ディスカウントショップで兄がわたしを18禁コーナーに連れていこうとしています。

雨野美哉(あめの みかな)

再び、時は少し遡り、2020/08/11 前編

その日、わたしはおにーちゃんにドライブに誘われて、わーい! わーいわーい! と、朝から大はしゃぎしていたのです。

ですが……

まったく走ったことのない道で、現在おにーちゃんが夢中になっているという、退廃的な被写体を見つけては車を止めて写真を撮るという、強制イベントが発生したんですけど!!


暑い! 車から降りたくない!!


暑すぎて、写真とか動画とか撮影してる途中で、

「スマホ本体の温度上昇により、カメラアプリを強制終了します」

ってなったし!!

汗でブラが透けてきたし!!

おにーちゃんのバカー!

バカバカバカバカ!! あなるガバガバ!!!


「いっぱい写真撮ったし、もう帰ろ?」

「だめだ……これじゃ、まだ全然足りない」

「え!? 数十枚はあるよ? 百枚近くあるかも」

「最終的に、ケイゾクとかスペックのオープニングみたいな動画を作りたいから、たぶん一秒間に2、3枚は使う」

「そ……そうなんだ……ちなみに、その動画で使う歌? 曲? は何分?」

「2分弱……かな?」


360枚必要だと判明した!!



最終的に着いた場所は、おにーちゃんがついこの間まで住んでたレオパレス……

退去の手続きはしたけれど、一応まだおにーちゃんの部屋でフィギュアとか服とか荷物が大量にまだ残ってて、8月末までに完全退去って形らしく、荷物を車に運び込むお手伝いをさせられるという……


あのね、おにーちゃん、わたし今日、白いワンピースだから、ブラがもう完全にスケスケだからね?

っていうか、かわいい妹が、きっとなんだかんだで汗をかくだろうと見越して
わざとブラが透けるように白いワンピースに水色の下着上下を選んだんだから、ちょっとはこっち見ろー!!

ドキドキしろーー!!!


……まじで一回も見てくれないんだけど。
気づいくれてすらいないみたいなんだけど……

女の子の努力って、無駄に終わることが多いよね……


大体荷物を車に積みおわって、

「じゃあ帰りも、写真いっぱい撮ろうぜ」

「ちょっとほんと、まじで勘弁して……」

「なんでだよ~、いいだろ~」

という、やりとりをしつつ、ふたりで部屋の最終チェックをしていたら、すごいお方がまだ部屋の壁にいらっしゃったのです。

それは、お金持ちの家のリビングとか応接間とかの壁に飾られているイメージの鹿とかの生首のはく製(?)みたいな感じで飾る、エヴァンゲリオン初号機さんの生首でした。


おにーちゃんは、車のボンネット(っていうのかな? 運転席と助手席の前の、蓋(?)を開けたら、中にエンジンとかある……)そこに、高級車についてるエンブレムみたいに、初号機さんの生首をつけたい、と言い出したのです。


「絶対に盗まれるし、ほんとにつけたら、わたしはもうその車には乗らない……
あと、お兄ちゃんの車、軽だし、水色だから初号機は合わない」


完・全・否・定!!


したった!!!




そして、その翌朝……

「昨日撮った写真とネットで拾った写真で、作りたい動画のサンプルを作ってみた! 見てくれ!!」

「え、じゃあ、もう、これでいいじゃん……
暑い……わたし、もう行きたくない……」

「ハッハッハッ、またまたご冗談を!
我が妹はより良い創作のためには暑さなど感じぬはずだ!」



感じるわ。


          

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