究極の魔女はダンジョン系セラピスト

流川おるたな

第一章 最終話

 皮の鎧が魔法の光に包まれ身体にフィットするまで縮まった。

 初めて魔法を見たカミュが驚きの表情を浮かべている。

「これでOKでしょ。お代は1,000ギラにまけておくわ」

「本当にそれだけで良いんですか?ありがとうございますマリムさん!」

 防具屋でサイズを合わせた特注の鎧にするには、2万ギラかかると言われていたカミュは、破格の提案にまた驚いたのだった。

 二人を見ていたレコが小さいな声で呟く。

「マリムがそんな低額でやってくれるなんて、雨でも降るんじゃないかな…」

 呟きを聞き逃さなかったマリムがレコを軽く睨む。

「私だってこんな少年からお金をむしり取るほど鬼じゃないわよ」

「へ~」 

 レコは白けたような顔をした。

 カミュが二階の部屋へ皮の鎧を戻し、キッチンに戻り三人で昼食を始める。 

「あ、そうそう。午後一で君のパーティになってくれる人を紹介するから」

「その人ってどんな人なんですか?」

 自分の初めてのパーティになる人物、気にならない方がおかしいだろう。

「それは会ってからのお楽しみということで」

 マリムはウインクして勿体ぶった。

 昼食が終わり、カミュとレコの二人で後片付けをしていると。

「チャリリーン!」

 玄関の外にある呼び出しベルを鳴らす音が聴こえた。

「はーい!お待ちください!」

 レコが応じて、手に持っていた皿をテーブルに置き玄関へ向かう。

 玄関のドアを開けると一人の杖を持った少女が立っていた。

「いらっしゃいませ。今日はどのようなご用件でしょうか?」

「あ、あのマリムさんに呼ばれて来たリーア・シェルックと言います」

 あとから玄関に来たマリムがリーアに声をかける。

「リーアいらっしゃい。遠慮はいらないわ、中に入ってちょうだい。レコはカミュを仕事部屋に来るように云って」

 マリムはそう言ってリーアと一緒に仕事部屋へ入って行った。

 程なくカミュが二人の待つ仕事部屋に現れ、リーアに気づき軽く会釈する。

 リーアの歳の頃はカミュより2,3歳上だろうか、薄い茶髪で幼く可愛らしい顔をしていた。

 マリムが二人に向けて話す。

「カミュ、彼女は1カ月前に冒険者登録をした魔法を使える冒険者よ。リーア、彼は昨日冒険者登録をしたばかりの超新米冒険者なの。これから二人はパーティを組んでダンジョンに挑むのよ」

 カミュとリーアの二人が互いを見て目が合う。

「あ、あのカミュ・ローグハートと言います!これからよろしくお願いします!」

「リーア・シェルックです。こちらこそよろしくお願いします」

 二人は顔を赤くして照れながら握手をする。

 これから二人のダンジョンへの挑戦が始まり、マリムがダンジョン系セラピストとして彼らを見守って行く。

 こうして奇想天外な物語が紡がれるのであった。
 
 第一章 完。

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