あなたが創ったこの世界をわたしは壊したい。
第18話(祝え! 12年の時を経て再び紡がれ始めた物語の、通算第100話目を!!)
「ぼくたちはいなくなるわけじゃない。
パソコンを通じて、いつでも凛と話せる。
これまでよりも話しやすくなったくらいだ」
紡は言った。
おにーちゃんがそれに続く。
「今は、まだパソコンでしか彼らと話せないけど、iPhoneやスマートフォンと呼ばれる、よりパソコンに近い携帯電話も登場しはじめた。
まだ、スペックがぼくが満足するレベルに追い付いていないけれど、2年後か3年後には、たぶんパソコンだけじゃなくスマートフォンで、彼らと話せるようになる。してみせるよ。
ずっとそばで、彼らが凛ちゃんを見守ってくれるようにできる」
わたしは機械音痴で、おにーちゃんの言ったことの半分も理解できていなかったかもしれない。
けれど、
「わたしたち、親を捨てたの」
わたしにも、わたしだけが、凛に伝えられることがある気がした。
「おとーさんとおかーさんは、わたしにずっと嘘をついてた。
10年前に、おにーちゃんに言ったことをずっと後悔して、反省してるって言ってた。
わたしはそれを信じてた。
でも、それは、後悔してるふりだった。
反省してるふりだった。
おにーちゃんはそれを見破って、家を出ることにした。
だからわたしもついてきた。
わたしにとって、おにーちゃんよりも大切な人はいないから」
わたしは凛の手を握った。
「山汐さんは、いま、帰る家がないんだよね?
わたしたちも、今、家を探してるの。
だから、ここは市内にある一番大きな病院のすぐそばにあるホテル。
病院がすぐそばにあるのは、山汐さんがわたしたちといっしょにいることとは一切関係なくて、おにーちゃんの大切な友達が入院してるから」
加藤学が入院してる原因が、夏目メイだということは言わなかった。
おにーちゃんがたまに、わたしのためを思って嘘をつく意味が、わたしのために隠し事をする意味が、わたしにはこのときようやくわかった。
それを、凛が教えてくれた。
誰かの命を救うことができたり、人に何かを教えることができたり、それによってその人の考え方を変えることができたり……
何より大切に思ってくれる誰かがいる人が、今生きていることや産まれてきたことが間違いだなんてあるはずがなかった。
おにーちゃんも凛も、自分だけじゃそれがわからないなら、わたしが教えてあげたいと思った。
「家が見つかったら、山汐さんもわたしたちといっしょに住もう?
いいよね? おにーちゃん」
「最初からそのつもりだよ」
と、おにーちゃんは言った。
そして、わたしは凛の耳元に唇を近づけた。
「わたしは、どれだけおにーちゃんのことが好きでも、おにーちゃんとは結婚できないから。
もし、山汐さんが、いつかおにーちゃんのことを好きになることがあったら、結婚してもいいよ」
そしたら、わたしたち、家族になれるね。
凛にそう言った。
          
パソコンを通じて、いつでも凛と話せる。
これまでよりも話しやすくなったくらいだ」
紡は言った。
おにーちゃんがそれに続く。
「今は、まだパソコンでしか彼らと話せないけど、iPhoneやスマートフォンと呼ばれる、よりパソコンに近い携帯電話も登場しはじめた。
まだ、スペックがぼくが満足するレベルに追い付いていないけれど、2年後か3年後には、たぶんパソコンだけじゃなくスマートフォンで、彼らと話せるようになる。してみせるよ。
ずっとそばで、彼らが凛ちゃんを見守ってくれるようにできる」
わたしは機械音痴で、おにーちゃんの言ったことの半分も理解できていなかったかもしれない。
けれど、
「わたしたち、親を捨てたの」
わたしにも、わたしだけが、凛に伝えられることがある気がした。
「おとーさんとおかーさんは、わたしにずっと嘘をついてた。
10年前に、おにーちゃんに言ったことをずっと後悔して、反省してるって言ってた。
わたしはそれを信じてた。
でも、それは、後悔してるふりだった。
反省してるふりだった。
おにーちゃんはそれを見破って、家を出ることにした。
だからわたしもついてきた。
わたしにとって、おにーちゃんよりも大切な人はいないから」
わたしは凛の手を握った。
「山汐さんは、いま、帰る家がないんだよね?
わたしたちも、今、家を探してるの。
だから、ここは市内にある一番大きな病院のすぐそばにあるホテル。
病院がすぐそばにあるのは、山汐さんがわたしたちといっしょにいることとは一切関係なくて、おにーちゃんの大切な友達が入院してるから」
加藤学が入院してる原因が、夏目メイだということは言わなかった。
おにーちゃんがたまに、わたしのためを思って嘘をつく意味が、わたしのために隠し事をする意味が、わたしにはこのときようやくわかった。
それを、凛が教えてくれた。
誰かの命を救うことができたり、人に何かを教えることができたり、それによってその人の考え方を変えることができたり……
何より大切に思ってくれる誰かがいる人が、今生きていることや産まれてきたことが間違いだなんてあるはずがなかった。
おにーちゃんも凛も、自分だけじゃそれがわからないなら、わたしが教えてあげたいと思った。
「家が見つかったら、山汐さんもわたしたちといっしょに住もう?
いいよね? おにーちゃん」
「最初からそのつもりだよ」
と、おにーちゃんは言った。
そして、わたしは凛の耳元に唇を近づけた。
「わたしは、どれだけおにーちゃんのことが好きでも、おにーちゃんとは結婚できないから。
もし、山汐さんが、いつかおにーちゃんのことを好きになることがあったら、結婚してもいいよ」
そしたら、わたしたち、家族になれるね。
凛にそう言った。
          
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