外れスキル【釣り】を極限にまで極めた結果 〜《神器》も美少女も釣れるようになったけどスローライフはやめません。〜
第14話 今ただの居候じゃん
朝日が昇り、俺とエリオラは早朝発王都行きの馬車に乗り込んでいた。
今から出発すれば、王都までは片道三日もあれば着く。馬車移動も旅の醍醐味の一つだ。のんびり行きましょ。
朝早いからか、他の客は誰もいない。俺達の貸切状態だ。
「おぉ……浮いてる馬車、快適」
「三〇〇〇年前には無かったのか?」
「馬車はあったけど、浮いてない。車輪が付いてて、長時間乗るとおケツが割れる」
「ケツは元々割れてるだろう」
「……盲点」
いや、盲点ではない。
でも……そうか、昔にはこういう馬車は無かったんだな。今は移動の快適さと、馬車を引く馬の疲労を考えて、魔法によって浮く馬車が主流だ。揺れもなく静かだから、ストレスなく旅が出来る。
『技術の進化という奴じゃな』
「ああ。魔族と人間が手を結んだことで、飛躍的に技術が発展、進化していったらしい。技術の発展は、イライザが最も力を入れたものの一つだ」
『おお……あのお転婆が、すっかり大きくなって……!』
エリオラの妹、イライザの名前を出すと、エリオラは頬を紅潮させて口角を上げた。
「流石私の妹。私に似て優秀」
「……エリオラに似て?」
「私に似て」
「……ふっ」
「!? 今、鼻で笑ったっ。謝罪をっ、撤回を要求するっ」
てしてしてしてし。痛い痛いっ、ちょっ、弱くしてるんだろうけど、魔族のパワーで叩かれると痛いっ。
「ま、全くもって失礼。私、三〇〇〇年前は神童として有名だった」
「でもお前、今ただの居候じゃん」
「ぐさっ」
図星を突かれて、自分で「ぐさっ」って言う人初めて見た。
「う、うぅ……タナト、意地悪……」
「悪い悪い。朝飯替わりのフィッシュサンド作って来たから、これ食って機嫌直してくれ」
「食べるっ」
むすっとした表情が一瞬で満面の笑みに変わり、布に包まれていたフィッシュサンドを嬉しそうに頬張った。
ふふふ、エリオラの胃はすっかり俺が掴んでいる。こうして機嫌の悪い時でも、料理を出せばイチコロだぜ。
『いいのぅ。ウチにも口があればいいのじゃが……』
「ルーシーはペンダントだもんな。飯は無理だが、後でまた磨いてやるよ」
『! え、エッチ変態スケベ! う、ウチの体をまさぐりたいだなんて……!』
「俺、ペンダントって前置きしたよな!?」
流石にルーシーの人格が女でも、実態のない女に欲情はしねーぞ!?
「ずるいルーシー。私も磨かれたい。奥の方からゴリゴリと」
「朝からお下品なことを言うな!」
「……私はナニでとは言ってない。何を想像したの?」
によによ、にまにまと笑うエリオラ。
「……っ。し、知らんっ」
「ふふっ。タナト、顔真っ赤でかわい♪」
「……クソッ、エリオラなんかに嵌められたみたいで、ちょっと腹立つ」
「私なんか……!?」
あ、やべ。声に出てた。
「悪いエリオラ。思わず本音が……」
「しかも本音……!? しょ、ショック……」
「まあまあ、そんな落ち込むな。ほれ、フィッシュサンド二つ目」
「いただきまーす♪」
……チョロ。
『ウチはエリィが心配じゃ……』
「俺達で守っていかないとな……」
いつか、悪い大人に騙されそうで怖い……。
◆◆◆
「さあ着いたぞ。王都メラプレスだ」
「おお〜……! おっきぃ街……!」
馬車移動で三日が経ち、俺達は無事王都メラプレスに到着した。
王都メラプレスは、やはり王都と言うだけあって超巨大都市だ。俺達の住む村とは雲泥の差。他の街に比べて割と治安も良く、世界一住みたい都市ランキング十年連続一位を獲得しているらしい(ミケ談)。
あっちを見ても人。こっちを見ても人。とにかく人、人、人。人だらけだ。
「おいエリオラ、ルーシー、はぐれるなよ。……ん?」
え、あれ、どこいったあいつら……!?
くそ、ちょっと目を離した隙にどこ行きやがった……!
「……ん? あ」
いた。なんか目を輝かせて屋台の前にいる。
「おい、エリオラ」
「あ、タナト。これ何?」
「これ? ああ、ふわふわ飴のことか」
文字通りふわふわの飴だ。木の串に付いていて、口に入れると溶けるようになくなる、王都で人気の飴らしい。
「ふわふわ……」
「……買ってやろうか?」
「いいのっ?」
「ま、これくらいはな」
おっちゃんにふわふわ飴を二つ頼むと、一つをエリオラに渡した。
「ほれ、食ってみろよ」
「いただきますっ」
ぱくっ。
「!? ……消えた……でも甘ぁ……!」
「そうだろ」
俺も最初に食べた時は驚いたもんだ。
っと、これ以上エリオラと離れないようにしなきゃな。
「エリオラ、俺の服掴んどけ。はぐれないようにな」
「……服……手じゃ、ダメ?」
「手?」
いやまあ、ダメじゃないが……ちょっと小っ恥ずかしいな。
「……まあ、はぐれるよりはマシか。ん」
「やった♪」
俺の手を、エリオラの小さい手が握る。
何だか……妙に意識しちまうな……。
「……あ、あー……行くか」
「んっ、行く」
『出発なのじゃ!』
今から出発すれば、王都までは片道三日もあれば着く。馬車移動も旅の醍醐味の一つだ。のんびり行きましょ。
朝早いからか、他の客は誰もいない。俺達の貸切状態だ。
「おぉ……浮いてる馬車、快適」
「三〇〇〇年前には無かったのか?」
「馬車はあったけど、浮いてない。車輪が付いてて、長時間乗るとおケツが割れる」
「ケツは元々割れてるだろう」
「……盲点」
いや、盲点ではない。
でも……そうか、昔にはこういう馬車は無かったんだな。今は移動の快適さと、馬車を引く馬の疲労を考えて、魔法によって浮く馬車が主流だ。揺れもなく静かだから、ストレスなく旅が出来る。
『技術の進化という奴じゃな』
「ああ。魔族と人間が手を結んだことで、飛躍的に技術が発展、進化していったらしい。技術の発展は、イライザが最も力を入れたものの一つだ」
『おお……あのお転婆が、すっかり大きくなって……!』
エリオラの妹、イライザの名前を出すと、エリオラは頬を紅潮させて口角を上げた。
「流石私の妹。私に似て優秀」
「……エリオラに似て?」
「私に似て」
「……ふっ」
「!? 今、鼻で笑ったっ。謝罪をっ、撤回を要求するっ」
てしてしてしてし。痛い痛いっ、ちょっ、弱くしてるんだろうけど、魔族のパワーで叩かれると痛いっ。
「ま、全くもって失礼。私、三〇〇〇年前は神童として有名だった」
「でもお前、今ただの居候じゃん」
「ぐさっ」
図星を突かれて、自分で「ぐさっ」って言う人初めて見た。
「う、うぅ……タナト、意地悪……」
「悪い悪い。朝飯替わりのフィッシュサンド作って来たから、これ食って機嫌直してくれ」
「食べるっ」
むすっとした表情が一瞬で満面の笑みに変わり、布に包まれていたフィッシュサンドを嬉しそうに頬張った。
ふふふ、エリオラの胃はすっかり俺が掴んでいる。こうして機嫌の悪い時でも、料理を出せばイチコロだぜ。
『いいのぅ。ウチにも口があればいいのじゃが……』
「ルーシーはペンダントだもんな。飯は無理だが、後でまた磨いてやるよ」
『! え、エッチ変態スケベ! う、ウチの体をまさぐりたいだなんて……!』
「俺、ペンダントって前置きしたよな!?」
流石にルーシーの人格が女でも、実態のない女に欲情はしねーぞ!?
「ずるいルーシー。私も磨かれたい。奥の方からゴリゴリと」
「朝からお下品なことを言うな!」
「……私はナニでとは言ってない。何を想像したの?」
によによ、にまにまと笑うエリオラ。
「……っ。し、知らんっ」
「ふふっ。タナト、顔真っ赤でかわい♪」
「……クソッ、エリオラなんかに嵌められたみたいで、ちょっと腹立つ」
「私なんか……!?」
あ、やべ。声に出てた。
「悪いエリオラ。思わず本音が……」
「しかも本音……!? しょ、ショック……」
「まあまあ、そんな落ち込むな。ほれ、フィッシュサンド二つ目」
「いただきまーす♪」
……チョロ。
『ウチはエリィが心配じゃ……』
「俺達で守っていかないとな……」
いつか、悪い大人に騙されそうで怖い……。
◆◆◆
「さあ着いたぞ。王都メラプレスだ」
「おお〜……! おっきぃ街……!」
馬車移動で三日が経ち、俺達は無事王都メラプレスに到着した。
王都メラプレスは、やはり王都と言うだけあって超巨大都市だ。俺達の住む村とは雲泥の差。他の街に比べて割と治安も良く、世界一住みたい都市ランキング十年連続一位を獲得しているらしい(ミケ談)。
あっちを見ても人。こっちを見ても人。とにかく人、人、人。人だらけだ。
「おいエリオラ、ルーシー、はぐれるなよ。……ん?」
え、あれ、どこいったあいつら……!?
くそ、ちょっと目を離した隙にどこ行きやがった……!
「……ん? あ」
いた。なんか目を輝かせて屋台の前にいる。
「おい、エリオラ」
「あ、タナト。これ何?」
「これ? ああ、ふわふわ飴のことか」
文字通りふわふわの飴だ。木の串に付いていて、口に入れると溶けるようになくなる、王都で人気の飴らしい。
「ふわふわ……」
「……買ってやろうか?」
「いいのっ?」
「ま、これくらいはな」
おっちゃんにふわふわ飴を二つ頼むと、一つをエリオラに渡した。
「ほれ、食ってみろよ」
「いただきますっ」
ぱくっ。
「!? ……消えた……でも甘ぁ……!」
「そうだろ」
俺も最初に食べた時は驚いたもんだ。
っと、これ以上エリオラと離れないようにしなきゃな。
「エリオラ、俺の服掴んどけ。はぐれないようにな」
「……服……手じゃ、ダメ?」
「手?」
いやまあ、ダメじゃないが……ちょっと小っ恥ずかしいな。
「……まあ、はぐれるよりはマシか。ん」
「やった♪」
俺の手を、エリオラの小さい手が握る。
何だか……妙に意識しちまうな……。
「……あ、あー……行くか」
「んっ、行く」
『出発なのじゃ!』
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