ディスカウントショップで兄がわたしを18禁コーナーに連れていこうとしています。

雨野美哉(あめの みかな)

2020/08/23 「君の腎臓を売りたい」

わたしのツイッターのタイムラインに流れてくる広告で、ものすごーく完成度の高い、着物姿のリゼロのレムちゃんと俺ガイルの由比ヶ浜ちゃんのフィギュアがあって、どうしてもほしいのですが、1個? 1人? 2万円くらいするのです。

ふたりともほしい……

どうしてもほしい……


わたしは悩みに悩んだ末に、

「おにーちゃんの腎臓でも売るか……」

という結論に至ったのです。


① 兄の腎臓を売る。

② 移植が必要になったらわたしのをあげる。


ここまでだとハッピーエンド!!

だけど、


③ わたしも移植が必要になる。

④ 兄が返してくれる。


という、バッドエンドの可能性があることに気づいたわたしは、


「これは難しい問題だ……」


真剣に悩みに悩み、おにーちゃんにわたしのために腎臓を売る意志があるのかどうか、何の前振りもせず確認してみることにしたのでした。

何を言ってるのかわからないと思いますが、わたしのために腎臓を売る意志があるのかどうか、何の前振りもせず確認してみることにしたのです。


「おにーちゃん、おにーちゃんの腎臓1個と、由比ヶ浜ちゃんとレムちゃんのそれぞれ2万円くらいする着物のフィギュア、わたしにとって大切なのってどっちかな?」

「フィギュアかな~。臓器売買組織の闇医者に腎臓とりだされるときに、そこに由比ヶ浜ちゃんとレムちゃんいれてほしい」


サイコパスか。


「それって、おにーちゃんの体の中に由比ヶ浜ちゃんとレムちゃんが入るだけで、わたしにとって何の得もなくない?」

「ぼくもみかなも得をする。みかなはフィギュア買ってあげても箱から出さないじゃん? だから、箱の中にフィギュアが入ってるときと同じ重さになるようにして箱をみかなにあげる」

「もしかして箱の中に入っているのが、フィギュアじゃなくても同じ重さの箱さえあればわたしが満足すると思ってる?」

「ちがうよ、みかな。みかなはフィギュアの箱をあけないから、中に入ってるのがフィギュアなのか同じ重さの何かなのかは、わからないというシュワルツェネッガーの箱という理論」

「それ、シュワルツェネッガーじゃないし、わたしが箱をもらうときには、由比ヶ浜ちゃんとレムちゃんをいれてもらってるよね?」

「みかな、ぼくの腎臓があった場所に由比ヶ浜ちゃんとレムちゃんがいるのかどうかもまた、シュワルツェネッガーの箱の理論なんだ」


シュワルツェネッガーじゃないって言ってんだろ!!



          

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