年下の上司

石田累

extra1 年下の元カレ(8)



「聞きました、総務の的場さんと、一緒に食事してたって」
 さすが秘書課……。
 覚悟はしていたものの、翌日、あまりに速い攻撃に、晃司はたじたじになっていた。
 午後6時、10階の休憩スペースで待っていた安藤香名は、最初からひどく冷たい目をしていた。
 呼び出された晃司は、赤い絨毯フロアを目前にして落ち着かない。
 しかも背後には人事部がある。こんな姿を宮沢りょうさんに見られたら、なんと言って揶揄されるか。
「須藤さんのことで、彼女から、逆に相談を受けたんだよ」
 が、用意していた答えはよどみなく出てきた。
「俺、須藤さんと年が近いから何か知ってないかって、……話したのはそれだけで、やましいことは何もないよ」
「別に、そのこと自体をとやかく言ってるんじゃないんです。同じ局の同僚なんだし、事情によっては、そういうことだってあると思います……そんなに、嫉妬ぶかいと思われているんなら、悲しいわ」
 本当に悲しそうな目になって、香名は濃い睫を伏せた。
「いや、そんなことは」
「ただ、相手が的場さんっていうのは、勘弁してもらいたいんです」
「………」
「秘書課にとって的場さんは、鬼門みたいな人ですから。………以前区にいた前園さんは、ご存知ないと思いますけど、元市長秘書だった的場さんは、今の市長にすごく嫌われているんです」
「………」
 知っている。
 付き合い始めて半年くらいで噂を聞いて、果歩に問いただしたことがあったから。
 あの時、俺はどう思ったのだろう。――失敗した、心の奥底でそんな風に思わなかったろうか。
 今となっては、そんな嫌な感情を思い出したくもないが、以来、晃司は、的場果歩との関係が表沙汰にならないよう気を使い続けてきた。少なくとも今の市長が現役でいる限り、結婚できないとも思っていた。
 果歩が、そんな噂を気にしていないどころか、それが晃司に及ぼうす影響を少しも理解していないところにも腹が立った。そうだ、果歩は昇進とかそういった面にひどく無頓着なところがあって、俺の苛立ちの意味も、理解しきれていないところがあったっけ。――
「前園さん?」
「ああ、ごめん」
 晃司がぼんやりしていたせいもあるのか、安藤の目が刺々しくなった。
「あんな役所の近くで食事して……。噂にならないと思うほうがどうかしてますよね。私がせっかく前園さんを推薦したのに、万一そんな噂が市長に耳に入ったら、どうなると思っているんですか」
「そうだね、迂闊だったよ。その場で断るべきだった」
「お願いします。あんな人と噂になって、私に恥をかかせないでくださいね」
 その言葉に、さすがに晃司はむっとしている。
 が――憤りの代わりに出たのは、とりつくろった冷酷なセリフだった。
「わかってるよ。俺だって、そんなヘマをするつもりはない」
「そうですよね」
 何言ってんだ。俺は。
 いや、選んだ答えは正解だ。その証拠に、ようやく安藤の表情が柔らかくなる。
 けれど、人間として自分がひどく汚れてしまったよう気がして、苦々しい気持ちのまま、晃司は煙草の消えた胸ポケットを探る。
 禁煙は、果歩にずっと勧められていて――つきあい初めの頃にチャレンジしたものの、結局は復活させた。
 何故今頃、また禁煙を始めたんだろう。何故。――
「じゃ、私戻ります。まだ仕事が残ってるから」
 立ち上がった香名は、上機嫌の笑みを浮かべていた。
「うん」
 晃司も、ようやくほっとして立ち上がる。
「今夜、何時に終わりますか」
「うーん、わかんないけど、9時には終わるかな」
「じゃ、私も合わせます。一緒に帰ってもいいですか」
「いいよ」
 そうだな。中途半端に終わったあの夜の続きをしないとな。とはいえ、むしょうに気が乗らない。
 何に引っかかってるんだろう。どう考えたって、安藤香名は、俺には最適のパートナーなのに。
「あ、そうだ、食事ですけど」
 言いかけた香名の笑顔が、ふと止まった。
 その視線につられるように、晃司も振り返っている。
 香名の目にかすめるような険しさがあったので、多分果歩だろうと思ったものの――違った。
 エレベーターホールに立っていたのは、先日再会したばかりの美早だった。
 さすがに、夫の不倫相手にでくわした感情が抑えられないのか、美早もまた、珍しくこわばった顔になっている。
 が、美早はすぐににっこりと柔らかい笑顔になって会釈した。
「こんばんは。よく会うわね、最近」
「う、うん」
 こ、このバッドなタイミングってなんなんだろう。
 この場合、どちらの味方をしていいか判らない晃司だが、背後の香名からは、確実に冷ややかなオーラが流れてくる。
 どこか表情が硬いのは、美早もまた、同じだった。
「今日は、伊達のことで人事部に呼ばれたの。じゃ、失礼します」
「失礼します」
 一礼して、美早はさっさとエレベーターに乗り込んだ。
「あの女が何を言っても、信じないでくださいね」
「え?」
 気づけば、香名が、不安そうな目で見あげていた。
「彼女、きっと私を憎んでるんです。もちろん、それは当り前の感情で、私にも悪いところはあったんですけど。……伊達さんの勝手な言い分を秘書課で言いふらされて、本当に迷惑しましたから」
 晃司は、曖昧に視線を下げた。正直言えば、ここで何と言っていいか判らない。
「あの人、元議員秘書ですよね。今は区役所……。そういうのもあると思うんです。私だって、彼女の立場になったら、すごく惨めな気持ちになると思いますから」
「…………」
 ひどく嫌な気持ちがした。
 が、やはり今の自分の感情を、どう口にしていいか判らなかった。
 それに、しょせん、自分は香名と同類だ。どう言い訳しても、似たような考え方しかできない以上、非難する資格もない。
「じゃあ、後で」
 無理につくろった笑いを浮かべ、それだけ言ってきびすを返した。
 なんだか、元々気乗りしない今夜の約束が、ますます憂鬱に思えてくる。   。
「前園、お前どこ行ってたんだ!」
 執務室に戻ると、目をつりあげた加藤が飛び出してきた。
 時間外にどこに行こうと、文句を言われる筋合いはない。むっとした晃司だったが、加藤はかまわずにまくしたてた。
「お前、大変だぞ、三田村さんが、事故って入院した」
「え?」
「さっき奥さんから電話があって、帰宅途中に車にはねられたらしい。期限ものの仕事が山ほどあるだろ。お前一人で大丈夫なのかよ」
 同じプロジェクトの主担当だった三田村主査。
 意味を察した晃司は、身体の芯がすーっと冷たくなるのを感じた。
「なんとかします」
 今夜の約束はキャンセルだな。そう思いながら、晃司は執務室に飛び込んだ。




 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




 隣で足を止めた女性を、晃司は自然に目で追っていた。
 控え目な紺のワンピース、羽織った水色のカーディガンに、それより少し淡色の傘。
 すらっとした長身に、バランスのとれた長い手足、色白の瓜実顔とゆるくウェーブのかかった肩までの髪。
 ――ああ、総務の的場さんだ。
 少しドキドキしながら、晃司は、隣の人に気付かれないように視線を下げた。
 午後9時少し前、役所の正面玄関には2人しかいない。晃司が折り畳み傘を不器用に開いていたら、後から横に並んだのが的場果歩だった。
 空を見上げる人を横眼でちらっとみやりながら、晃司は折り畳み傘を開く作業を再開した。
  ―― いつ見ても、綺麗っつーか、全然隙のない人だな。
 こういう雰囲気が、元市長秘書という所以なのだろうか。
 こんな女性が彼女だったらな、という、憧憬だか野心だか判らない感情に何度かかられたものの、結局は一度も私的に話しかけられないまま、今に至っている。
 多分、心であれこれ思っても自分から話しかけることはないだろう、と、晃司はなんとなく予感している。まぁ――つまり、そういう性格なのだから仕方ない。恋とは、晃司にとって全てに優先するほど絶対のものではないのだ。
 果歩の白い手が傘をそっと持ちあげて、ぱん、と開く。
「わっ」
 その仕草につい見惚れていた晃司は、目に滴がまともに入り、思わず声をあげていた。
 ぎょっとした風に果歩が振り向く。
「えっ、ご、ごめんなさい」
「い、いえいえ」
 申し訳ないのは、むしろ自分のほうだった。結構ぶしつけな目で、見つめていたような気がするから。
「夕方外に出たの忘れてて……傘、……水が散っちゃったんですね」
「いや、大したことはないんです。ただ、少し驚いたから」
 ハンカチを取り出す果歩に、晃司は慌てて手を振った。
「あれ? 政策の……前園さん?」
「あ、はい」
「いつも遅くまで大変ですね」
 さっと肩に散った水滴を拭い、果歩は笑顔で晃司を見上げた。
「もう、慣れました? うちの局」
「いえ……まだ、緊張してばかりで」
「全然そうは見えないですよ。あそこは激務だし課長が厳しい人だから……新しい人は、3カ月くらい、ちょっと雰囲気がダークなんですけど」
「そうなんですか」
「ええ、前園さんのことも心配してたけど、いつも張り切ってらっしゃるから、この人強いなぁって」
「そ、そうっすか」
 張り切っていたと、ずばり言い当てられるのも恥ずかしい。
 が、それ以上に、月より遠い人だと思っていた総務秘書が、自分のことをこれほど見ていてくれたことに驚いていた。
「あれ、確か……あちらの方に住んでましたよね」
「ああ、夕食買いに、コンビニ寄って帰るから」
「そっか、じゃ、途中まで一緒ですね」
 あの雨の夜、コンビニまでの短い道すがら何を話したのか、晃司はあまりよく覚えていない。
 ただ……水色の傘が鮮やかに開いた刹那、雨の滴とは別の何かが、確かに晃司の中に落ちてきたのだ……。多分……。




*************************  




「おい、いい加減に起きろよ」
 はっと、まどろみから引き起こされる。
 政策部長室の応接ソファ。
 少し仮眠するつもりが、相当深く寝入ってしまったらしかった。
 急いで身を起こした晃司の膝に、熱い缶コーヒーが投げられる。
「寝るんなら、年休とって家に帰れ。迷惑だ」
「すみません……」
 仏頂面で見下ろしている加藤にしても、晃司がパソコンを叩いていた間の3時間、地震がきても起きない勢いで寝続けていた。
 着替えとシャワーを浴びるためだけにアパートに戻るようになって今日で3日。
 晃司もそうだが、ずっとつきあってくれている加藤の精神にも限界が近づいている。
「加藤さん……もういいですよ。あとは俺がやりますから」
「いいよ、今俺が引いたら、全部お前の手柄になるだろ」
 溜息が洩れるほど加藤らしい言い草である。
 が、事故で入院中の三田村主査が抱えていた仕事は全てが期限もので、晃司一人では例え3日徹夜しても、やり遂げるには不可能な量だった。
 誰もが自身の仕事を抱え手いっぱいの政策課である。しかも庶務的な仕事や各担当の補佐役だった須藤流奈は欠勤続き、新任の係長は座っているだけ。
 課長も補佐もおろおろして、何から手をつけていいか判らない中、「僕が前園の補佐につきますよ」とただ一人申し出てくれたのが加藤だったのである。
「コーヒー、いただきます」
「次はお前がおごれよ」
 熱くて苦いコーヒーを、少しばかり面映ゆい気持ちで唇につけた。
 加藤の場合、確かに、課長にアピールしたいという動機が一番だったのだろう。が、この3日間、わずかも手を抜くことなく難解な仕事をこなしていく加藤に、今までとは違った思いを抱くようになったのも確かである。
 が、それより、今回初めて知った驚きがあった。
 三田村主査のことである。
「本当に仕事が出来る人ってのは……目立たないもんなんですね」
 あとわずかで完成する収支報告を見つめながら、晃司はぽつりと呟いた。
「三田さんのことか」
 パソコンを叩きながら、無愛想に加藤は答える。
「……俺……あの人がこんなに沢山の仕事抱えてたなんて、知らなかったから」
 というより、むしろ逆だと思っていた。
 プレッシャーのかかる仕事から逃げて、地味で楽な仕事で、せこせこ得点を稼いでいるのだと。
「しかも、楽で目立ちやすい仕事は全部お前に回してな」
「…………」
 とどめのような加藤の言葉も、真実を衝いていると知った今では、反論する気にさえなれない。
「三田さんはそういう人なんだ。俺もよく知ってるよ。自分は裏方に徹してでも、仕事が円滑に進むことを第一に考える人だ。だから、三田さんを理解してない奴を見ると、腹がたって仕方がない」
「で、それが俺っすか」
 やや、自嘲気味な気分で晃司は呟いている。
「だったらなんで、俺のフォローなんてやってくれてるんですか。ペアで仕事やってんのに、俺、三田村主査の仕事をひとつも理解していなかった。それだけで今年政策から追い出されるには十分すぎるほどなのに」
 パソコンから目を離し、思案するように耳を掻く加藤の表情は変わらない。
「俺も前は、お前と同じ立場だったからな」
 再びキーを叩きながら、加藤は言った。
「今回のことは、お前を助けてるんじゃない。三田さんに恩返ししてんだ。それ、絶対に勘違いすんなよ」
 辛辣な言葉も、不思議な温みをもって胸に響く。
「できた。送るからチェック頼む」
「はい」
 すぐさま、庁内メールを通じて書類が添付で送られてくる。
「えっと……次は財政への報告もんを片付けなきゃな」
「加藤さん」
「あ?」
「……いえ、なんでもないっす」
 海外研修――もし、安藤香名の言葉が本当なら、課長は自分ではなく加藤を推薦したのだという。
 その理由が単なる年功序列ではないことを、晃司は骨身にしみるほどの惨めさと共に実感していた。


 *************************


「そっかぁ、加藤君には迷惑かけちゃったなぁ」
 ギブスで固定された脚を空に吊るされている三田村は、仕事の進行状態を聞くと、安堵したようにそう言った。
「すみません。俺がもっと、三田村さんの仕事のことが判ってたら」
 晃司は素直に謝罪した。
 事故から1週間、自転車で帰宅途中にトラックと接触したという三田村は、血色もよく、饒舌で、見た目はかなり元気そうだった。
「いいよ、いいよ。俺が悪いんだ。どうも昔から、自分の仕事を人に引き継ぐのが苦手でね。ついつい自分で抱え込む癖があるから……」
 決して謙遜ではない羞恥を浮かべ、三田村はむさくるしい頭をがりがりと掻いた。
「書類の整理も目茶苦茶だし、加藤君、随分怒ってたろ」
「まぁ……そのへんは。相変わらずフォルダの中が目茶苦茶だって、少しだけ怒ってましたけど」
 晃司も厭味でなく、本当のことを言っていた。
 伝えたとしても、その程度は三田村と加藤の間では許される範囲だと思ったからだ。
 案の定三田村は、苦り切った中にも嬉しそうな笑いを浮かべ、「まいったなぁ、加藤君になんて謝ろう」と、独り言のようにぼやいている。
 晃司は、課を代表して持ってきた花束を抱えて立ち上がった。
「ナースセンターで花瓶かりてきますよ」
「えっ、いいよ。もうすぐ嫁も来ると思うし」
「いえ、奥さん煩わせるのも悪いんで」
「うわぁ……ゾノにそこまでさせるなんて、今夜は悪い夢でも見そうだなァ」
「なんなんですか、それは」
 遠慮する三田村を振り切るように病室を出た。
 病室を出て、晃司は軽く息を吐く。
 もっと言いたいことや、賛辞したいこと、今まで誤解していたことへの謝罪がしたかったはずなのに、役所とは違う空間で2人きりになると、不思議なくらい何も言えなくなっている。
 いずれにしても、仕事で教えられたことは、仕事で返すしかない。
 今回……加藤がそうしたように。
「まぁ、すみません、主人の職場の方ですか!」
 びっくりしたような声が背後からした。声よりさらにびっくりした晃司は、咄嗟に振り返っている。
 ふっくらとした丸顔の女性が、……顔だけでなく身体も相当まるまっちぃ女性が、両手に大きな紙袋を二つさげて突っ立っている。
「あ……もしかして、三田村主査の」
「家内の、チヨでございます!」
「……はぁ」
 チヨ? すげぇ名前だな……。顔立ちはまぁまぁ可愛くて、30代の前半くらいに見えるけど。
 どすどすと慌てて近寄ってきた三田村の妻が、「この度は、宅の主人が、大変ご迷惑をおかけしました」と、深々と頭を下げる。
 かなり大き目のチェニックを着ているようだが、身をかがめると腰回りなどはち切れそうだ。
「お花なら、私が活けてきますから。ほんっと、気を使っていただいて申し訳ありません」
 その妙な迫力に、晃司、圧倒されっぱなしである。
「いえ……あの、これくらいなら僕が」
「いえ! 主人に叱られますから、ぜひとも私が」
「でも、その」
 両手がふさがってるみたいなんですけど。
 そう言いかけた時だった。ずぼっと妙な音がして「ひゃあっ」と、チヨなる女性が素っ頓狂な声を上げる。
 ごろんっと足元に転がり出た数個の林檎が、あっと言う間に四方八方に広がった。
 袋に詰められていた沢山の林檎が、紙の限界を突き破って溢れだしたのだと、一拍遅れで晃司もようやく理解する。
「あ、あの、俺が拾ってきますから」
「す、すみませんっ、すみませんっ」
 マンガかよ、……この人……。
 が、その滑稽な可愛らしさが、三田村の雰囲気によくあっていて、晃司は自然に笑っている。
 そっかぁ、こんな人が奥さんか。どう間違っても出世の糧になりそうもない。が、逆に、家の中がぎすぎすすることもないだろう。ほんっと、似合いの人がいたもんだ。
 廊下を端まで転がった林檎が、踊り場から出てきた人の足に当たった。
 かがみこんでいた晃司には、その人の細くて綺麗な足首しか見えない。
「すみません」
 さすがに手を伸ばすのがはばかられて、先に謝ろうと顔をあげた時だった。
 逆にかがみこんだその人の手が、林檎を拾い上げて、顔をあげる。
「本当、よく会うね」
 晃司は声も出なかった。
 確かに、偶然にしては出来すぎだ。が、もし、三田村主査の事故さえなければ、晃司から連絡を取っていたのかもしれない相手。
 でも、どうしてこのタイミングで彼女がここに……。
「えー、美早ちゃん?? もしかして、御見舞にきてくれたの?」
 三田村の妻の、甲高い声を背後で聞きながら、晃司は呆けたように立野美早の笑顔を見続けていた。



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