ひょんなことから未来と過去を結んじゃいました。

なんちゃってチャンプル

不思議な少女未来ちゃん



 「未来から来たから未来ちゃん?」


 空は目の前の茶色い髪の見慣れない少女をじっくりと観察する。ファッションにはあまり興味のない空ではあるが、今風のファッションではないことくらいはわかる。


 「そ、ミライって呼んで!!」


 そう言いながら、ミライは空のデスクトップの前に座り、起動ボタンを押す。


 「な、何をするんだ?」


 空はその少女にいつ襲いかかられても反撃できるように、中学時代に使っていたまま放置されている竹刀を手に取る。


 「私は空に危害を加えるつもりはないよ、どちらかというとお手伝いしに来たんだし」


 ミライはどことなくテンションが高く、キーボードをタンタンとリズム良く叩いていた。空はミライの言葉の意味を黙って考える。
 しばらくすると、ミライは空にパソコンの画面みるように指示を出す。デスクトップの画面をみるとそこには空が先ほど書いた小説が写っていた。


 「空が書いたこの小説、このタイムトラベル理論は未来では技術として生み出されているの」


 「俺って天才だったんだな」


 空は偶然作り上げた理論がまさかの正しかったという事実に少し、誇らしくなる空。その空の姿を見てハーっとため息をつくミライ


 「その技術のおかげで私は未来から来られたのだから感謝はしているけどね」


 プイッと顔を逸らすミライ、少しだけ顔が赤らんでいるのが見え、空はツンデレなのかなと考えていた。


 「それで、ミライは何をしに過去へ来たの?」


 「楽しい学生生活をもう1度過ごすため!!」


 空は言葉を失う、過去まで戻ってすることが青春のやり直しだなんてと感じたのである。


 「ということで私は時田ミライ、時田空の妹っていう設定になっているから忘れないでね」


 突然の妹発言に戸惑う空、その様子を見てミライは胸元から懐中時計を取り出した。
 チラッと見えた谷間にドキッと空、すぐさま後ろに振り返る。


 「この時計にミライちゃん道具を入れてきたんだ」


 ミライから時計を受け取り、空は時計をじっくりと観察する。少し生暖かさも感じられ、申し訳ない気持ちに包まれる空。


 「あんまり触ると危ないよ、ビーム出るし」


 「ビ、ビームだって!?」


 空は慌てて時計をミライへ放り投げる、ミライはキャッチし、また首から時計をかけ、胸元に隠す。


 「ビームは冗談だよ!!」


 「笑えねぇよ」


 空の慌てた様子を面白がって笑っているミライ。そうこうしている間に時間は22時を過ぎていた。流石にこんな時間に女の子1人で帰らせること危ないと考えた空。


 「もう夜も遅いし、女の子が1人で夜道を歩くのも危ないし送って行くよ」


 そう言いながら、改めてじっくりとミライを観察すると、顔は整っており、出るところは出ているスタイルのいい体をしているなと考える空。


 「なら、お言葉に甘えて〜」


 ミライはそういうと空の部屋から出る。空もその後をついて行く。しかし、ミライは玄関へ向かうための階段を降りずに廊下を直進する。


 「おいおい、玄関はこっちだよ」


 「も〜何言ってるの空、家族なんだから同じ家に決まってるでしょ!!」


 空は廊下の端の部屋まで急いで向かう。そこの部屋は物置として使われているはず、そう思い急いで向かった。
 しかし、廊下の端の部屋の扉にはミライの部屋と可愛らしくデザインされた少し古くなっているプレートがかかっていた。


 「なんで、なんで部屋があるんだよ、昨日までは物置だっただろ?」


 意味がわからない、昨日まで確かにその部屋は物置として使われていたはず、なのに、突然、今までずっとあったようにミライの部屋に変わっていた。


 「今日はもう遅いから寝るね、お見送りありがとうお兄ちゃん、おやすみ!!」


 質問に答えずにそう言い残し、部屋の中へと消えて行ったミライ。廊下にはポツンと取り残された空。
 元気な声でおやすみと言われたが、空の頭の処理は追いついていなく、この状況に1人だけ取り残されている自分に孤独感を感じていた。

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