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霊能者、異世界を征く!~奴隷からの出発、魂の能力継いで下剋上。

るう

レオ

「俺は、えっと……」
「ん? お前、奴隷か? けど、冒険者の戦闘奴隷にしては貧弱だな」

ずいっと顔を寄せてきた男に、俺は仰け反るように後ずさった。
そうこうしている間に、どうやら例の商人は言いたいだけ文句を言って立ち去ったようだ。ギルドマスターがいなかったので、今日のところは引くことにしたらしい。けれど、また近いうちにやって来るに違いない。

『くそっ、アイツ……』

こっちはこっちで、おっさんが商人の後を追おうとしたが、俺にリードを掴まれている状態なので、反動でずっこけている。
頼むから落ち着いてくれ、どっちにしても今の俺にはどうにもできない。
だるんだるんの商人だけならまだしも、後ろには強そうな護衛がぴったりと控えていた。俺が掴みかかろうものなら、間髪入れず地べたに臥すことになるだろう。加えて言うなら、下手をすれば致命傷である。
気持ちは察するに余りあるが……おっさん、今はこっちを何とかしてくれよ。
言うまでもなく、鼻先数センチまで顔を寄せて、胡散臭そうに眺めてくる青年のことだ。

『ああ、そいつはドリスの弟で、レオだ。始めはことあるごとに突っかかってくる奴だったが、最後に会った頃には俺たち夫婦をちゃんと祝福してくれたよ』

コイツにも申し訳ないことをした、とティムは悔しそうだ。
話によると、義理の弟のレオも最近結婚したらしく、それもあってティムと姉の結婚にも理解を示すようになったようだ。父親から譲り受けた店を繁盛させ、いずれはおっさん家族にも店を持たせて、自分は他の町にも店舗を出そうと張り切っていたらしい。
もちろんティムが冒険者をやめることには賛成で、当然ながら最後の仕事として受けた依頼には、彼も反対していたとのことだった。

「……えっと、レオさんのことは、旅の途中にティムという冒険者に聞いて」
「おまえっ、ティムに会ったのか!? ど、どこで!」

今度はいきなり襟首をつかまれて、凄まれてしまった。うわ、目の前にスゴイ犬歯! 獣人って、犬歯すごいな……などと、悠長に構えている場合じゃない。
首っ! 首が締まってるから。自慢じゃねーが、簡単に死ねるからやめろ。

「なにをしている! その手を離せ!」

すると聞き覚えがある声がして、目の前の青年の肩を掴む手が見えた。よっぽど強い力で掴まれたのか、レオは思わず呻いて、俺をつるし上げていた手を離していた。

「痛いって、離せよ! 何だよお前、いきなり」
「なんだはこっちの台詞だ。俺の連れに乱暴していたのはお前だろう」
「……ああ、なんだ。アンタの奴隷か、それは悪いことしたな。だが、そいつには聞きたいことがあるんだ」
「聞きたいことだと?」

それから俺とレオ、ヤトにルルゥ全員が丸テーブルで顔を突き合わせていた。

「それで? マヒトは、この人の義理の兄という人を、本当に知っているのか?」
「……知っているというか」

俺はヤトと目を合わせ、それからチラリと斜め後ろに目をやった。もちろん彼には見えてはいないが、事情は昨夜話している。ヤトがどこまで理解しているかはわからないが。

「え……? ま、まさかティムのことか」
「なんだ、アンタも知ってるんじゃねえか。で、ティムはどこで何をしている? 身重の姉貴を何か月も放ったらかして、一体どこをほっつき歩いているんだ」

思わずレオがバンッと机を叩いて立ち上がったので、それをヤトが宥めようとした時――、

「よう、レオ」

後方から、そんな声とともに数人の靴音が聞こえて、それは俺たちのテーブルのすぐ横で止まった。

「相変わらず不景気な顔してんなぁ。なんでも、アイツ帰ってこないんだって? だから言っただろうが、あんな流浪の冒険者なんか信用するなってな」

大きな獣人を背後に侍らせ、その男は、まるで俺たちを威圧するようにテーブルに手を置いた。
途端にレオの鼻にはシワが寄り、今にも唸り声を上げそうな形相になる。
さっきの商人のような華美な恰好ではないが、それなりに身なりの整った男だった。育ちが良いというよりも、苦労知らずのボンといった印象だろうか。
レオの様子からして、アウェイの人物っぽいか? じゃ、もしかしてティムの話にちらっと出てきた、確か、横恋慕男の……いや、婚約者って吹いてたんだっけ?

「お前、ヨルゴ……」

レオが、まるで吐き捨てるように名を呟き、おっさんも背後で歯ぎしりしているところを見ると、間違いなさそうだ。こいつが幼稚な嫌がらせの限りを尽くしてきた、例の村長の息子ってやつなんだろう。

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