてっ、私の娘ながら流石ね! 二人はどういう出会い? もしかしてハンター仲間? キャーーーッ! 吊り橋効果! 吊り橋効果ってやつね! これは孫が見れる日も近いかもしれませんね! 希望としては男の子一人、女の子二人がいいわ! 可愛い二人の可愛い子供……世界一可愛い孫になるに違いないわよぉ!」
…………。
「こういうことか……」
「……ほんっっっっっと、ごめんなさい……」
クレアを見る。
片や身長二メートル弱。片や身長一六〇センチくらい。顔立ちも厳格そうな雰囲気と、ちんちくりんな感じ。正反対だ。全くもって血の繋がりを感じない。
「警備長から、クレアが不審な男と共に戻って来たと連絡を受けた! 確かに見るからに不審な男! 今ここで成敗してくれりゃあああああああああ!」
顔を真っ赤にして突進して来た。
ふむ……。
「《ガード》」
「ほべぶっ!?」
「「「あ、アラン様ーーーー!?」」」
《ガード》に顔面から突っ込んできて悶える厳。何がしたいのこいつ?
「クレア、これどういうこと?」
「……何かごめん」
いや謝られても……。
「くっ……魔法とは卑怯な……! 貴様、男なら正々堂々拳で勝負せんかーーー!」
「《ライト・ファイアーボール》」
パァァァァァァンッッッ!!!!
「「「目がっ、目があああああ!?」」」
目を抑えて悶えるクレアの兄と黒服達。
「ギャーーー! 何で私までぇ!?」
あ、ごめんクレア。
◆◆◆
「なるほど、ゼノア殿がクレアを助けてくれたのか。早とちりをして済まなかった」
ほっ……良かった。案外話は通じる人だったか。
クレアの仲介で説明をして、なんとか理解してもらうことが出来た。こんなゴツい体の割には、理解が早くて助かる。
というか、警備長さんちゃんと報告しろよ! どんだけ俺が不審者に見えたんだ、全く!
「そういうことだから、ゼノアをうちに招待したいのよ。いいでしょ、兄さん?」
「うむ。妹を助けてくれた恩人に礼もせず帰すのは、アルフレッドの名を傷付けることになる。それに、父上と母上も喜ぶであろう」
……え? 家に招待? 何それ聞いてない……。
「ゼノア殿、自己紹介が遅れたな。私はアラン・アルフレッドだ。見た目で判断されがちだが、俺の歳は二五だ」
「えっ!?」
てっきり四〇代だとばかり……どんだけ老け顔なんだこの人。
「……やっぱり老けて見えるよなぁ、そうだよなぁ……」
「あ、いやっ、その威厳のある言葉遣いで、歳が行ってるように見えただけだから、はは……」
意外とガラスのハートなのか、号泣するアランさん。見た目が見た目なだけに、泣き方もものすごく豪快だ……。
「……年下に気を使われるとは……ぐすん」
うわめんどくさ。
「兄さんめんどくさいわ。ゼノアが困ってるじゃない」
「……年下を困らせるとは……なんてダメな奴なんだ私は……」
…………。
「アルフレッド家って、めんどくさい人ばかりなんだな……」
「ゼノア? それ私は含まれてないわよね? 含まれてないわよね!?」
含んでるから、わざわざアルフレッド家って言ったんだ、アホめ。
「……なあ、街中で騒いでると他の人に迷惑だし、行くんだったらさっさと行かないか?」
「む、そうだな! 客人を待たせるわけにはいかん! 皆の者、急ぐのだ!」
「「「はいっ、アラン様!」」」
急に復活したアランさんは、黒服達を連れて猛ダッシュで町中を駆けていった。
俺とクレア、置いてけぼり。
「……なんのために来たんだ、あの人達……」
「兄さんは常に全力なのよ。さっきちらっと聞いたけど、私が一晩帰らなかっただけで、捜索隊を編成してたみたいで……私が単に依頼で帰らなかっただけなら、どうするつもりだったのかしら」
「過保護……いや、兄バカってやつか」
「どっちかって言うとバカ兄ね」
「……髪や目の色だけじゃなくて、バカという点もそっくりなんだな……」
「それ、もしかしなくても私のこともバカにしてるわよね!?」
気のせい気のせい。
「ほら、帰りが遅くなると、またアランさんが騒ぎ出すぞ。さっさと行こうぜ」
「あ、待ってよー」
アランさん達を追うように歩き始めると、クレアもてけてけと着いてくる。
「ああそうだ、ゼノア。一つ、先に謝っておくわ」
「ん? 何だ?」
「うちの家族がごめんなさい」
……アランさんのことか? え、でも先にってどういう……?
「きっ、貴様かあああああああ!? 私の可愛い可愛い可愛い娘を拉致った不届き者めはあああああああ!? 万死、万死、万死ッ! 万死に値するるるるるるるるるるゥ! クレアの操は無事か!? 無事でなかったら貴様、最早万死では足らん! この我が全権限をもってこの世にあるありとあらゆる苦痛を与え、細かくミンチにして地の底に沈め地獄の業火によって骨も魂も残さず焼き尽くしてくれるわあああああああああ!」
「まあまあまあまあッ。クレアちゃん朝帰りの上にこんなに可愛い男の子をお持ち帰りだなんてっ、私の娘ながら流石ね! 二人はどういう出会い? もしかしてハンター仲間? キャーーーッ! 吊り橋効果! 吊り橋効果ってやつね! これは孫が見れる日も近いかもしれませんね! 希望としては男の子一人、女の子二人がいいわ! 可愛い二人の可愛い子供……世界一可愛い孫になるに違いないわよぉ!」
…………。
「こういうことか……」
「……ほんっっっっっと、ごめんなさい……」
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