あなたが創ったこの世界をわたしは壊したい。
第30話(第74話)
「わたしは作り物の声に乗せて、わたしの人格そのものを、電波を使って電話相手に送ることができる。
だから、わたしは、今ここにいる。
そういうことよ」
夏目メイは言った。
「もちろん一度に全部はできないわ。
少しずつ少しずつ、通話中の携帯電話が発する電子レンジレベルの電磁波と、携帯電話自体の電気エネルギーを利用して、わたしの人格をデジタル化したプログラムを話し相手の脳に直接移していく。
パソコンで、何かソフトをダウンロードするときに似てる。拡張子も同じexeだし。
話し相手の脳がパソコンで、わたしの人格がソフト。
プログラムのすべてが話し相手の脳にダウンロードされたら、自動的にインストールが始まるから、わたしは一度電話を切る。
相手の脳の構造、知能指数かな、それによって、パソコンのスペックが違うみたいに、インストールには個人差がある。
完了したら、わたしという人格の受け皿が起動し、それと同時にその話し相手はわたしに電話をかける。
その瞬間に、わたしはその話し相手に憑依する。
だからね、さっき加藤学がわたしに電話をかけてきたときが、その電話。
その直前まで、加藤学は加藤学だった。
加藤学は最期まであなたを守ろうとした。
よかったわね」
何もよくなかった。
「ちなみに、わたしの人格の受け皿がインストールされはじめたときから、話し相手の人格もデジタル化がはじまるの。
そして、わたしの憑依と同時に、話し相手の人格は、その携帯電話の中に移る」
だから、あんたの大事な大事な恋人をなくさないようにね、と夏目メイはわたしに学の携帯電話を渡した。
「あんたは一体何がしたいの?
どれだけの人を傷つければ気が済むの?」
「難しい質問ね。
最初は、普通の女の子が羨ましくて、妬ましくて、ただめちゃくちゃにしてやりたかっただけだったんだよね」
加藤麻衣のように、だろうか。
「でも、そんな嫉妬でどれだけ人の人生をめちゃくちゃにしたところで、むなしくなるだけだってわかった。
だから、普通の女の子になりたいと思った」
城戸女学園で過ごした日々のように?
でも、また気が変わっちゃった、と夏目メイは学の顔で舌をペロリと出して笑った。
「あんたの大事な大事な恋人の頭の中をのぞいてみたんだけど、お友達のハッカーが今、わたしや凛やツムギの人格のプログラムを、パソコンで起動できるソフトを作ってるみたいね。
ハッカーの名前はシノバズ。
世界一かどうかまではわからないけど、日本一知られているハッカーよね。
ツムギなんかとは比べ物にならないくらいの技術を持ってる。
たぶん、やろうと思えば、世界各国の首脳しか知らない核ミサイルのパスワードだって手に入れられる。
世界を核の炎につつみ、終わることのない核の冬を来させられる。
それだけの力を持ちながら、やっていることは、警察への捜査協力とか、ブラッディマンデーかよって感じ。
宝の持ち腐れにも程があるわ。
たぶん、シノバズなら、パソコンでわたしたちの人格を起動できるソフトを作れる。
わたしがさっき思い付いたことを実現してくれるんじゃないかな。
世界中の人間が、多重人格になったら面白いと思わない?
それか、世界中の人間がわたしになるっていうのはどう?」
「そんなことになったら、人類はすぐに滅びるよ。
あんた、70億人もいる自分と仲良くなんてできないでしょ」
「それもそうね。
じゃあ、わたしに絶対に忠誠を誓うような人格を作ってもらうわ。
それを世界各国の要人や、国連にいる連中に憑依させる」
この女は、地球の女王にでもなりたいのだろうか。
「わたしは、憑依し続けていけば、永遠に死ぬことがない。
時間は無限にある。
だからね、羽衣。
人類が滅びるようなことをわたしがしたとしても、それはただの暇潰しなんだよ」
だから、わたしは、今ここにいる。
そういうことよ」
夏目メイは言った。
「もちろん一度に全部はできないわ。
少しずつ少しずつ、通話中の携帯電話が発する電子レンジレベルの電磁波と、携帯電話自体の電気エネルギーを利用して、わたしの人格をデジタル化したプログラムを話し相手の脳に直接移していく。
パソコンで、何かソフトをダウンロードするときに似てる。拡張子も同じexeだし。
話し相手の脳がパソコンで、わたしの人格がソフト。
プログラムのすべてが話し相手の脳にダウンロードされたら、自動的にインストールが始まるから、わたしは一度電話を切る。
相手の脳の構造、知能指数かな、それによって、パソコンのスペックが違うみたいに、インストールには個人差がある。
完了したら、わたしという人格の受け皿が起動し、それと同時にその話し相手はわたしに電話をかける。
その瞬間に、わたしはその話し相手に憑依する。
だからね、さっき加藤学がわたしに電話をかけてきたときが、その電話。
その直前まで、加藤学は加藤学だった。
加藤学は最期まであなたを守ろうとした。
よかったわね」
何もよくなかった。
「ちなみに、わたしの人格の受け皿がインストールされはじめたときから、話し相手の人格もデジタル化がはじまるの。
そして、わたしの憑依と同時に、話し相手の人格は、その携帯電話の中に移る」
だから、あんたの大事な大事な恋人をなくさないようにね、と夏目メイはわたしに学の携帯電話を渡した。
「あんたは一体何がしたいの?
どれだけの人を傷つければ気が済むの?」
「難しい質問ね。
最初は、普通の女の子が羨ましくて、妬ましくて、ただめちゃくちゃにしてやりたかっただけだったんだよね」
加藤麻衣のように、だろうか。
「でも、そんな嫉妬でどれだけ人の人生をめちゃくちゃにしたところで、むなしくなるだけだってわかった。
だから、普通の女の子になりたいと思った」
城戸女学園で過ごした日々のように?
でも、また気が変わっちゃった、と夏目メイは学の顔で舌をペロリと出して笑った。
「あんたの大事な大事な恋人の頭の中をのぞいてみたんだけど、お友達のハッカーが今、わたしや凛やツムギの人格のプログラムを、パソコンで起動できるソフトを作ってるみたいね。
ハッカーの名前はシノバズ。
世界一かどうかまではわからないけど、日本一知られているハッカーよね。
ツムギなんかとは比べ物にならないくらいの技術を持ってる。
たぶん、やろうと思えば、世界各国の首脳しか知らない核ミサイルのパスワードだって手に入れられる。
世界を核の炎につつみ、終わることのない核の冬を来させられる。
それだけの力を持ちながら、やっていることは、警察への捜査協力とか、ブラッディマンデーかよって感じ。
宝の持ち腐れにも程があるわ。
たぶん、シノバズなら、パソコンでわたしたちの人格を起動できるソフトを作れる。
わたしがさっき思い付いたことを実現してくれるんじゃないかな。
世界中の人間が、多重人格になったら面白いと思わない?
それか、世界中の人間がわたしになるっていうのはどう?」
「そんなことになったら、人類はすぐに滅びるよ。
あんた、70億人もいる自分と仲良くなんてできないでしょ」
「それもそうね。
じゃあ、わたしに絶対に忠誠を誓うような人格を作ってもらうわ。
それを世界各国の要人や、国連にいる連中に憑依させる」
この女は、地球の女王にでもなりたいのだろうか。
「わたしは、憑依し続けていけば、永遠に死ぬことがない。
時間は無限にある。
だからね、羽衣。
人類が滅びるようなことをわたしがしたとしても、それはただの暇潰しなんだよ」
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