ディスカウントショップで兄がわたしを18禁コーナーに連れていこうとしています。

雨野美哉(あめの みかな)

「もっと、おにーちゃんとえっちした(い)。⑪」

わたしにはきっと、小説を書くという才能はないんだと思います。

わたしに小説を書くということを、その楽しさを教えてくれたおにーちゃんは、一度プロの世界に立つことができたけれど、その世界では生き残ることがでなかなかったように。

わたしも、プロを目指したところで、きっと同じ結末が待っているんじゃないかと思います。


おにーちゃんは、作家になることは諦めて、普通の仕事につくことにして、三年間この家を離れていたけれど、三ヶ月前にこの家に帰ってきたとき、わたしの目には、いつ自殺をしてしまってもおかしくないように見えました。

だけど、おにーちゃんには、この作品を最後まで書ききるまでは死ねない、というものがあって、それを必死で書き続けていました。

1ヶ月ほどでその作品を書き終えたおにーちゃんは、それきり小説を書くことをやめてしまいました。

そのときのおにーちゃんには、もう何も思い残していることはなかったんじゃないかと思います。
いつ死んでしまってもいいくらいに。


だから、そんなおにーちゃんを、わたしは必死で繋ぎ止めました。

おにーちゃんのすべてを受け入れることで。
おにーちゃんの何も否定せず、すべてを肯定することで。

おにーちゃんの人生の選択肢には、これまでずっと、わたしを選ぶという選択肢がありませんでした。

だけど、わたしは、おにーちゃんに、わたしを選んでほしかった。

わたしがずっとそばにいることができれば、もうこれ以上おにーちゃんが傷つくようなことのないようにきっとできると思いました。

そのためには、おにーちゃんがずっと自分の気持ちに嘘をついて、何重も鍵をかけてしまっていた、

→「みかなを選ぶ」

という選択肢を、わたしは無理矢理にでもこじ開けるしかありませんでした。

おにーちゃんとわたしが、いっしょに生きていけるように。


この私小説が書籍化されることは、まずないと思います。

実の兄妹の恋愛を、妹の視点から書いている、という点だけは、もしかしたら評価されるかもしれませんが……

わたしがもしプロの小説家になろうとしているなら、りさちゃんたちのことは書くべきではなかっただろうし、ネット小説はPV数がすべてだから、2か月かけて8000PVもいかないようなこんな作品は、早々にきりのいいところで打ち切って、次の作品にとりかかるべきなのだと思います。

だけど、わたしは、書籍化やPV数のためではなく、この私小説をおにーちゃんのためだけに書いています。

いつかは薄れていってしまうような記憶だけでなく、すべてを書き記しておくことで、実生活だけでなく、小説という形で、おにーちゃんをこれから先もずっと肯定し続けるために。

おにーちゃんが生きてくれるように。

未来のことなんて、明日のことですらわからないから、わたしにもし何かあったとしても、この小説がきっと、わたしの代わりにおにーちゃんを繋ぎ止めてくれるはずだから。

だから、わたしは、これからも書き続けるつもりです。

わたしがどれだけ、おにーちゃんのことを愛していて、どれだけ必要としているか。

わたしなんか、って言い方をしたら、おにーちゃんは怒るかもしれないけど、わたしなんかね、どうなったっていいとすら思えるの。
おにーちゃんが、生きていてくれるなら。
わたしは、そのためなら、どんなことだってしたいし、する。

おにーちゃん、わたしはそれくらいおにーちゃんのことが好きだよ。


おにーちゃん、わたしが用意してるのは、この小説だけじゃないからね?

もしわたしに何かあったら、わたしのスマホを見て。暗証番号はおにーちゃんの誕生日だよ。

この2ヶ月のわたしとおにーちゃんの会話や、えっちのときの様子が、全部録音されてるから。
わたしの自撮り写真、普通のからえっちなものまで何千枚もあるから。

この小説だけじゃ足りなかったら、わたしが録音してきた音声を聴いて。
わたしの写真を見て。
microSDカードにおさまらない分は、わたしのGoogleアカウントのドライブにアップしてあるから。

もし、わたしがいなくなることがあったら、だよ?
これを読んだからって、わたしのスマホのロックを解除したりしたらだめだからね?

おにーちゃん、わたしはね、いざというときに、それだけじゃたりないかもしれないから、おにーちゃんの頭の中にあるりさちゃんたちの場所にも、わたしをちゃんと置いていくから。

新しい体も、わたしの勉強机の一番下の引き出しに用意してあるから。
りさちゃんたちと同じくらいかわいい体だから。

だから、わたしはずっとおにーちゃんといっしょだよ。


もし、それでも足りなかったら、おにーちゃんのことは、佳代ちゃんと、佳代ちゃんのパパとママにお願いしてあるから。

佳代ちゃん、おにーちゃんのこと、まだ好きみたいだし。

佳代ちゃんのパパとママも、おにーちゃんならいつでも大歓迎だって。


わたしだけじゃないんだよ。

おにーちゃんのことが好きなのは。

おにーちゃんに生きていてほしいと思ってるのは。

だから、もしわたしがいなくなるようなことがあっても、ちゃんと生きてね。

そして、いつか、また小説を書いてね。


真夜中、そこまで書いたわたしは、スマホを枕元に置いて、隣で寝ているおにーちゃんの寝顔を見つめました。

本当に、かわいい寝顔。
反則だよ、って思うくらい。

この人は、レベルアップするたびにパラメーターを防御力じゃなくて、かわいさに極振りしてるんじゃないかな。

おにーちゃんは、わたしがえっちないたずらをしても起きないから、寝てるときはいたずらし放題。

枕元に置いたスマホは録音アプリを起動させてあって、録音を始めていました。


「おにーちゃん、好き。大好きだよ」

わたしはおにーちゃんの頭を撫でて、頬を撫でて、それからキスをしました。

肌寒くなってきて、おにーちゃんは長袖のパジャマを着て寝るようになっていました。
わたしとおそろいのかわいいパジャマでした。

わたしは、おにーちゃんのパジャマの上から、おちんちんを撫でました。
わたしに撫でられるだけで、この子はすぐにむくむくと起き上がって、パジャマとその下のパンツの中で苦しそうにしていました。

わたしは、苦しそうなその子を解放してあげました。

「いつも元気だね、ざびえるは」

わたしのことをたくさん気持ちよくしてくれるこの子のことも、わたしは大好きでした。

「いっぱい気持ちよくしてあげるから、いっぱいだしてね」

わたしは、ざびえるをぱくっとお口でくわえました。
それだけでざびえるは、わたしのお口の中でどんどん大きくなっていきました。

「そんなに気持ちがいいの? わたしのお口の中」

よだれをいっぱいだして、いやらしい音をたくさん出して、わたしは朝までその子をずっとかわいがりました。


          

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