怠惰の大罪を背負ったけど何の因果か同時に娯楽神の加護を授かったおかげで働いたら負けの無敵状態になってゲーム三昧
小さな発見は大きな事件1
目覚めて電話に出てから頭が回り始める。
約束を忘れていた訳じゃ無い、イベントが多くて後回しにしていたら気が付いた時には朝だったというだけの話。
頭が混乱して焦ると何をして良いかが分からなくなる。
昔働いていた会社で出張した時も上司に飲まされ、朝上司からの電話で起こされた事があった。
その時人生で初めて遅刻をした、その時は電話で上司に平謝りしてから急いで支度をして宿泊していたホテルのロビーに降りた時に上司に本気で笑われた。
作業着を着て荷物を抱えて居る姿があまりにも滑稽だったとかでは無くスーツを抱えながら作業着を着ていたから笑ってしまったのだと言われた。
その日はスーツを着て挨拶周りをする予定だったので、スーツを着て居なければならなかった。
自分の中ではスーツに着替えているつもりだったが実際には作業着を着て、着替えるべきだったスーツを手に抱えたままだったのだ、本気で焦ると人間は冷静な判断が出来なくなるという事をその時に学んだ。
上司にはまだ時間には余裕があるから着替えて来いと言われた、それから遅刻は良い事じゃ無いけど遅刻が原因で焦って失敗する方がもっと良くない事だとも教えられた。
何か失敗をしたりすると焦りが生まれて更に失敗をしてしまう事があるという事を身をもって体感させられた。
だからこそ俺は冷静に頭を落ち着かせてから千尋に返事を返す。
「あれー?今日だっけ?明日って言って無かった?ごめんごめん!勘違いしてたわー!だから今家に居ないんだよね!家に帰ったら連絡するから!それから来てくれ!ちょっと久々に遊びに出てたからさー!いやーごめん!まじごめん!折角千尋が来てくれるって言うのに勘違いしてたわ!あれだね!最悪来週とかでも良いんじゃないかな?なんか俺も何の準備も出来てないし、千尋もまだこっちに戻ってきたばっかで色々あるだろうからさ!」
「ダウト……素直に寝坊したで良いじゃん!完全に寝起きもしもしだったよ!」
「寝坊しましたごめんなさい!色々準備するからもう少し待ってくださいお願いします!」
「わかったよ……30分後ぐらいに出発するから!」
電話が切れた、俺は急いで英美里を呼ぶ。
「英美里!」
「はい!」
影から英美里が出てきた。
「今から俺の幼馴染がここに来る!言うの遅れてごめん!だから急いで準備しないとマズイ!……俺は何をすれば良いんだ?」
頭が全く回っていない、自分が何をすれば良いかが分からない。
「まずは落ち着いてシャワーを浴びてから身支度を整えてはどうでしょうか?」
「そうだな!そうする!」
急いでシャワーを浴びに行った、シャワーを浴びると大分頭が冴えてきた。
「英美里達の事がバレないようにしないとな……」
服を着替えながら一人呟いた。
「バレると何か問題があるのですか?」
「いやいや問題しかないよ」
「幼馴染の方ならば事情を説明すれば協力して頂けるかもしれませんよ?いずれは外部の人間に協力して頂かねばならない事も起きるかもしれませんので、今のうちに協力者を抱え込むのは良い事だと思います」
確かに英美里の言う通り、外部の人間に協力者が居た方が良いのは分かる。
でもそれは千尋にリスクがあり過ぎる、俺達は最悪<怠惰ダンジョン>に引き籠ればある程度の事はカバー出来る、だが千尋はそうじゃない。
千尋の安全を考慮するならここへ入れない事が最善なのも分かってる、でもそれは俺には出来ない。
最近は連絡を取って無かったとはいえ幼馴染で俺の両親とも妹とも仲が良かったし、俺も千尋のおじさんとおばさんとは仲良くさせて貰ってたしお世話にもなった。
両親が死んだ時も親戚でも無いのに色々手伝ってくれたし、今まで俺が受けた恩は大きい。
その受けた恩を仇で返すような事があってはならないし、ましてや両親の為に線香を上げにくると言ってくれる人を俺は蔑ろには出来ないししたくない。
世界が変わっても俺自身の本質が変わったわけじゃない、甘い考えだという事も理解できるけど俺の中で譲れないものもある。
「伝えるべきかどうか……」
事情を説明すれば千尋が協力してくれるの間違いない、これは今までの付き合いと信頼から断言できる。
だからこそ千尋を巻き込んで良いかが分からない。
「ベル様に相談されてはどうですか?」
「そうだな……」
『ベル、おはよう今良いか?』
ベルに念話を掛けた。
『はい、マスター大体の事情は把握しています。千尋さんに事情を説明するかどうかですよね?』
話が早くて助かる、相変わらず優秀だと感心するがどうも違和感があった。
『千尋って名前何でしってるんだ?』
千尋の名前を出した記憶が無い。
『……まぁそれは今は良いじゃないですか!』
英美里を見る、今日も笑顔がとても可愛い。
「聞いてたの?」
「何をでしょうか?」
「俺が部屋で喋ってる事」
「聞いていたというのは間違いですよ?聞こえてしまったというのが正しい解釈だと思います!メイドの耳は地獄耳ですから!」
「ジーザス!……まぁ良い、困る事はあんまり無い筈だ」
『情報は英美里からだな?』
『それはどうですかね?ただ言える事は今の私に<怠惰ダンジョン>内で隠し事はあまり出来ませんって事ですかね!』
なにそれ怖い。
『まぁ良い、それでベルはどう思う?』
『マスターの気持ちが一番大事ではあると思いますが、私がもし千尋さんの立場であれば……私の事を考えて話さないとしても私は話して欲しいです、隠し事が何なのかは分からないかも知れませんが隠し事があるというのは分かってしまうと思いますから。それがどんな事情であれ何も話さず隠された方が私は嫌です、マスターなら逆の立場だったらどうして欲しいですか?』
逆の立場で考える、隠し事があるのは分かってしまうが話してくれない。
とてもショックを受けると思う。
そんなに俺は信用出来ないのかと、俺にも話せないような後ろめたい事があるのかと思ってしまうと思う。
本当なら隠し通すべきで、巻き込まない方が良い。
でもそうする為に縁を恩を断ち切らねばならないのならば俺は俺の我儘で事情を説明して全力で守る方が良い。
『よし!話すよ!千尋に全てを隠さずに!』
『多少は隠した方が良い事もあると思いますが……まあマスターが決めたことですからね!私の所にも連れてきてくださいよ?<念話>を付与してあげたいですし!』
『心配とか無いのか?』
『はい!マスターが話すという事はそれだけ信頼できる方だと思いますからね!私的にも友人になって頂けると嬉しいですから!』
リーダーにも事情を説明して俺の家までエルフルズを連れて来てもらった。
これで準備も覚悟も決まったし後は千尋に連絡を入れて、千尋の到着を待つだけだ。
☆ ☆ ☆
「もしもし!どうした?着いたか?」
「いや……家の場所は分かってる筈なんだけど、辿りつけないんだよね……なんでだろ?さっきからぐるぐる同じ所回ってるんだけど……まこちゃんの家ってどうやって行けば良いんだっけ?」
これは<怠惰の居城>がしっかりと仕事しているという事だろうか、なんにせよ迎えに行かなければならないようだ。
「コンビニの道を真っすぐ行って坂に入る手前で待っててくれ、そこまで迎えに行くから!」
「良くわかんないけどわかった!とりあえずそこで待ってる!」
「ちょっと迎えに行ってくるから待っててくれ!」
「「「「「はい!」」」」」
エルフルズと英美里に説明してから迎えに行く。
アバターを操作して私有地のギリギリまで行くと一台の車が止まっていた、そのコンパクトカーのハイブリッドモデルの横には千尋が立っていた。
久々に見た彼女は相変わらず綺麗だった。
「おーい!」
範囲ギリギリで声を掛けるが聞こえてないのか携帯の画面を見つめたままだった。
「電話するか……」
思った以上に仕事をしている<怠惰の居城>さんに感謝しながら電話をかける。
着信に気付き電話に応答してくれた。
「もしもし?」
「迎えにきたぞ!」
周りを見回す千尋だがこちらに気付くことは無い。
「どこ?見あたらないんだけど?」
「とりあえずそのまま真っすぐ歩いてきて!」
「いやなんで?」
「いいからいいから!真っすぐ前に歩いて!そうそう!もうちょっと!」
千尋が目の前まで歩いてきた、手を伸ばせば触れられる距離まで来たところで俺は千尋の腕を掴んだ。
「きゃっ!何っ!」
驚いて少女のような悲鳴を上げる千尋に声を掛ける。
「よう!久しぶり!見えてる?」
「いや見えてるけど……急に現れて腕掴むからビックリしちゃったよ!なにこれ?どういう事?」
「まぁまぁ!詳しい事は家に着いてから説明するから!車でこっちまで来てくれ!」
色々腑に落ちない様子だったが大人しく車に戻っていった。
今度は大丈夫なようで車のまま俺の側まで来て停車する。
助手席に乗り込み再び挨拶を交わす。
「久しぶり!このまま俺ん家まで行ってくれ!」
「久しぶり……葬式以来ね……でもあの時より顔つきが良くなってる!あの時はこのまま死んじゃうんじゃ無いかって心配になるような顔してたから元気になったみたいで安心した!」
「そっか心配かけたな……でももう大丈夫!店長とか千尋のおじさんおばさんにも随分助けてもらったからな!」
「そうね!あんまり心配させないでよ?まこちゃんが辛い顔してるとこっちまで辛くなっちゃうんだから!」
「……本当にありがとう!」
「畑も田んぼも一人でやってんの?」
畑を見て千尋が聞いてきた。
「いや、俺は何もしてないよ」
「でもなんか植えられてるし、果樹もいっぱい植わってたけど?」
「まぁ、その辺も家に着いてから話すよ!」
「……りょーかい」
渋々納得したように返事を返してくれる千尋に感謝していると家の前まで辿り着いた。
「着いた!とりあえず家に上がって線香でもあげてくれよ」
「えぇ……それとこれ、お父さんとお母さんから」
千尋が地元の銘菓を手渡してくれる。
「わざわざありがとう!これ好きなんだよね!おじさんとおばさんにもありがとうって言っておいてくれ!」
「それは直接言ってあげて!最近会って無いからって心配してたんだよ?」
「そっか……落ち着いたら道場にも顔だすよ!」
二人で並んで玄関まで歩いて行く。
玄関を開くとそこには6人のメイドが居た。
「「いや誰だよ!」」
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