怠惰の大罪を背負ったけど何の因果か同時に娯楽神の加護を授かったおかげで働いたら負けの無敵状態になってゲーム三昧

きゅーびー

夢を追うもの笑うもの23


 ゲームをルゼと一緒にやろうと思って色々、部屋を物色してみた。

 テレビゲームは電気が無いので却下。

 携帯ゲーム機はバッテリーで稼働するので一応持って行く。

 ボードゲームは将棋かリバーシで悩んだが、最初はルールが簡単なリバーシにした。

 ルゼには肉体が無いのでカードゲームは無理そうなので却下。

「うーん……とりあえずは携帯機とリバーシぐらいで良いかな」

 俺は自他共に認めるゲーマーだが、決してゲームが上手な訳では無いのでリバーシのようにルールが簡単なボードゲームならば初心者のルゼとも良い勝負が出来るかもしれない。

 簡単なゲームから初めてゲームそのものの面白さをルゼに伝える事が出来れば、将来的に色々なゲームを一緒に出来る。

「とりあえず行きますか!」

 意気揚々と家から転移門を使って、地下広場へ移動した。

 地下広場では英美里が鬼人娘衆のレベリングのお手伝いをしていたので邪魔しないように軽く手を振りながら、新設されたばかりのダンジョン間転移門が設置されている部屋へと入る。

 ダンジョン間転移門に触れて暴食ダンジョンを選択すると一瞬で暴食ダンジョンへと到着した。

 ドアを開けてコアルームへと入ると、昨夜と同様にベルとルゼが会話していた。

「よっす!ベルも来てたのか、今日はゲームを持ってきたから一緒にやらないか?」

「よっすです!マスター!」

「お疲れ様ですマスター様」

 軽く挨拶を交わしながら、昨夜までは無かったカーペットに靴を脱いで上がった。

「マスター、ゲームと言ってもここにはまだ電気が通って無いですよ?」

「いや、今日はボードゲームと携帯機だから電気は要らないぞ」

「それは良いですね!早速ルゼと一緒にゲームをやりましょう!」

「ルゼ、良いか?」

 断られるとは思っていないが、一応ルゼ自身の意志を確認する。

「はいマスター様」

 簡素な返事だが、了承の意思は伝わった。

「ちなみに何をやるんですか?」

「まずはリバーシからだ!とりあえず説明がてら俺と一局勝負しようぜ、ベル」

「はい!マスター!」

「ルゼは一回、俺達がやってる所を見てルールを覚えてくれ。簡単なルールだから直ぐ覚えられる筈」

「はいマスター様」

「良し!じゃあ勝負しようか、ベル!」

「負けませんよ!マスター!」



 ベルとリバーシ対決をしながら、基本のルールをルゼに説明していった。

 簡単なルールではあるが、中々に奥の深いゲームなのでベルとの熱い戦いに集中しだしてからは、あまり喋る事も無く対局は俺の負けで終わった。

「ベル強すぎ。マジで勝てる気が全くしなかった……まぁ!今回は俺の負けだな。どうだ?出来そうかルゼ?」


「はいマスター様。ルールは把握しましたので駒の操作だけはお願いします」

「ルゼもやる気満々だな!一回俺とやって勝てたら、ベルに挑戦だな!ベルはルゼの代わりに駒を置いてやってくれ」

「はいマスター!頑張って、ルゼ!」


 
「「よろしくお願いします」」


 ☆ ☆ ☆


 最初は良かった、明らかに俺が優勢だったと思う。

 けれど結果は俺の惨敗で終わった。


「リバーシをやるのが初めてのルゼにも負けるのか……」

「では、不肖ベルがマスターの仇を取りますので!見ていてください!姉より優れた妹など居ないという事を教えてあげますからね!ルゼ!」

「ベル姉様の方が優れているのは承知しています」

「……ルゼの駒の操作は俺に任せとけ!」

「「よろしくお願いします!」」

 ベルの最近のお気に入りの漫画が分かった所で姉妹対決が開始した。

 先手はベルから。


 ☆ ☆ ☆



 姉妹対決はいよいよ大詰め、序盤、中盤、と隙の無い攻めでベルが優勢だと思っていたが、終盤に差し掛かるとルゼが巻き返し勝敗は分からなくなってきた。

「ぐぬぬ……ルゼ、中々やりますね!」

「いえ、まだまだベル姉様には及びません」

 俺にはどちらが勝つのかは分からないが、ベルが唸っているのを見る限りルゼの方が優勢なのかもしれない。

 強者同士の戦いを見ても凡人の俺では何も理解出来ないのが少し寂しい。

「……集計するぞ」

 対局も終わり、白と黒分けて並べる。

 勝敗は一目瞭然だった。

「勝者ルゼ!おめでとう!強いなルゼ!」

「負けてしまいましたね!おめでとう!ルゼ」

「ありがとうございます」

 姉妹対決は妹の勝利で終わった。

「しかし、お前ら本当に強いな!お互い思考時間が全くないってのがまた凄い!」

「ありがとうございます!次はきっとマスターの仇を取ってみせますから!ちょっと練習したらまた勝負しようねルゼ!」

「ありがとうございます」

「良し!次は携帯機でゲームやろうぜ!皆で出来るように双六系のゲームを持ってきてるからさ!」

 その後は俺の操作で三人仲良く双六ゲームを楽しんだ。


 ☆ ☆ ☆


「ふぅ……結局ルゼの圧勝だったな!」

「まさかの二連敗で、姉としての威厳は地の底まで落ちてしまいました……次は必ずリベンジしますよ!ルゼ!」

「はい。いつでもおまちしておりますベル姉様」

「じゃあ……俺は返って寝るよ!おやすみ!」

「はい!おやすみなさいマスター!」

「おやすみなさいませマスター様」

 別れを告げて、部屋へと戻って寝に帰る。


 ☆ ☆ ☆


 帰りの道中、地下広場では英美里が一人でレベリングを行っていた。

「英美里ー!おやすみー!」

「おやすみなさいませー!ご主人様ー!」

 英美里にも別れを告げて、地下広場を立ち去った。

 最近は英美里がレベリングしてる姿を良く見かける。

 打倒千尋の為に英美里も色々と努力しているようだが、無理をしていないかが心配だ。

 英美里は人間ではないので何とも言えないが、いつ寝ているのかがとても気になる。

「まぁ英美里なら大丈夫か……にしても眠いな」


 明日は遂に超常現象対策本部の面々が合宿所に来る。

 冒険者協会の新人組も一緒に合宿を行うので多少の問題は起きるとは思うが、出来る事なら皆が仲良く切磋琢磨しあえる関係になってくれる事を祈りながら自室の布団へとダイブした。

























 「ベルも何だかんだで優しいよな……」

 勝ちを譲る事が正しいのかは分からないが、少なくともルゼがゲームに関して嫌な感情は抱いていないのはベルのおかげもあると思う。


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