あなたが創ったこの世界をわたしは壊したい。
エピローグ(第114.5話)
わたしの名前は雨野みかな。
もうエピローグなんていらないんじゃないかっていうくらい、突然主役の座を奪われたわたしは怒ってる。
そのことだけはどうしても伝えておく!!
なんていう冗談はさておき、その後のことを少しだけ、記しておこうと思う。
鬼頭結衣は、夏目メイを連れて、おにーちゃんから手渡された住所に向かい、加藤麻衣に会いに行った。
何も知らされていなかったメイはとても驚いて、麻衣を目の前にして逃げ出そうとしたらしかった。
そんなメイの首ねっこを結衣はつかみ、逃がさなかったそうだ。
加藤麻衣のそばには水島十和がいた。
水島十和は、夏目メイを見た瞬間に警戒し敵意をむき出しにしたようだったけれど、麻衣は「大丈夫」とだけ言ったそうだ。
麻衣には、目の前にいる山汐凛が、夏目メイであることがわかっただけでなく、彼女が以前の夏目メイではなく、結衣が言ったような「家族想いの優しい普通の女の子」になったことも一目で見抜いたという。
それだけでなく、わたしの身体に憑依しているのが結衣だということにも一目で気づいたらしい。
3人は昨年の夏以来の再会で、一晩中語り明かしても時間が足りないくらいだった。
けれど、夏目メイは、本来の自分である山汐芽衣を自ら切り離してしまっていたために、彼女に残されていた時間はわずかしかなかった。
夏目メイは本当に死期が近く、そしてそれを本人も悟っていた。
そればかりはおにーちゃんにもどうすることもできないことで、だからこそ結衣にメイを連れて麻衣に会いにいくようにさせたらしかった。
メイは涙を流しながら、ふたりに別れを告げ、小久保晴美の今度こそ残りカスと呼ぶにふさわしいものと共に消えた。
しかし、凛はまだ天岩戸に閉じ籠ったままで、代わりに芽衣が現れた。
芽衣は、夏目メイの記憶を持たず、けれどメイと同じ16歳の女の子になっていたという。
それを見届けた結衣は、わたしに身体を返してくれた。
そして、わたしは、結衣のかわりに、シュウやアリスのこと、羽衣のこと、二代目花房ルリヲのこと、彼の妹でもうひとりの加藤麻衣である二代目内倉綾音のこと、メイや結衣が伝えきれなかったことを話した。
去年の夏から、この一年の間に、いろんなことが起きた。
ここまでの物語は一年前から始まったとも言えるし、10年前にはすでに始まっていたとも言える。
けれど、加藤麻衣と夏目メイの物語はこれで終わった。
夏が来たら加藤麻衣は水島十和と、海の家を開くのだという。
夏はもうすぐそこまできている。
加藤麻衣の物語は続いていく。
けれど、その物語は、麻衣本人も、いつか目を覚ます二代目花房ルリヲも紡ぐことはないだろう。
だけど、きっと、夏目メイに代わり始まる山汐芽衣の物語と、まだ終わっていない山汐凛の物語はこれから先も誰かの手によって紡がれていく。
それがいつになるかはわからないし、わたしは二度とごめん被りたいけど。
きっと誰かが気が向いたら紡ぐことになるのだと思う。
わたしはそれを願ってる。
加藤麻衣と夏目メイの物語の登場人物のひとりになれたことは、わたしの一生の自慢になると思う。
最終章にあたる物語の語り部をまかされたことも。
途中で主役や語り部の座を奪われたりはしたけれど、それすらも今は誇らしく微笑ましい。
わたしたちの物語が、いつまでもどこまでも続いていってくれたら、それがひとりでも多くの人に読んでもらえることができたなら、夏目メイという女の子がいたことが、ひとりでも多くの人に知ってもらえたら、わたしはうれしい。
          
もうエピローグなんていらないんじゃないかっていうくらい、突然主役の座を奪われたわたしは怒ってる。
そのことだけはどうしても伝えておく!!
なんていう冗談はさておき、その後のことを少しだけ、記しておこうと思う。
鬼頭結衣は、夏目メイを連れて、おにーちゃんから手渡された住所に向かい、加藤麻衣に会いに行った。
何も知らされていなかったメイはとても驚いて、麻衣を目の前にして逃げ出そうとしたらしかった。
そんなメイの首ねっこを結衣はつかみ、逃がさなかったそうだ。
加藤麻衣のそばには水島十和がいた。
水島十和は、夏目メイを見た瞬間に警戒し敵意をむき出しにしたようだったけれど、麻衣は「大丈夫」とだけ言ったそうだ。
麻衣には、目の前にいる山汐凛が、夏目メイであることがわかっただけでなく、彼女が以前の夏目メイではなく、結衣が言ったような「家族想いの優しい普通の女の子」になったことも一目で見抜いたという。
それだけでなく、わたしの身体に憑依しているのが結衣だということにも一目で気づいたらしい。
3人は昨年の夏以来の再会で、一晩中語り明かしても時間が足りないくらいだった。
けれど、夏目メイは、本来の自分である山汐芽衣を自ら切り離してしまっていたために、彼女に残されていた時間はわずかしかなかった。
夏目メイは本当に死期が近く、そしてそれを本人も悟っていた。
そればかりはおにーちゃんにもどうすることもできないことで、だからこそ結衣にメイを連れて麻衣に会いにいくようにさせたらしかった。
メイは涙を流しながら、ふたりに別れを告げ、小久保晴美の今度こそ残りカスと呼ぶにふさわしいものと共に消えた。
しかし、凛はまだ天岩戸に閉じ籠ったままで、代わりに芽衣が現れた。
芽衣は、夏目メイの記憶を持たず、けれどメイと同じ16歳の女の子になっていたという。
それを見届けた結衣は、わたしに身体を返してくれた。
そして、わたしは、結衣のかわりに、シュウやアリスのこと、羽衣のこと、二代目花房ルリヲのこと、彼の妹でもうひとりの加藤麻衣である二代目内倉綾音のこと、メイや結衣が伝えきれなかったことを話した。
去年の夏から、この一年の間に、いろんなことが起きた。
ここまでの物語は一年前から始まったとも言えるし、10年前にはすでに始まっていたとも言える。
けれど、加藤麻衣と夏目メイの物語はこれで終わった。
夏が来たら加藤麻衣は水島十和と、海の家を開くのだという。
夏はもうすぐそこまできている。
加藤麻衣の物語は続いていく。
けれど、その物語は、麻衣本人も、いつか目を覚ます二代目花房ルリヲも紡ぐことはないだろう。
だけど、きっと、夏目メイに代わり始まる山汐芽衣の物語と、まだ終わっていない山汐凛の物語はこれから先も誰かの手によって紡がれていく。
それがいつになるかはわからないし、わたしは二度とごめん被りたいけど。
きっと誰かが気が向いたら紡ぐことになるのだと思う。
わたしはそれを願ってる。
加藤麻衣と夏目メイの物語の登場人物のひとりになれたことは、わたしの一生の自慢になると思う。
最終章にあたる物語の語り部をまかされたことも。
途中で主役や語り部の座を奪われたりはしたけれど、それすらも今は誇らしく微笑ましい。
わたしたちの物語が、いつまでもどこまでも続いていってくれたら、それがひとりでも多くの人に読んでもらえることができたなら、夏目メイという女の子がいたことが、ひとりでも多くの人に知ってもらえたら、わたしはうれしい。
          
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