外れスキル【釣り】を極限にまで極めた結果 〜《神器》も美少女も釣れるようになったけどスローライフはやめません。〜
第15話 超ド級の変態じゃねーか
ロゥリエとエンカウントした翌日。
俺達は《虚空の生け簀》の中で、これからの事を話し合っていた。
話しの中心は勿論、ロゥリエをどうするかだ。
この中で一番ロゥリエについて詳しいイライザが、奴について話す。
「ロゥリエの性格は破綻しているのだわ。昔から、狙いを定めた獲物が絶望して死ぬ姿が好きな、異常性癖を持ってるのだわ」
「超ド級の変態じゃねーか」
「今回のターゲットはお兄ちゃんなのだわ」
やべぇ、そうだった。
「ロゥリエは平和を感じると破壊衝動が出るのだわ。お兄ちゃんに話しかけた時、こう言ってなかった? 『平和を楽しみたい』って」
「……そういえば、そんなこと言ってたな。平和な今を少しでも楽しみたくて、色んなことに挑戦してる、だったか……」
「つまり、お兄ちゃんと釣りを楽しんだせいで、お兄ちゃんがあいつのターゲットになったのだわ」
「なんっっっっつーはた迷惑な女だよ!?」
地雷女って言葉があるが、あいつはそんなもんじゃ収まらないぞ!
「じゃあ、このままここにいたらどうかしら? ここにいれば、ロゥリエも追ってこれないでしょ?」
「……過去に一度だけ、ロゥリエの手から逃れられた魔族がいるのだわ」
「……その後、どうなったの……?」
「……その子のいた街の人達は、全員串刺し。街は破壊され、あとに見つかったその子も生きたまま焼かれたのだわ……」
っ……ひでぇ……そこまでするか、普通……!
「……じゃあ、俺がここに隠れてるのって……」
「……得策じゃないのだわ。どんな手を使ってもお兄ちゃんのいた村を見つけ出して、蹂躙するのだわ」
……マジかよ……そんなの、どうすることも出来ないじゃん……。
「……もしかしてだけど……あいつって、このまま放置しちゃいけないやつ?」
「放置したら、間違いなく世界を壊すのだわ」
うーわ……なんてこった……。
今置かれている状況に絶望していると、エリオラが真剣な顔で口を開いた。
「大丈夫。最悪の場合、策はある」
「ほ、本当か……?」
「ん。でも、本当に最悪の場合。この手段は余り取りたくはないけど、最終手段」
……エリオラがここまで言うなんて……一体どんな方法なんだ……?
……いや、今はそれを考えるのはよそう。
「そうならない為ってなると、やっぱり……」
「ロゥリエを始末するしかない」
そうなるよな……。
あんまり物騒な話しはしたくないし、巻き込まれたくないんだが……こればっかりは無視も出来ないからなぁ。
……よし、覚悟決めろよ、俺。
「あいつが俺の匂いを覚えてるのなら、俺が囮になる」
そう提案すると、三人が何かを言う前に手をかざして遮った。
「三人が俺を心配してくれてるのはよく分かる。だが、今のあいつと唯一接点を持ってるのも俺だ。俺が街に出てロゥリエを誘き出し、三人が仕留める。これしかない」
「うぅ……旦那様を危険な目に合わせるなんて出来ない……でもそれしかない……妻失格……」
「お兄ちゃん。本当に……ほんっっっとうに気を付けて欲しいのだわ」
「タナト、絶対に守るわ。それが騎士だから」
三人の目が覚悟を決めたように鋭くなる。
皆の覚悟が出来た所で……行くか。
◆◆◆
《虚空の生け簀》から外に出る。俺が釣り堀へ向かう時に出た時と同じ、アクアキアの郊外だ。
夕焼け色に染まったアクアキアは、今のところ特に変わりない。平和なままだな。
「もっと人気のない場所に移動しましょう。周りの人を巻き込むかもしれないし」
「そうだな。行こう」
俺の前にイライザ。横にミケとレニー。後ろにエリオラが待機して、人気のない場所まで歩く。
……静かだ……静かすぎる……。
「んー……いねぇな」
「タナト、静かに」
ミケが槍を構え、油断なく辺りを見渡す。
「……この粘り着くような、嫌な視線……近くにいるわ」
え、嘘、どこだ?
俺も辺りを見渡すが……特に誰もいないぞ……?
「……お兄ちゃん、絶対そこを動かないで欲しいのだわ」
「あ、ああ……」
イライザの体の表面を紫電が迸る。完全に戦闘態勢って感じだ。
張り詰めた空気。
そして──。
「こんにちはァ」
っ! 上……!
見上げると、貼り付けたような笑みを浮かべているロゥリエが、崩れた廃墟の上に座っていた。
「あぁ……あぁ、あぁ、あぁ……! タナト様、心の底からお待ちしておりました……♡」
まるで熱に浮かされたように呟くロゥリエ。頬を赤らめ、目は潤み、三日月のように裂けている口からは長く厚みのある舌が蛇のように動く。
「ロゥリエ……!」
「まあ……どうしたのですか、そんなに怖い顔をして。さあ、私と一緒に遊びましょうよ。私、まだタナト様に沢山教えて欲しいことがあるんですよ。──例えば、怒りに歪んだ表情とか♡」
ゴオォッッッ──!!!!
「なっ!?」
なっ、なっ、なっ、何だよこの後ろからの爆風……!?
「安心して、お兄ちゃん。お姉ちゃんが守ってるのだわ」
イライザと一緒に振り返ると、エリオラが背後に向けて半透明の何かを張っていた……が……。
「ぇ……な……ぁ……?」
なん、だよ……これ……?
背後に広がるのは、崩壊し燃え盛る街。散り散りに逃げ惑い、泣き叫ぶ住民達。
さっきまでの平和な景色とは違う……破滅的な、景色。
「な……何やってんだよ、お前ェ!」
「アアァッ! そうっ、それ、それですわタナト様! 先日までの平和ボケした殿方の表情が、怒りと憎しみに支配され、歪み、吼える! 素晴らしい……素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい!!!! とーーーっても、エクセレントですわァ♡♡♡」
ロゥリエは自分の体を抱き締め、興奮しているかのような狂気の笑みを浮かべる。
……狂ってやがる……何で、こんな奴がこの時代にいるんだ……。
エリオラの言う通り……こいつは、ここで仕留めなきゃならない。絶対に……!
俺達は《虚空の生け簀》の中で、これからの事を話し合っていた。
話しの中心は勿論、ロゥリエをどうするかだ。
この中で一番ロゥリエについて詳しいイライザが、奴について話す。
「ロゥリエの性格は破綻しているのだわ。昔から、狙いを定めた獲物が絶望して死ぬ姿が好きな、異常性癖を持ってるのだわ」
「超ド級の変態じゃねーか」
「今回のターゲットはお兄ちゃんなのだわ」
やべぇ、そうだった。
「ロゥリエは平和を感じると破壊衝動が出るのだわ。お兄ちゃんに話しかけた時、こう言ってなかった? 『平和を楽しみたい』って」
「……そういえば、そんなこと言ってたな。平和な今を少しでも楽しみたくて、色んなことに挑戦してる、だったか……」
「つまり、お兄ちゃんと釣りを楽しんだせいで、お兄ちゃんがあいつのターゲットになったのだわ」
「なんっっっっつーはた迷惑な女だよ!?」
地雷女って言葉があるが、あいつはそんなもんじゃ収まらないぞ!
「じゃあ、このままここにいたらどうかしら? ここにいれば、ロゥリエも追ってこれないでしょ?」
「……過去に一度だけ、ロゥリエの手から逃れられた魔族がいるのだわ」
「……その後、どうなったの……?」
「……その子のいた街の人達は、全員串刺し。街は破壊され、あとに見つかったその子も生きたまま焼かれたのだわ……」
っ……ひでぇ……そこまでするか、普通……!
「……じゃあ、俺がここに隠れてるのって……」
「……得策じゃないのだわ。どんな手を使ってもお兄ちゃんのいた村を見つけ出して、蹂躙するのだわ」
……マジかよ……そんなの、どうすることも出来ないじゃん……。
「……もしかしてだけど……あいつって、このまま放置しちゃいけないやつ?」
「放置したら、間違いなく世界を壊すのだわ」
うーわ……なんてこった……。
今置かれている状況に絶望していると、エリオラが真剣な顔で口を開いた。
「大丈夫。最悪の場合、策はある」
「ほ、本当か……?」
「ん。でも、本当に最悪の場合。この手段は余り取りたくはないけど、最終手段」
……エリオラがここまで言うなんて……一体どんな方法なんだ……?
……いや、今はそれを考えるのはよそう。
「そうならない為ってなると、やっぱり……」
「ロゥリエを始末するしかない」
そうなるよな……。
あんまり物騒な話しはしたくないし、巻き込まれたくないんだが……こればっかりは無視も出来ないからなぁ。
……よし、覚悟決めろよ、俺。
「あいつが俺の匂いを覚えてるのなら、俺が囮になる」
そう提案すると、三人が何かを言う前に手をかざして遮った。
「三人が俺を心配してくれてるのはよく分かる。だが、今のあいつと唯一接点を持ってるのも俺だ。俺が街に出てロゥリエを誘き出し、三人が仕留める。これしかない」
「うぅ……旦那様を危険な目に合わせるなんて出来ない……でもそれしかない……妻失格……」
「お兄ちゃん。本当に……ほんっっっとうに気を付けて欲しいのだわ」
「タナト、絶対に守るわ。それが騎士だから」
三人の目が覚悟を決めたように鋭くなる。
皆の覚悟が出来た所で……行くか。
◆◆◆
《虚空の生け簀》から外に出る。俺が釣り堀へ向かう時に出た時と同じ、アクアキアの郊外だ。
夕焼け色に染まったアクアキアは、今のところ特に変わりない。平和なままだな。
「もっと人気のない場所に移動しましょう。周りの人を巻き込むかもしれないし」
「そうだな。行こう」
俺の前にイライザ。横にミケとレニー。後ろにエリオラが待機して、人気のない場所まで歩く。
……静かだ……静かすぎる……。
「んー……いねぇな」
「タナト、静かに」
ミケが槍を構え、油断なく辺りを見渡す。
「……この粘り着くような、嫌な視線……近くにいるわ」
え、嘘、どこだ?
俺も辺りを見渡すが……特に誰もいないぞ……?
「……お兄ちゃん、絶対そこを動かないで欲しいのだわ」
「あ、ああ……」
イライザの体の表面を紫電が迸る。完全に戦闘態勢って感じだ。
張り詰めた空気。
そして──。
「こんにちはァ」
っ! 上……!
見上げると、貼り付けたような笑みを浮かべているロゥリエが、崩れた廃墟の上に座っていた。
「あぁ……あぁ、あぁ、あぁ……! タナト様、心の底からお待ちしておりました……♡」
まるで熱に浮かされたように呟くロゥリエ。頬を赤らめ、目は潤み、三日月のように裂けている口からは長く厚みのある舌が蛇のように動く。
「ロゥリエ……!」
「まあ……どうしたのですか、そんなに怖い顔をして。さあ、私と一緒に遊びましょうよ。私、まだタナト様に沢山教えて欲しいことがあるんですよ。──例えば、怒りに歪んだ表情とか♡」
ゴオォッッッ──!!!!
「なっ!?」
なっ、なっ、なっ、何だよこの後ろからの爆風……!?
「安心して、お兄ちゃん。お姉ちゃんが守ってるのだわ」
イライザと一緒に振り返ると、エリオラが背後に向けて半透明の何かを張っていた……が……。
「ぇ……な……ぁ……?」
なん、だよ……これ……?
背後に広がるのは、崩壊し燃え盛る街。散り散りに逃げ惑い、泣き叫ぶ住民達。
さっきまでの平和な景色とは違う……破滅的な、景色。
「な……何やってんだよ、お前ェ!」
「アアァッ! そうっ、それ、それですわタナト様! 先日までの平和ボケした殿方の表情が、怒りと憎しみに支配され、歪み、吼える! 素晴らしい……素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい!!!! とーーーっても、エクセレントですわァ♡♡♡」
ロゥリエは自分の体を抱き締め、興奮しているかのような狂気の笑みを浮かべる。
……狂ってやがる……何で、こんな奴がこの時代にいるんだ……。
エリオラの言う通り……こいつは、ここで仕留めなきゃならない。絶対に……!
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