元天才選手の俺が同級生の女子野球部のコーチに!

柚沙

自己紹介四!そして!





「次は私ですね!はいっ。江波夏実です!ポジションは外野手でピッチャーもたまにしてました。多分この中でビリくらいに下手っぴですけどとにかく頑張ります!絶対にへこたれないです!一緒に三年間頑張りましょう!」






今日1番の大きな声での自己紹介にみんな気合が入ってるなという表情で話を聞いていた。


このひたむきさ、野球の全てを愛する心が全員に浸透すればチームは化けるだろう。




だが、そういうプレーを見てもなかなか気付くことは難しい。


それを示してあげるには江波さんが自分に自信を持って、もっと実力をつけてみんなに注目されるようになれば分かってもらえるだろう。






江波夏実えなみなつみ


特待C+クラス


本人公称
身長158cm
体重52kg
右投右打
ポジションは主に外野手で投手も出来るが、高校で使えるようなレベルではない。




先発の投手が130以上投げられるようになっていれば、スピードの遅い江波さんをリリーフさせても面白いかもしれないが。




選手としての1番の特徴は前々から言っている献身的なプレー。
チーム完全第一に考え、プレーひとつひとつ丁寧にプレーができる。


声出し、指示出しが的確で能力があればキャッチャーとか向いていそうだが桔梗世代のメンバーの中でキャッチャーに入り込むのはさすがに無理だ。




まずはとりあえず全体的な能力の強化が必要。
江波さんは一番最初にスカウトした子なので大切に育てたいが、3年間でレギュラー争いをさせるとなるとそれ相応の練習が必要になる。




性格的なことを考えれば、彼女をベンチ入りさせてあげることが出来ればそのスキルが生かせると思う。


それもこれも俺と彼女の頑張り次第だろう。


C+特待になっているのは完全に俺の私情が挟まっていて、少しでもなにか免除してあげてくださいとお願いしたところ、学費が月々5000円安くなったらしい。
逆にここまでしか出来なくてごめんと心の中でしっかりと謝っておいた。








自己紹介最後は俺と会った時に空回りしすぎた彼女だが、反省を生かせているだろうか。










「こんちゃーッス!某は雪山沙依でござんす!」




やっぱり反省していなかった。
何が悪いかもそもそも分かっていないのかもしれない。




かのちゃんもインパクトが強いが、あれはもはや理解を諦めるレベルだからいいんだろうがこの子は微妙になんとも言えない事をやってくる。




どういう反応をしたらいいかみんな困惑していた。
その中かのちゃんだけは大ウケしていたが、それが尚更困惑を生み出していた。






「1人だけにウケたせいで尚更困ったことになったッス!」




自分でその場を説明したところでみんなクスクスと笑い始めた。




「ウチは野球ほぼ素人ッス!けど野球楽しいから頑張るッス!野球のこと色々と教えてくれると嬉しいッス。」






最後まで言い切るとほとんどの人が優しく拍手をしてくれていた。


俺は反省してない彼女に拍手をしてあげなかった。






雪山沙依ゆきやまさより




特待生Cクラス。




推定身長160cm
推定体重53kg
右投右打
ポジションは内野手だが、1年間は基本を徹底的に叩き込む。




長年の変な癖が無いので、徹底させれば2年目には少しはまともになるだろう。


野球は素人。
それに尽きるが身体能力の高さをかってスカウトをした。




C特待はこの感じだと将来に期待という感じだ。
一般生徒も一緒に全員に基礎トレーニングを徹底させよう。
地味だからなかなか精神的にくるだろうが、上手くなりたいならこれは仕方がない。




性格はともかくとして明るさと根性はありそうだ。
しっかりとシゴくのが楽しみな選手でもある。






「みんな自己紹介は終わったかな?これから3年間みんなで力を合わせて頑張りましょう!」






「「おーー!!!」」






監督が高らかに宣言するとみんな初めて会ったとは思えないくらいピッタリと返事を返した。




その後、1時間くらい色んな人を混じえて話をした。
今回は広島から来ていた西さんに付きっきりでみんなと話をできていた。




怖がる様子の子もいたが、俺が隣にいたおかげか案外ちゃんと話すことが出来てよかった。






「ねぇねぇ。プリちゃんって呼んでもいい?」




「えぇ…。プリちゃんはちょっと恥ずかしい。」






「えぇー!プリちゃんって呼んでいいって言うまで姫凛灑澄って呼ぶからねっ!」






「それはだめっ!プリちゃんでいいからやめてー!」






「あはは!プリちゃんって可愛くていいッスね!」






「あなたの名前が忘れちゃったから、とりあえずお馬鹿さんっぽいからあほちんってあだ名に決定ー!」






「それは流石に酷すぎるッス!さゆりって可愛い名前があるのに!」






月成さんがかのちゃんに捕まって初対面でいきなり困らされていた。


それに混ざろうとした雪山さんが可哀想なことにさらに酷い名前をつけられてしまっていた。




それでも何だかんだ仲良くしてそうなので放っておくことにした。






桔梗は柳生さんと王寺さんというなんというかあんまり合わなそうな3人と案外楽しそうに話していた。






俺たちはというと俺と西さんと時任さん七瀬さんの4人で話していたが、時任さんの不思議さにみんな振り回されていた。






残りの円城寺さん、江波さん、美咲という1番平和そうなところは昔からの付き合いのようにのんびりと話していた。








「みんな、今日の所は解散しましょう。このあと遊びに行ってもいいけど、遅い時間までは遊んだりしないようにしてね!」








俺たちは今日は解散することになった。


一人一人ととりあえずお別れの挨拶をして、俺はとりあえず西さんと一緒に出かけることにした。






「今日は疲れたな。龍、あんなに色んな奴をスカウトしてたとはやるな。」






「めちゃくちゃ苦労したよ。本当になんでこんなことしてるか分からないくらいには。」






「じゃけど、頑張ったんだな。ワシもチームメイトと上手くやるようには努力するなら安心せぇ。」






少しだけ丸くなったのか、俺の前だけこうなのか分からないが彼女には期待してる。








「4月からスタートだ。」










俺たちはこうして白星高校の入試が終わった。




4月から待っているものは希望だけではない。


挫折や苦悩を経験した先に9人の選ばれしレギュラーになれるのだ。


次に待っているのは数多くのライバルチーム達。




俺と彼女達はその茨の道で己に勝ち、相手に勝つことが出来るのだろうか?







「元天才選手の俺が同級生の女子野球部のコーチに!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「学園」の人気作品

コメント

コメントを書く