外れスキル【釣り】を極限にまで極めた結果 〜《神器》も美少女も釣れるようになったけどスローライフはやめません。〜

赤金武蔵

第13話 (ドン引き)

   ◆◆◆


「ぷはぁ〜、満足……!」


 ぬこカフェ最高! 荒んだ心が癒されたなぁ。
 ショッピングや猫喫茶を堪能した俺達は、今日の所は白部屋に戻ってゆったりすることになった。


 それにしても、買ったなぁ。
 服や下着なんてある程度あればいいと思ってたけど、思いっきり楽しんでしまった。


 荷物をリビングに起き、ソファーに座り込む。
 あぁ〜、沈む……。


「タナト、お疲れ様」


「っと。エラオラ、苦しい」


 そんなとろけ切ってる俺の上に、対面で座るエリオラ。今俺の身長が低くなってるから、エリオラの顔が目の前にある。


 それに鼻腔をくすぐる芳醇な女の香り。
 女になった身でも、この匂いにくらくらさせられる。


「タナト、楽しかった?」


「……ああ。何だかんだで楽しめたし、女ってのが大変な日々を送ってるのが何となく分かった」


 女の子ってのは、可愛くなるために日々努力してるんだなぁ。それにあんなナンパ野郎のことも警戒しなきゃいけないなんて……お見逸れしました。


「最後の方はお兄ちゃんもノリノリだったのだわ」


「最早、女でいることに抵抗がないように思えたぞ」


「んなわけないだろ……男の方が何倍も楽だぞ」


 だからにやにやするな二人とも。


 全く……服なんか、着れたらいいと思ってるような俺だぞ。毎日こんな風に服を選んでたら、気が滅入っちまう。


「はぁ……二週間……短いようで、長い二週間になりそうだな」


 疲れたし、風呂にでも入ってこよ。


「エリオラ、風呂入るからどいてくれ」


「お風呂? 入れるの?」


「風呂なんて男も女も一緒だろ」


「……因みにどうやって髪の毛洗うつもり?」


「え? そりゃあ濡らしてシャンプーでワシャワシャやって終わりだが」


「ギルティ」


 なぜ!?






「まずは乾いた状態でブラッシング。その後根本までしっかり濡らし、シャンプーを使わず素洗い。その後シャンプーを軽く泡立てて生え際、襟足、耳裏を洗いシャワーで流す。シャワー時間はシャンプーの二倍。その後水気を取ってコンディショナーを毛先から中間まで付けて洗い流す。なじませたら粗めの櫛で梳かして蒸しタオルで三分から五分放置。しっかりと洗い流して水滴が落ちてこなくなるまでタオルドライ。ブラッシング、ヘアオイル、温風ドライヤー、冷風ドライヤーの工程を経て完成。ドライヤーにもコツがあるけど……聞く?」






「…………」


 何でしょう今の、呪文? え、世の中の女性ってそんなことしてるの?


「これが基礎。やれる?」


「無理」


 そんなもん一々やってられるハズないだろ。


「なら私がやってあげる。任せて」


「ほ、ホントか? 是非ともお願いします」


 ここまで詳しいエリオラがやってくれるんだっ。完璧にやってくれるはずだ!


「じゃ、早速風呂入ろうぜ。エリオラ、頼んだぞ」


「任せて」


 服を買ったとき、エリオラが寝間着も見繕ってくれたんだったな。それも脱衣場に持ってこう。
 と、意気揚々と風呂の準備をしていて……気付かなかった。


 エリオラが、悪どい笑顔をしていたことを。










「お姉ちゃん。お姉ちゃんなら、そんな面倒くさいことしなくても魔法で終わらせられるんじゃ……?」


「うん。出来るよ」


「……まさか貴様、タナトの思考力と判断能力を奪い、わざと面倒なことを教えた後に一緒に入ることを提案したんじゃ……!?」


「イヴァロン……君のように勘のいいガキは嫌いだよ」


「「「(ドン引き)」」」

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