死神の日記

淺井 哲(あさい てつ)

三人目(3)

あいつは俺から見てもとても緊張していた

その緊張のせいかいつもはおそらくしないであろう

空振りを二回した、きっと子供たちの願いを兼ねることなどできないだろう

俺はそう思っていた

だがあいつの目は死んでいなかった、

次のラスト一球ちょうど球は観客席にいた俺の前に飛んできた

あいつはとてもうれしそうな顔をしていた

「さあ約束だ、お前の魂を連れていく何か言いたいことは?」

『死神さん、なんで僕が野球選手を選んだか知っていますか?』

「さあな」

『頑張れるからです』

『僕は全力でやることに価値があると思っている。結果は二の次だ』

『このことをもっとみんなに伝えたかった』

「まあ、その気持ちは俺にはわからないがきっと伝わったと思うぞ」

「今日のお前はまさにプロだったと思う」

俺は魂をもらったその色はどんなときにもあきらめない黄色だった




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