ディスカウントショップで兄がわたしを18禁コーナーに連れていこうとしています。
「おにーちゃんとえっちした(い)。⑬」
「おにーちゃんはね、わたしへの気持ちを無理矢理おさえつけて、好きでもない女の子と付き合ってばっかりだったでしょ?
好きでもない子を好きだと思い込もうとして、自己暗示みたいなのをかけて思い込んで……
そういう恋愛しかしてこなかったから、そんな無理矢理作った気持ちなんかで、愛なんて伝えられないから、自分がおとーさんといっしょなんじゃないかって、思っちゃってたんだよ」
わたしは、おにーちゃんが泣き止むまで、ずっと頭を撫でてあげました。
「それに、おにーちゃんは、簡単に落とせそうな子ばっかり狙ってたでしょ?
すぐにえっちさせてくれるような。
今まで誰にも優しくされたことがないような女の子ばっかり」
「……うん、……そうかも」
「わたしはね、いつも思ってたよ?
お化粧も服装も髪型も体型も、あ、体型はね、病気とか薬の副作用とかあるかもしれないんだけど……
少なくともお化粧や服装や髪型は、努力したら誰だっていくらでもきれいになれるのに、最初から努力することを放棄して、見た目じゃなくて内面を見て、みたいな?
努力を放棄する理由に、しがみついて、すがりついて、自分はこれでいいんだって自己防衛と努力しない自分を正当化してるだけの、その内面もからっぽで何にもおもしろくない、優しさのかけらもない女の子ばっかり、どうしておにーちゃんは選ぶんだろうって」
そして、わたしは言いました。
「おにーちゃん、自分がかっこいいってこと、ちゃんとわかってないでしょ?」
おにーちゃんはまた、きょとん、とした顔をしました。
「ほ~ら~、やっぱりわかってない~!
おにーちゃんはね、わたしもそうだけど、小さい頃に嫌な思いをたくさんしてきたから、自分のことがあんまり好きじゃなくて、だから、自己評価がすごく低いんだよ?
おにーちゃんがこれまで付き合ってきた女の子は、自分は外見じゃなくて内面を見てって言ってるくせに、おにーちゃんの外見しか見てないような、うんこだよ」
わたしは、おにーちゃんの歴代彼女がみんな嫌いでした。
家に連れてきたのはふたりだけだけど、わたしに紹介したのはその他にも何人かいて、みんな同じような子ばかりでした。
だから、このとき、わたしの口は、ちょっと、というか、かなり悪くなってたんだけど、今回だけだから許してね?
「ぼくは……人目ばっかり気にして、嫌われないように、またいじめられたりしないように、人の顔色ばっかり伺って……」
「うん、知ってる。わたしが、一番近くでおにーちゃんを見てきたから。
職場でも、彼女が相手でも、言いたいことがあっても我慢して、相手の言いなりだったんだよね」
「うん……」
「おにーちゃんは優しくされたいから、優しくしたり、甘やかしたりしてただけなのに、でも、相手はいつも調子に乗ったでしょ?」
「うん」
「どうしてだか、わかる?」
おにーちゃんはわたしの問いに首を横に振りました。
「一度も人から優しくされたことがないような子が、おにーちゃんみたいにかっこいい人に、かわいいかわいいって毎日言われたら、自分はかわいいんだなって勘違いするの。
だから見た目はそのままに、どんどん調子に乗って、自慢のからっぽの内面がどんどん腐っていくんだよ。
おにーちゃんと付き合えたことが奇跡なくらいなのに、最後にはもっと上が狙えるんじゃないかって勘違いして、おにーちゃんを捨てるの」
わたしはもう、そんな風におにーちゃんを傷つけた奴らが許せなくて、仕方なくなっていました。
もし、逆の立場だったら、おにーちゃんは、もっと汚い言葉を並べてたと思います。
おにーちゃんは、溜め込むだけ溜め込んで、一度爆発したら、相手を再起不能なくらいまでに理詰めで追い込むから。
物腰柔らかなおにーちゃんを舐めてかかって、怒らせて地獄を見た人をわたしは何人も知っていました。
「きっと、あいつら、おにーちゃんを捨てた後で、みんな気づいたんじゃないかな。結局自分が誰からも相手にされないことに。
それか、本当にバカで、気づかずに今もまったく変わってないかもしれないけど」
でもわたしは、本当に一番悪いのは、わたしだということに、気づいていました。
おにーちゃんがしなくてもいい恋愛を繰り返して、本当なら傷つかなくてもよかったはずなのに、その度に深く傷ついては、どんどん自己評価を下げていくことを、止めることができなかったから。
わたしは、もっと早く、おにーちゃんに、わたしの気持ちを伝えなきゃいけなかったのです。
離ればなれになってしまう前に。
三年間も離ればなれになるくらいなら、高校をやめてでも、わたしはついていかなきゃいけなかったのです。
転校することだってできたし、少なくともおにーちゃんが一番大変だった異動してからの一年目だけは、お仕事以外の時間はおにーちゃんのそばに必ずいられるようにしなくちゃいけなかった。
おにーちゃんは絶対だめって言っただろうけど、わたしはおにーちゃんのためなら高校なんて一年遅れたって全然よかった。
わたしは、おにーちゃんが一番つらいときに、何もできなかった。
何もしようとしなかった。
わたしは、そのことを、これからもずっと後悔していくんだと思います。
でも、その後悔があるからこそ、今わたしはこうして、おにーちゃんの一番そばにいられるように、自分から幸せをつかみにいくことができました。
わたしは、この幸せを絶対に手放したりなんてしない。
二度とおにーちゃんのそばから離れない。
もう誰にも、おにーちゃんを傷つけさせない。
おにーちゃんが「結婚しよう」って言ってくれるなんて、夢にも思わなかったけど、わたしはおにーちゃんと恋人になれた日から、そう決めていたのです。
          
好きでもない子を好きだと思い込もうとして、自己暗示みたいなのをかけて思い込んで……
そういう恋愛しかしてこなかったから、そんな無理矢理作った気持ちなんかで、愛なんて伝えられないから、自分がおとーさんといっしょなんじゃないかって、思っちゃってたんだよ」
わたしは、おにーちゃんが泣き止むまで、ずっと頭を撫でてあげました。
「それに、おにーちゃんは、簡単に落とせそうな子ばっかり狙ってたでしょ?
すぐにえっちさせてくれるような。
今まで誰にも優しくされたことがないような女の子ばっかり」
「……うん、……そうかも」
「わたしはね、いつも思ってたよ?
お化粧も服装も髪型も体型も、あ、体型はね、病気とか薬の副作用とかあるかもしれないんだけど……
少なくともお化粧や服装や髪型は、努力したら誰だっていくらでもきれいになれるのに、最初から努力することを放棄して、見た目じゃなくて内面を見て、みたいな?
努力を放棄する理由に、しがみついて、すがりついて、自分はこれでいいんだって自己防衛と努力しない自分を正当化してるだけの、その内面もからっぽで何にもおもしろくない、優しさのかけらもない女の子ばっかり、どうしておにーちゃんは選ぶんだろうって」
そして、わたしは言いました。
「おにーちゃん、自分がかっこいいってこと、ちゃんとわかってないでしょ?」
おにーちゃんはまた、きょとん、とした顔をしました。
「ほ~ら~、やっぱりわかってない~!
おにーちゃんはね、わたしもそうだけど、小さい頃に嫌な思いをたくさんしてきたから、自分のことがあんまり好きじゃなくて、だから、自己評価がすごく低いんだよ?
おにーちゃんがこれまで付き合ってきた女の子は、自分は外見じゃなくて内面を見てって言ってるくせに、おにーちゃんの外見しか見てないような、うんこだよ」
わたしは、おにーちゃんの歴代彼女がみんな嫌いでした。
家に連れてきたのはふたりだけだけど、わたしに紹介したのはその他にも何人かいて、みんな同じような子ばかりでした。
だから、このとき、わたしの口は、ちょっと、というか、かなり悪くなってたんだけど、今回だけだから許してね?
「ぼくは……人目ばっかり気にして、嫌われないように、またいじめられたりしないように、人の顔色ばっかり伺って……」
「うん、知ってる。わたしが、一番近くでおにーちゃんを見てきたから。
職場でも、彼女が相手でも、言いたいことがあっても我慢して、相手の言いなりだったんだよね」
「うん……」
「おにーちゃんは優しくされたいから、優しくしたり、甘やかしたりしてただけなのに、でも、相手はいつも調子に乗ったでしょ?」
「うん」
「どうしてだか、わかる?」
おにーちゃんはわたしの問いに首を横に振りました。
「一度も人から優しくされたことがないような子が、おにーちゃんみたいにかっこいい人に、かわいいかわいいって毎日言われたら、自分はかわいいんだなって勘違いするの。
だから見た目はそのままに、どんどん調子に乗って、自慢のからっぽの内面がどんどん腐っていくんだよ。
おにーちゃんと付き合えたことが奇跡なくらいなのに、最後にはもっと上が狙えるんじゃないかって勘違いして、おにーちゃんを捨てるの」
わたしはもう、そんな風におにーちゃんを傷つけた奴らが許せなくて、仕方なくなっていました。
もし、逆の立場だったら、おにーちゃんは、もっと汚い言葉を並べてたと思います。
おにーちゃんは、溜め込むだけ溜め込んで、一度爆発したら、相手を再起不能なくらいまでに理詰めで追い込むから。
物腰柔らかなおにーちゃんを舐めてかかって、怒らせて地獄を見た人をわたしは何人も知っていました。
「きっと、あいつら、おにーちゃんを捨てた後で、みんな気づいたんじゃないかな。結局自分が誰からも相手にされないことに。
それか、本当にバカで、気づかずに今もまったく変わってないかもしれないけど」
でもわたしは、本当に一番悪いのは、わたしだということに、気づいていました。
おにーちゃんがしなくてもいい恋愛を繰り返して、本当なら傷つかなくてもよかったはずなのに、その度に深く傷ついては、どんどん自己評価を下げていくことを、止めることができなかったから。
わたしは、もっと早く、おにーちゃんに、わたしの気持ちを伝えなきゃいけなかったのです。
離ればなれになってしまう前に。
三年間も離ればなれになるくらいなら、高校をやめてでも、わたしはついていかなきゃいけなかったのです。
転校することだってできたし、少なくともおにーちゃんが一番大変だった異動してからの一年目だけは、お仕事以外の時間はおにーちゃんのそばに必ずいられるようにしなくちゃいけなかった。
おにーちゃんは絶対だめって言っただろうけど、わたしはおにーちゃんのためなら高校なんて一年遅れたって全然よかった。
わたしは、おにーちゃんが一番つらいときに、何もできなかった。
何もしようとしなかった。
わたしは、そのことを、これからもずっと後悔していくんだと思います。
でも、その後悔があるからこそ、今わたしはこうして、おにーちゃんの一番そばにいられるように、自分から幸せをつかみにいくことができました。
わたしは、この幸せを絶対に手放したりなんてしない。
二度とおにーちゃんのそばから離れない。
もう誰にも、おにーちゃんを傷つけさせない。
おにーちゃんが「結婚しよう」って言ってくれるなんて、夢にも思わなかったけど、わたしはおにーちゃんと恋人になれた日から、そう決めていたのです。
          
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