元天才選手の俺が同級生の女子野球部のコーチに!

柚沙

自己紹介!





専願入試当日。




俺は蓮司と桔梗と3人で待ち合わせをして専願入試に行くことにした。




蓮司は頑張って勉強して、多分専願入試なら受かると豪語していたが大丈夫なのだろうか?






「いや、こうして桔梗と龍と高校まで一緒に入れるとは思ってなかったぜ。」






「蓮司だけはまだ決まってない。私が思うに多分落ちると思う。」






「なにー!?お前たちは余裕があるからいいよな!俺はこんなに必死に勉強してきたっていうのに!」






「まぁまぁ2人ともそこまでにしてね。けど、3人でまた同じ学校に通えると俺は楽しみだし嬉しいなぁ。」






今現在、本当の友人は桔梗と蓮司の2人だけだった。


その2人とまた3年間一緒に学校に通えるのは心の底から楽しみにしていた。






白星高校に来るのはスカウトを始める前にチームをチェックした時以来だったか。




そう考えると9ヶ月くらい経っているのか。




あれからこんな時間に時間が経ったとは思っていなかった。




専願入試の入口はこちらの看板の近くに少し小柄の女の子が佇んでいた。


俺はその子に見覚えがあった。
ただその子と話したことは無いことだけは確かだった。






「蓮司、桔梗ちゃんちょっと先に行ってて。」




そういうと2人は特に何も言わずに先に学校の中へ入って行ってしまった。






「はじめまして、時任氷さん。」




俺の事を待っていたのか分からないが、近くを通った時に俺に対してなにかしらの雰囲気を感じ取った。






「はじめまして、東奈龍さん。」






お互いに挨拶したのはいいものの特に話すことが思いつかなかった。
野球のことなら話すこと沢山あるのだが、今はそういう話題を話す場面ではないと分かっていた。






「よく俺の事が分かったね。隣いた蓮司と間違ってもおかしくないと思ったけど。」








「なんでだろ?ビビビーっと来た。氷のコーチはこの人だって。」






「俺は君達のプレーをずっと見てたからどんな選手かは知ってるよ。これからよろしくね。」






「うん。よろしくお願いします。…ぺこり。」




自分でぺこりと言いながらその言葉通り頭をぺこりと下げた。


少しだけ不思議な子と言っていたが、この子からはとても雰囲気を感じられるが、それがどんな感情がとても分かりずらかった。




「氷!いつの間にか居なくなったと思ったら…。」




彼女も俺がよく知っている人だ。
この子も同様に今初めて話すことになる。






「なるほどね。あんたが東奈ね!私の事は知ってると思うけど、柳生亜衣。とりあえずよろしく。」






「東奈龍です。3年間よろしくね。」






妹の亜衣の方は大人しいと思っていた。


性格の浮き沈みが激しい姉を支えてると言っていたが、普段の性格は違うのだろうか?




「まぁこんな寒いところで話しても仕方ないし、さっさと教室に行きましょ。後でどうせ話すだろうし。」






結構サバサバしてるんだなという印象だった。
それくらいが俺も丁度いいかなと思っていた。






「また後でね。…ふりふり」




ふりふりは手を振るという擬音なんだなと思いながら、俺も手を振って一旦別れた。




教室に入るとほとんど女の子ばっかりだが、同じ学校の蓮司と桔梗と並んでおり俺がその後ろだった。




教室には何人か知っている人がもう予め席に座っていて、入ってきた俺の事を見て軽く手を振ってくる子、軽く会釈だけする子、にっこりと笑いかけてくる子、一瞬目が合ってすぐに目を逸らす子。






3科目のテストも終わり、野球部に入部する俺たちはテストが終わったあとに3階にある視聴覚室に呼ばれた。






「蓮司テスト大丈夫だったか?」




「思ったよりできたから後は受かってることを願うだけさ。」






「それならよかった。俺たちちょっと呼ばれてるから行ってくる。」




「おうよ。それじゃまた明日学校でな!」






蓮司はある程度テストが出来たと言っていた。


後は蓮司次第だが、学校も休んだこともないサッカー部のキャプテンも務めていたとなれば多分大丈夫だろう。






視聴覚室に入ると俺と桔梗が最後だったようだ。






「試験お疲れ様でした。私は野球部監督の天見香織です。4月から皆さんはこの白星高校で3年間で甲子園を目指すことになります。義務教育が終わり高校となると一人一人に責任が生まれて、1人の不祥事が全員にのしかかることを忘れないでください。」






天見さんの…。
いや、ここからは正式に監督になるんだ。
これからはしっかりと天見監督と呼ぶことにしよう。






高校になれば行かないという選択肢だってある。
野球部を辞めて高校も辞めようと思えば辞めることだって出来る。






「堅苦しい挨拶はここまで!みんなと私はどうしても甲子園に行きたいの!だから、一丸となって頑張っていきましょう!!」






パチパチパチ。






簡潔にそして力強く宣言した。
その気持ちを感じたのか何人かぱちぱちと拍手をしていた。




「それじゃ、ここに居る大体の人がこの高校に決めたきっかけでもある東奈龍くんから挨拶しましょう。」






まぁ自己紹介ならまず俺からだと分かっていた。
特に話す事も決めていないが、話し始めたらなんとでもなるだろう。






「はじめましての人は居ないと思いますが、とりあえずはじめまして。
この3年でみんながなりたい選手になれるように指導していきたいと思っています。
その過程でかなり厳しい練習が待ってることもあると思いますが、その時は俺の事を憎んでも嫌ってもいいです。
それを糧にして野球を上手くなって甲子園で優勝したいと思っています。
みなさんはライバルであり最大の仲間です。力を合わせて頑張っていきましょう!」






パチパチパチ!




真剣にみんな俺の話を聞いてくれて、大きな拍手をしてくれた。
彼女達の為にも俺は頑張ろうと気持ちを俺新たにした。






ここから1人ずつ自己紹介が始まるが、1人だけまだ選手としての能力を評価していなかった人がいる。






「私の名前は橘桔梗です。ポジションはファーストで一応サードも守れます。1年生からレギュラーを必ず取ってチームの勝利に貢献したいと思ってます。 3年間よろしくお願いします。」




彼女らしいシンプルな自己紹介だった。
言わないといけないことをシンプルに淡々と話していた。


レギュラーを必ずとる宣言で1部からは、おー。という声が聞こえてきたが舌打ちをした人もいた。


桔梗はそんなこと気にもしないだろう。






橘桔梗たちばなききょう




特待生Sランク


桔梗が白星高校に入ると言うまでは西さんをS特待で迎えようと考えていたが、桔梗は実力と実績ともに特待生唯一のSランクで誰の文句ないと思う。




幼馴染補正とかなく、純粋に俺から見た桔梗の今現在の能力はこんな感じだと思う。






推定171cm
63〜64kgくらい。
右投右打のファースト。






長打力 90〜95
バットコントロール 80〜85
選球眼 75
直球対応能力 95〜100
変化球対応能力 80
バント技術 60


打撃フォーム


ややオープンスタンスで、ゆったりと構えてスイングは少しだけアッパースイング気味。
インコースを打つのがめちゃくちゃ上手く、厳しい球でもフェアグランドに打ち返す技術がある。
アッパースイング気味なので、低めは強いが高めにはやや苦労している感じだ。


守備能力


守備範囲 70〜75
打球反応 90
肩の強さ 35〜40
送球コントロール 50
捕球から投げるまでの速さ 55〜60
バント処理 60
守備判断能力 90
積極的にカバーをしているか 100




走塁能力


足の速さ 40
トップスピードまでの時間 50
盗塁能力 60
ベースランニング 70〜75
走塁判断能力 90
打ってから走るまでの早さ 20〜25
スライディング 70




彼女の選手としての最大の魅力はその打撃力。
全国トップクラスの長打力と圧倒的な直球の強さを持ちながら変化球への対応も一流だ。


弱点は肩があまり強くないこと。


昔からあんまり肩が強くなく、投げ方が悪い訳では無いのだがそれがコンプレックスみたいで投手もやってみたがすぐに諦めてしまったらしい。




足もそんなに速くはない。
平均よりやや下くらいだろうか?
走塁盗塁技術はいい物を持っているのだが、如何せんそこまで足が速くないのが残念ではある。




評価にはないが、ファーストとしてのハンドリングは3年分の全国大会を見て中でも1番上手いとは思うに。


3年時の練習試合と公式戦両方で内野からの送球を捕球ミスしたことが一度もないのがその証明にはなると思う。






桔梗の話が終わり、俺の選手としての評価もしっかりとまとめた所で丁度次の人に挨拶が回った。






次はあんまり聞きたくないが、西さんの自己紹介が始まろうとしていた。









コメント

コメントを書く

「学園」の人気作品

書籍化作品