外れスキル【釣り】を極限にまで極めた結果 〜《神器》も美少女も釣れるようになったけどスローライフはやめません。〜
第4話 俺は貴様を認めぬ
「……ん……んぁ……?」
……眩し……もう朝……?
重たい瞼を開ける。
……陽射しが眩しい……ああ、でもまだ寝てたい……何この心地いい眠気……。
それにこのふよふよで柔らかい枕……安心するいい匂いがする。深い眠りに誘ってくれそう……。
ぎゅー……。
「んぁっ……! た、タナトっ、朝から激しい……!」
……あれ、この声……エリオラ……?
「エリ、オラ……」
あぁ、そうか……俺、異界から帰って来てから満足に寝てなかったな……エリオラの回復魔法で無理に動いてたけど、やっぱり疲れてたんだ……。
それに何だかんだ強がっても、やっぱり不安だったんだよ、俺……もう二度と皆に会えないかと思ったら……辛かった……泣きたかった……。
でも……今は安心して眠れる……。
んぁー……思考が定まらない……眠たすぎ問題……ぐぅー……。
「ふふ。タナト、大きな赤ちゃん。可愛い♡」
…………。
……待て、この匂い知ってるぞ。
おいタナト、起きろ。今置かれている状況を冷静に分析するんだ。
薄目を開け。ボヤける思考をフル回転させて周囲を見る。
「あっ、タナト。起きた?」
……エリオラの優しい声が、頭の上から聞こえる……。
それに、頭を包んでいる柔らかいもの。馴染みのある抱き心地。そして安心する匂い。
…………。
この抱き枕ッ、エリオラか!?
「え、エリオッ……ごめっ……!」
「あんっ、動いちゃだぁめ♡」
「わぷっ……!」
ちょっ、動けない……! 流石エリオラっ、力強すぎ……!
俺の頭を抱え、無理やり胸に押し当てるエリオラから、楽しげな笑い声が聞こえた。
「ふふっ。よしよし」
撫でるな!
「んー! んーっ!」
「あんっ♡ 振動が……♡」
感じてんじゃねーよ! てか息! 息出来なぁい!
我慢出来ずタップする。と、とにかくここから脱出せねば……!
「やん♡ もう、タナトのエッチ。どこ触ってるの♡」
知らんわ! こちとら何も見えないし息が続かないんだよ!
「あ……タナト、おっきくなった。やる気満々? じゃ、子作りする?」
ぜんっぜんやる気ないですー! これは死にかけて種の保存本能が働いてるだけですー!
てか無理っ、ホントに死んじゃうこれ!
「んー! んー……! ……ぁ……」
「……あれ? タナト?」
い、意識が……遠の……く……。
「タナト! タナト!」
「……ぶはっ!? ぜぇ、はぁ、ぜぇ……し、死ぬかと思った……」
「タナトっ。……ごめんね。興奮しすぎた……」
「い、いや……大丈夫。ギリ大丈夫」
川の向こうで親父とお袋が手を振ってたけど……。
『んん〜……何じゃ、うるさいのぅ。ふわあぁ〜』
今までずっと寝ていたのか、ルーシーが眠そうな声を出した。
「あ、ルーシー。やっと起きた」
『うむ。エリィの魔力をコントロールするのに随分と力を使ったからの。……おおっ、タナト! 無事戻ってこれたのじゃな!』
「あ、ああ。何とかな……ルーシーも手伝ってくれたんだって? 助かった、ありがとな」
『礼には及ばん。命の恩人を助けるのは当然じゃ』
どことなく胸を張ってるように見える。ペンダントだから、ホント何となくだけど。
ベッドの上で息を整えていると、突然ドアがノックされた。
「タナト様、エリオラ様。起きていらっしゃいますでしょうか?」
「え……あ、はい」
「失礼致します」
扉が開き、入って来たのは……ああ、メイドさんか。誰が来たのかと思った。
「……失礼致しました。お楽しみ中でしたか」
……お楽しみ中?
首を傾げてエリオラを見る。
朱に染った頬。乱れた服、ベッド。息を荒らげて汗だくの俺。
…………。
「誤解だ!」
「なるほど、休まず五回……感服致します」
「違うそうじゃない!」
何でどいつもこいつもエロ方向に話を進めたがる!?
「そ、それより、何か用があって来たんじゃないっすか?」
「はい。朝食のご用意が出来ました」
……朝食?
ぐうぅ〜……。あ。
「……腹減ったなぁ……」
「ん、減った」
「……せっかく城に来たんだし、王族の食ってる飯とか食ってみるか」
「さんせー」
「それでは、身支度をお願い致します。私は外で待っていますので、ご用意が出来たらお声かけ下さい」
メイドさんは一礼すると、扉を閉めて廊下に出た。
……準備っつっても、何すりゃいいんだ……?
『……何のことじゃ? 奴は誰じゃ? ここはどこなのじゃ?』
「あー……後で説明する。ちょっと状況が状況でな」
『うむ????』
取り敢えずエリオラの魔法で服や体の汚れを綺麗にすると、メイドさんに連れられて城の中を歩く。
感覚的には九時くらいか……ホント、珍しく爆睡だったな……。
ぼーっとメイドさんの後ろを歩いていると、不意にメイドさんが腰を折ってお辞儀をした。
前から歩いてくる、シャウナに似た容姿の男性。ただ、シャウナより幾分か歳下に見える。
ただ、シャウナのように誰にでもにこやかに接するような感じではなく、まるで剥き出しの刃のような雰囲気だ。悪即斬、近寄らば斬るって感じ。
「……む? その方、何者か」
「シャオン様。こちらはシャウナ様のお客人である、タナト様とエリオラ様です」
「姉上の……?」
シャオンと呼ばれた男性が、訝しげに俺とエリオラを見る。
そうか……どこかで見たことがあると思ったら、この人が【武芸百般】のスキルを持つ戦闘の天才。レゼンブルク王国第一王子、シャオン様か……。
【武芸百般】とは名前の通り、全ての戦闘方法を常人の数倍のスピードで身につけることの出来るスキルだ。
剣、槍、ナイフ、弓、銃、爆薬、捕縛、馬、拳闘……その他様々な戦闘方法に精通するスキルと類まれなる戦闘センスにより、王国の至宝とすら呼ばれているお方。
そんな人が、あからさまに俺に敵意の視線を向けていた。何故?
「……おい貴様、タナトと言ったな」
「へい?」
「どのような手を使って姉上に取り入ったか知らぬが……俺は貴様を認めぬ」
……え、いや、認めぬとか言われても……解放してくれるなら、今すぐ解放して欲しいのはこっちなんだが。
「姉上のような女性には、強く気高く素晴らしい男性こそが相応しい。それをなんだ貴様。見たところ平民ではないか」
「はぁ……?」
相応しいとか平民とか、何を言ってるんだこの人は?
「俺は王族だ。そして王位継承権第一位であり、次期国王である。貴族も平民も分け隔てなく愛するが……姉上の相手となれば別だ」
「相手……?」
「貴様も一平民としては、俺が守り、俺が愛すべき民である。だが姉上に色目を使い、姉上に媚びへつらい、姉上に近付こうとする下賎な気持ちがあるのなら、俺は貴様を断罪する」
えぇ……何だか話がややこしくなって来たんだけど……。
「平民の分際で身の程を弁えよ。貴様と姉上では天と地、いや月とスッポン、いや蝶とゴキブリの如く隔たりがある。分かったのなら今すぐ荷物をまとめてここから立ち去べぶっ!?」
お、おぉ……? 何か銀色の球体がシャオン様の後頭部に直撃したぞ……大丈夫か、この人?
「邪魔です愚弟」
「ぶっ……!?」
あ、シャウナ。
いつの間にかいたシャウナが、爽やかな笑顔でシャオン様を踏み付けた。いやピンヒールくいこんどるがな。
シャウナが指をパチンと鳴らすと、銀色の球体が液状になり、シャウナに吸収された。これが水銀の魔女の魔法か……。
「タナト様、エリオラ様。愚弟が失礼致しました……」
「あ、いや、大丈夫だ」
「シャウナがあと一秒遅れてたら、私が消してた」
怖っ、エリオラ怖っ。てかシャウナも別に消してないからね。
「さあ、愚弟のことは放っておいて、朝食を食べに行きましょう!」
「あっ、ちょっ、引っ張るな……!」
「シャウナ、タナトに引っ付かないで……!」
「ぶべっ! ほげっ!」
あ、やべ。シャオン様踏んだ。ごめん。
「……なあ、シャオン様ってまさか……」
「……姉離れが出来ていない、困った弟です。お許しを」
ああ、なるほどやっぱり……シスコンか。
……眩し……もう朝……?
重たい瞼を開ける。
……陽射しが眩しい……ああ、でもまだ寝てたい……何この心地いい眠気……。
それにこのふよふよで柔らかい枕……安心するいい匂いがする。深い眠りに誘ってくれそう……。
ぎゅー……。
「んぁっ……! た、タナトっ、朝から激しい……!」
……あれ、この声……エリオラ……?
「エリ、オラ……」
あぁ、そうか……俺、異界から帰って来てから満足に寝てなかったな……エリオラの回復魔法で無理に動いてたけど、やっぱり疲れてたんだ……。
それに何だかんだ強がっても、やっぱり不安だったんだよ、俺……もう二度と皆に会えないかと思ったら……辛かった……泣きたかった……。
でも……今は安心して眠れる……。
んぁー……思考が定まらない……眠たすぎ問題……ぐぅー……。
「ふふ。タナト、大きな赤ちゃん。可愛い♡」
…………。
……待て、この匂い知ってるぞ。
おいタナト、起きろ。今置かれている状況を冷静に分析するんだ。
薄目を開け。ボヤける思考をフル回転させて周囲を見る。
「あっ、タナト。起きた?」
……エリオラの優しい声が、頭の上から聞こえる……。
それに、頭を包んでいる柔らかいもの。馴染みのある抱き心地。そして安心する匂い。
…………。
この抱き枕ッ、エリオラか!?
「え、エリオッ……ごめっ……!」
「あんっ、動いちゃだぁめ♡」
「わぷっ……!」
ちょっ、動けない……! 流石エリオラっ、力強すぎ……!
俺の頭を抱え、無理やり胸に押し当てるエリオラから、楽しげな笑い声が聞こえた。
「ふふっ。よしよし」
撫でるな!
「んー! んーっ!」
「あんっ♡ 振動が……♡」
感じてんじゃねーよ! てか息! 息出来なぁい!
我慢出来ずタップする。と、とにかくここから脱出せねば……!
「やん♡ もう、タナトのエッチ。どこ触ってるの♡」
知らんわ! こちとら何も見えないし息が続かないんだよ!
「あ……タナト、おっきくなった。やる気満々? じゃ、子作りする?」
ぜんっぜんやる気ないですー! これは死にかけて種の保存本能が働いてるだけですー!
てか無理っ、ホントに死んじゃうこれ!
「んー! んー……! ……ぁ……」
「……あれ? タナト?」
い、意識が……遠の……く……。
「タナト! タナト!」
「……ぶはっ!? ぜぇ、はぁ、ぜぇ……し、死ぬかと思った……」
「タナトっ。……ごめんね。興奮しすぎた……」
「い、いや……大丈夫。ギリ大丈夫」
川の向こうで親父とお袋が手を振ってたけど……。
『んん〜……何じゃ、うるさいのぅ。ふわあぁ〜』
今までずっと寝ていたのか、ルーシーが眠そうな声を出した。
「あ、ルーシー。やっと起きた」
『うむ。エリィの魔力をコントロールするのに随分と力を使ったからの。……おおっ、タナト! 無事戻ってこれたのじゃな!』
「あ、ああ。何とかな……ルーシーも手伝ってくれたんだって? 助かった、ありがとな」
『礼には及ばん。命の恩人を助けるのは当然じゃ』
どことなく胸を張ってるように見える。ペンダントだから、ホント何となくだけど。
ベッドの上で息を整えていると、突然ドアがノックされた。
「タナト様、エリオラ様。起きていらっしゃいますでしょうか?」
「え……あ、はい」
「失礼致します」
扉が開き、入って来たのは……ああ、メイドさんか。誰が来たのかと思った。
「……失礼致しました。お楽しみ中でしたか」
……お楽しみ中?
首を傾げてエリオラを見る。
朱に染った頬。乱れた服、ベッド。息を荒らげて汗だくの俺。
…………。
「誤解だ!」
「なるほど、休まず五回……感服致します」
「違うそうじゃない!」
何でどいつもこいつもエロ方向に話を進めたがる!?
「そ、それより、何か用があって来たんじゃないっすか?」
「はい。朝食のご用意が出来ました」
……朝食?
ぐうぅ〜……。あ。
「……腹減ったなぁ……」
「ん、減った」
「……せっかく城に来たんだし、王族の食ってる飯とか食ってみるか」
「さんせー」
「それでは、身支度をお願い致します。私は外で待っていますので、ご用意が出来たらお声かけ下さい」
メイドさんは一礼すると、扉を閉めて廊下に出た。
……準備っつっても、何すりゃいいんだ……?
『……何のことじゃ? 奴は誰じゃ? ここはどこなのじゃ?』
「あー……後で説明する。ちょっと状況が状況でな」
『うむ????』
取り敢えずエリオラの魔法で服や体の汚れを綺麗にすると、メイドさんに連れられて城の中を歩く。
感覚的には九時くらいか……ホント、珍しく爆睡だったな……。
ぼーっとメイドさんの後ろを歩いていると、不意にメイドさんが腰を折ってお辞儀をした。
前から歩いてくる、シャウナに似た容姿の男性。ただ、シャウナより幾分か歳下に見える。
ただ、シャウナのように誰にでもにこやかに接するような感じではなく、まるで剥き出しの刃のような雰囲気だ。悪即斬、近寄らば斬るって感じ。
「……む? その方、何者か」
「シャオン様。こちらはシャウナ様のお客人である、タナト様とエリオラ様です」
「姉上の……?」
シャオンと呼ばれた男性が、訝しげに俺とエリオラを見る。
そうか……どこかで見たことがあると思ったら、この人が【武芸百般】のスキルを持つ戦闘の天才。レゼンブルク王国第一王子、シャオン様か……。
【武芸百般】とは名前の通り、全ての戦闘方法を常人の数倍のスピードで身につけることの出来るスキルだ。
剣、槍、ナイフ、弓、銃、爆薬、捕縛、馬、拳闘……その他様々な戦闘方法に精通するスキルと類まれなる戦闘センスにより、王国の至宝とすら呼ばれているお方。
そんな人が、あからさまに俺に敵意の視線を向けていた。何故?
「……おい貴様、タナトと言ったな」
「へい?」
「どのような手を使って姉上に取り入ったか知らぬが……俺は貴様を認めぬ」
……え、いや、認めぬとか言われても……解放してくれるなら、今すぐ解放して欲しいのはこっちなんだが。
「姉上のような女性には、強く気高く素晴らしい男性こそが相応しい。それをなんだ貴様。見たところ平民ではないか」
「はぁ……?」
相応しいとか平民とか、何を言ってるんだこの人は?
「俺は王族だ。そして王位継承権第一位であり、次期国王である。貴族も平民も分け隔てなく愛するが……姉上の相手となれば別だ」
「相手……?」
「貴様も一平民としては、俺が守り、俺が愛すべき民である。だが姉上に色目を使い、姉上に媚びへつらい、姉上に近付こうとする下賎な気持ちがあるのなら、俺は貴様を断罪する」
えぇ……何だか話がややこしくなって来たんだけど……。
「平民の分際で身の程を弁えよ。貴様と姉上では天と地、いや月とスッポン、いや蝶とゴキブリの如く隔たりがある。分かったのなら今すぐ荷物をまとめてここから立ち去べぶっ!?」
お、おぉ……? 何か銀色の球体がシャオン様の後頭部に直撃したぞ……大丈夫か、この人?
「邪魔です愚弟」
「ぶっ……!?」
あ、シャウナ。
いつの間にかいたシャウナが、爽やかな笑顔でシャオン様を踏み付けた。いやピンヒールくいこんどるがな。
シャウナが指をパチンと鳴らすと、銀色の球体が液状になり、シャウナに吸収された。これが水銀の魔女の魔法か……。
「タナト様、エリオラ様。愚弟が失礼致しました……」
「あ、いや、大丈夫だ」
「シャウナがあと一秒遅れてたら、私が消してた」
怖っ、エリオラ怖っ。てかシャウナも別に消してないからね。
「さあ、愚弟のことは放っておいて、朝食を食べに行きましょう!」
「あっ、ちょっ、引っ張るな……!」
「シャウナ、タナトに引っ付かないで……!」
「ぶべっ! ほげっ!」
あ、やべ。シャオン様踏んだ。ごめん。
「……なあ、シャオン様ってまさか……」
「……姉離れが出来ていない、困った弟です。お許しを」
ああ、なるほどやっぱり……シスコンか。
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