元天才選手の俺が同級生の女子野球部のコーチに!
みんなで練習!
スポーツテストも終わり、お互いに負けたくないという勝負も終わってみんな仲良さそうにクールダウンをしていた。
この後はなんか班に分かれてこの施設の中でお宝探しゲームとかがあるらしいが、これは蓮司とほかの男子達とゆーるく遊ぼうと決めていた。
これが思ったよりも難しく、1番大変なのは施設が広い。
俺達も最初はバカにしていたが、やれば面白く最後の方は必死になってやっていた。
野球部の子達とも会ったがみんな楽しそうに宝探しに夢中だった。
「夏実、体調とかは悪くない?」
「あ、東奈くん。心配させちゃったよね?スタミナなら勝てるかもって思って無茶し過ぎちゃって…。」
「俺が本気でやれと言ったからね。けど、あの気迫は評価するけど自分の限界もちゃんと見極められるようにね?」
「うん!心配かけてごめんなさい。けど、来年は更にいい記録出せるように頑張るぞー!」
俺は前向きな夏実に一旦お別れをして宝探しに戻った。
結果1番宝探しで宝物を見つけたのは俺たちの班だった。
蓮司の訳分からない理論に振り回されていたら、運良く色々と謎の1部に気がついたりしてクリア出来て宝を手に入れられた。
「蓮司お前の馬鹿さのおかげで優勝だってよ。」
「こうなること分かってたんだから俺に感謝しろよー?」
ここから3時間の自由時間になった。
あんまり気の乗らない練習だったが、やると約束した以上やらないといけない。
一般生と特待生一応全員に話をしておいたが、別に強制ではないし、本格的な練習も出来ないから参加しなくても別いいと話しておいた。
「んー。10人か。思ったよりも来なかったからよかったかな?」
今日この場に来ていない人は、スポーツテスト最下位の市ヶ谷と氷は来ていなかった。
市ヶ谷は女の子と語ったりしなきゃいけないことあると断ってきて、氷は最近打撃練習させて貰えなくて今日も打撃練習は出来ないと言ったら部屋のドアを閉められた。
柳生と梨花も本格的な練習じゃなかったらやりたい練習もないし、今日は少し休むと部屋の中へ帰っていってしまった。
もう2人意外だったのが、かのちゃんと美咲もクラスのみんなと約束したことがあるからって言って断られた。
一般生3人、特待生7人、お馬鹿1人。
「桔梗ちゃんちょっとお願いがあるけどいい?」
「なに?今日の練習のこと?指導しろってこと?」
「まぁ、近いけどちょっと違うね。守備練習するけどノック打ってくれないかな?」
「あーなるほどね。その代わりに帰ったらちょっとお願いがあるからそれ聞いてくれるならいいよ?」
俺は桔梗のお願いはいつもそんなに大変なことも無いし、些細な可愛らしいことばかりなので即答でOKすることにした。
「今日は練習しようと思うけど、一般生の3人がちゃんとした練習したいと言ってきたので色んなポジションを体験してもらうから、そこのポジションの選手はちゃんと教えてあげてね。」
「「はーい!」」
練習といっても体操服にアップシューズとグローブだからあんまり激しいことも出来ない。
軽くアップを済ませた後に一般生を集め、ついでに素人のお馬鹿を連れてファーストの位置から練習することにした。
「桔梗!ノック打って!」
1年生でファーストをメインにしてる選手は桔梗しか居なかった。
4人にも一応どこのポジションが多くてどんな選手が向いてるかを説明しながら、まず俺がノックを受けて見本を見せた。
グランドといってもすごく整備している訳でもないので、結構ボールが跳ね上がったりバウンドが変わったりする。
「いったぁい!」
ポジションを変わりながらノックを受けているが、桔梗も結構上手にノックを打ってくれているけどバウンドまではどうしようも無い。
今日はみんなかなり動きがよく、ショートバウンドでもイレギュラーしても上手くすくいあげたりしてキビキビ守備をこなしている。
一般生も何か勘違いしているのだろうが、特待生の1年生でも簡単に3年生たちに混ざって練習することは出来ない。
今は桔梗とかのちゃんと梨花だけがレギュラー達と混ざって練習させてもらっている。
調子が悪かったり、簡単にミスを連発するようじゃすぐに基礎練習のグルーブに戻されるだろう。
白星にはそういう制度はないが、俺は一軍、二軍、三軍と位置づけている。
一軍がレギュラー、ベンチ入りを期待されているメンバーがグランドをしっかりと使って練習をする。
二軍もグランドを使って練習するが、あくまでもレギュラーとベンチ入りのメンバーの邪魔をしないように練習をするのが二軍で、調子が良ければ一軍の調子の悪いメンバーと交換というのはよくある。
三軍はそういうレベルには無い選手たちがいる。
もちろん2年生にもそういう選手たちもいたし、1年生にも現に4人、5人いる。
後は怪我をして怪我をしていない箇所を鍛えたり、調子が悪いを通してスランプになった選手が自分を見つめ直したり、1から新しいことに挑戦するところみたいなイメージだ。
俺は主にいまは三軍の様子を見てあげている。
7.8割はほぼ雑用係にされているが…。
「桔梗ー!外野にもノック打ってくれんとー?暇っちゃけど!」
内野を回りながら守備をしておいていたら、外野陣から不満の声が出ていた。
桔梗が俺の方を見ていたから、うんうんと俺が頷くと外野にノックを打ち始めた。
「夏実の下手くそー!真後ろの飛んだボールを前向いたまんま追ってたら追いつけるわけないでしょー!」
「なら美咲ちゃんがやってみてよ!」
「桔梗ー!ライトにノック打って!」
桔梗は練習に飢えた我儘な選手にノックを打ってあげていたが、こっちだ、あっちじゃないとかあらゆる所から言われて少し不機嫌になったのかノックをやめた。
自分も練習したいのにノックしてもらっているという意識がみんな足りていなかったのだ。
「ちょっとみんな内野に集まってボール回しして!各ベース均一に分けて、エラーが多いところが罰としてベースランニングさせるから真剣にやってて。」
みんな渋々ボール回しを始めた。
相手がエラーしたら下手くそ!ちゃんと投げろ!とか段々険悪になりながらとボール回しをしていたが、俺は無視していた。
「桔梗、ごめんな。後でちゃんと叱っておくから機嫌直して?」
「今はもう怒ってない。けど、龍は大変なんだと思ったら少しは気持ちも落ち着いたし。」
もう怒ってなさそうなので一先ずは安心したが、今日はもう練習は切り上げて素振りでもしてくると行ってグランドに一礼をして立ち去って行った。
「おい!なに言い合いしてるんだ!」
桔梗がグランドから立ち去るのを少しだけ見送ると、ホームベース付近で何だか言い合いをしている
中に入っていった。
「野球の素人がいたらそりゃエラー多くなるのが当たり前でしょ!」
エラーした数で揉めているようだ。
そんなにベースランニングしたくないのか。
「沙依もうちにはおったけん、別にハンデとかなくない?」
「雪山さんは素人でも一応特待生なんでしょ?それなら一般生と比べるなんておかしくない?」
この言い合いにはなかなか終着点が見えなかったので、間に入ることにした。
「そんなことで喧嘩するなら今日は練習終わりで、全員でベースランニングやってもらう。」
「え!なんで?」
「野球には特待生とか一般生とかは関係ない。ベースランニングしたくないとかそういう前に、チームメイトに責任転嫁みたいなことをするのは良くない。」
あんまり納得いっていない様子だが、俺はベースランニングをやらせることにした。
「なんで私達も?特待生が勝手に揉めて喧嘩に巻き込まないでくれない?」
「なん?凛が悪いっち言いたいん?そんなこと言うんならボールくらいちゃんと捕って投げるくらいしてくれん?」
「なに!少しだけ野球出来るからって!」
凛と青島、奈良原がまた言い合いを始めた、
実践なんてしたら実力も浮き彫りになるし、特待生も一般生とは違うと思うだろう。
まぁ俺がペナルティとか言ってしまったのも良くはなかったが、桔梗のこともあり俺ももう少し思いやりを持ってと思ったがみんな分かってなかったので、はっきり言ってやるべきだった。
「ちょっと1回集まってくれ。」
みんな不機嫌そうに集まってきた。
「桔梗に礼を言った人はいるのか?俺が各ポジションを回って教えたいからノック打ってくれたんだ。彼女は練習をする為にこのグランドに来たのに、みんなの為に自分は練習せずに手伝ってくれたんだよ。」
俺の言葉を聞いて少しは思うこともあったんだろう。
今しかも桔梗はグランドから居なくなってる。
怒ってないって言っていたがみんなからしたら怒ってどこかに行ってしまったと思うだろう。
「桔梗は怒ってないって言ってたけど、少しでも悪いと思うならベースランニング10周。悪くないと思うなら道具片付けて上がっていい。」
俺はそう言い残すと自分の荷物を持って自分の部屋に戻ることにした。
グランドから出て、みんなから見えないところから様子を見ていた。
一番最初にベースランニングを始めたのは、言い合いに混ざっていなかった月成、夏実、円城寺の3人がすぐにベースランニングを始めた。
1番関係の無い3人がベースランニングを始めたら他のみんなもやらざるおえない。
しっかりとみんな10周こなした後に、グランドを整備してグランドを後にしていた。
「はぁ。課題はたくさんあるな。1つずつやって行くしかないか。」
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