獄卒鬼の暇つぶし

うさみかずと

第24話

私が二代目の居場所を知った経緯を語って聞かせると、二代目は喜んで聞いていた。

「そうか、お主は外出禁止を申し付けられたのか、原因が手前とあっては、申し訳ないことをした」

「全くだ、私はあの後大変だったんだぞ」

「アハハハハハ、終わったことだ許せ許せ」

二代目は悪びれることもなくあぐらをかいた膝を叩きながら笑う。いい加減さは相変わらずだが、私は少し安心した。

「そういえばお主さっき死神と言ったな」

「あぁ、そのことでちょっと気になったことがある」私は神妙な顔つきになってそう言い、死神がいけ好かない死神に忠告していた消滅のことを話題に出した。耳を傾けた二代目は「ほう」と眉を寄せ複雑な顔でつぶやいた。「死神は人間の余った寿命を糧に存在するものなのだ、故に寿命まで人間を生かしてしまってはその恩恵を受けられず消滅する」

「なんだよそれ、どういう意味か?」

「そのままの意味だ」

「ますます分からん、その理屈じゃ人間は寿命をとられ放題じゃないか」

「手前も詳しくは知らないが、寿命をとるには細かい調査があるらしく勝手に行動ができないと聞いた。あくまでもリストに記された人間からしか恩恵を受けられないとな」

「さながら拷問器具を売りにくる地獄の営業マンみたいだ」

「そうだな、しかしただ一つ大きく違うのはその代償だな……だから彼らも必死だ可哀そうに」

二代目はそう言ったが、特に哀しそうではなかった。

「なぁ二代目、二代目はあの死神とどういう関係なんだ?」

「腐れ縁だ、彼奴にはちと貸しがある」

「貸し?」

「まぁどうでもいいではないか」

二代目はそう言って嬉しそうに笑った。

「二代目様は死神さんと友達なんですね、素敵です」

目をキラキラさせているセラに二代目は呆気に取られて、「アハハハ、それは愉快な解釈だ」と声に出して笑いながら言った。

「ただな天使のお嬢さん、友達なんてものは時と流れと共に変わってしまうのだよ」
今度は私が呆気に取られる番だった。はて? 二代目はこんな妙なことを口走る鬼だっただろうか。その意図とするところはさっぱり分からないが、地獄を捨て百年間浮世に漂い続けた二代目の言葉には、しなやかな力強さが兼ね備わっていた。

「二代目も不思議なことを言う」

「浮世生活は長くなればお主もそのうち分かる」

「そんなことなら分かりたくもない」

その時ドアをノックする音がして、男の低い声で「国枝ぁ」とはっきり聞こえた。

「空いてる、勝手に入れ」

「ちっ」

あからさまな舌打ちの後、ドアが開き眼鏡をかけた長髪の男が部屋にいる我々を一通り見渡し、二代目を見てニッコリ笑った。

「お前、俺意外に友達がいたんだな」

「アハハハハハ、それはお互い様であろうが」

二代目は高らかに笑い言った。

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