イントロバートガール·シヴァルリィ~無気力少女の異世界冒険記
第百五十一話 万策尽きる
ぼくはソニックのその言葉を聞いて取り乱してしまった。
喚きながら彼に向かって鳴き散らす。
だってその言い方って……。
作戦はもうないってことなのッ!?
ソニックはもうワルキューレには勝てないってことなのッ!?
「畜生風情が、女神様が見守るこの神聖なる決闘が汚すつもりか。おい吸血鬼。そこの幻獣を黙らせろ。」
ワルキューレは鳴き喚き続けるぼくに不快感を覚えたのか、こちらに向かって剣を突き立てた。
それでも鳴き続けるぼくの頭に、ソニックはそっと手を置く。
「大丈夫だぜググ。謝ったのはな……。お前一人にビクニを任せちまうことにだ」
それからソニックは、ワルキューレに聞こえない小さな声でぼくに話し始めた。
衛兵たちが動いてしまう以上、自分はもう逃げることはできない。
このままワルキューレと戦うしかないが、ぼくとビクニだけは必ず逃げれるようにするって……。
イヤだ……イヤだソニック!
そんなのイヤだ!
ぼくとビクニとソニック、二人と一匹が一緒じゃないとイヤだよッ!
「次にワルキューレの奴が仕掛けてきたら……。お前とビクニに向かって風の魔法を唱える。どこへ飛んでいくかわからねえが、少なくともここよりは安全なはずだ」
ぼくの頭に置いた手で動かして、優しく撫で始めるソニック。
その暖かい手の感触を感じながら、目から涙が溢れ出てしまっていた。
せっかくここまで来たのに……。
どうして……どうしてなんだよ……。
「ようやく大人しくなったな。それでは一騎打ちの続きを始めようか」
ぼくが喚くのをやめると、ワルキューレがゆっくりとソニックのほうへと歩き出した。
それを見たソニックは、ぼくの頭から手を離した。
そして、ぼくとビクニを巻き込まないように、ワルキューレへと向かって行く。
あぁ……ソニックがいっちゃう……。
ビクニ……起きて……起きてよぉ。
ぼくらはやっぱり一緒じゃないと何もうまくいかないよぉ……。
「じゃあなググ。無責任なことを言うが、あとは任せたぜ」
ぼくらに背を向けながら呟くように――そして穏やかに言うソニック。
その思いやりのある態度は、明らかに動揺しているぼくをなだめようとしているものだった。
ダメ……ダメだよソニック。
なんとかぼくもビクニもソニックもみんなが助かる方法を考えなきゃ……。
諦めちゃダメェェェッ!
ぼくが大きく鳴いたその瞬間――。
突然ぼくらのいた大聖堂の前に、黒い霧のようなものが現れた。
そして、その黒い霧はあっという間に周囲を覆いつくしていく。
「これは何事だッ!? まさか貴様の魔法かッ!?」
「これは……あいつのディープ·ミスト……?」
黒い霧の中から、ワルキューレとソニックの声が聞こえる。
さすがのワルキューレも取り乱し始めてたけど。
どうやらソニックも事態を飲み込めてないみたい。
えっ? 
この霧ってソニックがぼくとビクニを逃がすために唱えた魔法じゃないの?
誰もが戸惑う黒い霧の中。
そんな不気味な空気を払うかのような、大きな声が大聖堂の前に響いた。
「王子ッ! 今です! そのまま空へと飛んでくださいッ!」
その声と同時にぼくの体は誰かに持ち上げられ、そのまま黒い霧の中を突き抜けて空へと飛んで行く。
そして、かなりの高さまで上がると、そこにはぼくらと同じく空へと飛び出したソニックの姿があった。
「お前……生きてたんだなッ!」
「ソニック王子、お話は後ほどに。今はこのまま城壁の外まで行きましょうぞ」
ぼくとビクニを抱きかかえながら言うソニックと同じコウモリの翼を持った人物――。
燕尾服姿で髪も髭も真っ白な老人――ヴァイブレがぼくらを助け出してくれた。
喚きながら彼に向かって鳴き散らす。
だってその言い方って……。
作戦はもうないってことなのッ!?
ソニックはもうワルキューレには勝てないってことなのッ!?
「畜生風情が、女神様が見守るこの神聖なる決闘が汚すつもりか。おい吸血鬼。そこの幻獣を黙らせろ。」
ワルキューレは鳴き喚き続けるぼくに不快感を覚えたのか、こちらに向かって剣を突き立てた。
それでも鳴き続けるぼくの頭に、ソニックはそっと手を置く。
「大丈夫だぜググ。謝ったのはな……。お前一人にビクニを任せちまうことにだ」
それからソニックは、ワルキューレに聞こえない小さな声でぼくに話し始めた。
衛兵たちが動いてしまう以上、自分はもう逃げることはできない。
このままワルキューレと戦うしかないが、ぼくとビクニだけは必ず逃げれるようにするって……。
イヤだ……イヤだソニック!
そんなのイヤだ!
ぼくとビクニとソニック、二人と一匹が一緒じゃないとイヤだよッ!
「次にワルキューレの奴が仕掛けてきたら……。お前とビクニに向かって風の魔法を唱える。どこへ飛んでいくかわからねえが、少なくともここよりは安全なはずだ」
ぼくの頭に置いた手で動かして、優しく撫で始めるソニック。
その暖かい手の感触を感じながら、目から涙が溢れ出てしまっていた。
せっかくここまで来たのに……。
どうして……どうしてなんだよ……。
「ようやく大人しくなったな。それでは一騎打ちの続きを始めようか」
ぼくが喚くのをやめると、ワルキューレがゆっくりとソニックのほうへと歩き出した。
それを見たソニックは、ぼくの頭から手を離した。
そして、ぼくとビクニを巻き込まないように、ワルキューレへと向かって行く。
あぁ……ソニックがいっちゃう……。
ビクニ……起きて……起きてよぉ。
ぼくらはやっぱり一緒じゃないと何もうまくいかないよぉ……。
「じゃあなググ。無責任なことを言うが、あとは任せたぜ」
ぼくらに背を向けながら呟くように――そして穏やかに言うソニック。
その思いやりのある態度は、明らかに動揺しているぼくをなだめようとしているものだった。
ダメ……ダメだよソニック。
なんとかぼくもビクニもソニックもみんなが助かる方法を考えなきゃ……。
諦めちゃダメェェェッ!
ぼくが大きく鳴いたその瞬間――。
突然ぼくらのいた大聖堂の前に、黒い霧のようなものが現れた。
そして、その黒い霧はあっという間に周囲を覆いつくしていく。
「これは何事だッ!? まさか貴様の魔法かッ!?」
「これは……あいつのディープ·ミスト……?」
黒い霧の中から、ワルキューレとソニックの声が聞こえる。
さすがのワルキューレも取り乱し始めてたけど。
どうやらソニックも事態を飲み込めてないみたい。
えっ? 
この霧ってソニックがぼくとビクニを逃がすために唱えた魔法じゃないの?
誰もが戸惑う黒い霧の中。
そんな不気味な空気を払うかのような、大きな声が大聖堂の前に響いた。
「王子ッ! 今です! そのまま空へと飛んでくださいッ!」
その声と同時にぼくの体は誰かに持ち上げられ、そのまま黒い霧の中を突き抜けて空へと飛んで行く。
そして、かなりの高さまで上がると、そこにはぼくらと同じく空へと飛び出したソニックの姿があった。
「お前……生きてたんだなッ!」
「ソニック王子、お話は後ほどに。今はこのまま城壁の外まで行きましょうぞ」
ぼくとビクニを抱きかかえながら言うソニックと同じコウモリの翼を持った人物――。
燕尾服姿で髪も髭も真っ白な老人――ヴァイブレがぼくらを助け出してくれた。
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