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長い間透明であった旋風のような歌声
文学

連載中:15話

更新日:

長い間透明であった旋風のような歌声

  • あらすじ

     あらすじ
     
     一万年前に大洪水で海に沈んだ超古代文明、「アトランティス」。
     いくつかの嘘の物語を創作し流布する事でその姿を地球人類から目くらませた彼らは、星間移住を果たしていた。
     アトランティス航空宇宙局の探査船「バハムート」が偶然不時着した星には青空があった。
     その星と宇宙エレベーターを繋いだアトランティスは、地球人類が紀元を迎える遥か前、星の植民を果たしそこに王都を建設した。
     金星の月、「ルナベーヌス」と名付けられた星に王政を布いたアトランティスは長い間その純血を守った。
     しかし、ちょうど地球が紀元を迎える頃に起こった未知のウイルスの大流行から、アトランティスは遺伝的耐性の必要に迫られ、混血を促進するため地球人類の受け入れを始めた。その移民第一号として選ばれた記念すべき人間は名を「イエス・キリスト」と言った。
     それから1800年の後、住民同士の争いで疲弊した冥王星の宗教団体のひとつがルナベーヌスの存在を知り、支配下に収めたいと目をつけた。星の乗っ取りを企む冥王星の指導者はルナベーヌスへ特別に育成した若年者200人を送り込み異星支配の足掛かりとした。「最初の200人」と称された彼らには、氷山爆発を起こす衛星「カロン」を有する冥王星特有の鉱石「クリスタル」が託された。
     地球発祥の人類にとっては魔法とも言えるクリスタルの力を使ってルナベーヌスの占拠を目論む最初の200人はしかし、ルナベーヌスの一地方にひっそりと佇む村「コスモフレア」と関りをもったために計画の大幅な下方修正を迫られ、200年間の沈黙を余儀なくされた。そして200年の内に、冥王星の指導者は権力と命を失い最初の200人はその存在を母星にすっかりと忘れられた。
     コスモフレアには特殊な祭祀の文化があった。
     祭祀は年に一度、小さな湖の中央に浮かぶ小島に祀られた祖霊の墓を鎮魂する舞踊を目玉に執り行われ、舞踊を舞う特別な人間をコスモフレアは「祈り子」と呼び大切に育てた。
     祈り子は村の16歳から18歳の女子の中から選別され、二千年前の植民時代から一日たりとも灯を絶やさず守り抜いてきた村の神火「イーシャの火」がそれを承認した。
     20年ほど前、村にアルビノの子が生まれた。
     肌も毛も真っ白な、見るからに神性が発現した赤子は生まれながらに祈り子となることが決定づけられた。アルビノの祈り子は名を「ウサギ」と名付けられた。
     生まれながらに祈り子と宿命づけられたウサギは、200年前に外部から村にもたらされたクリスタルを巧みに操り、ちょうどイーシャの火の二千歳を記念した祭祀で披露された彼女の舞いは歴代にない美しさを誇った。
     後夜祭、ウサギはイーシャの火の前でクリスタルのエネルギーを発動した。赤、緑、青色を帯びたエネルギーが混ざり合い、見たことのない白色となった。混ざり合ったエネルギーはウサギの制御から外れ、イーシャの火を呑み込んだ。
     ウサギは泣いた。二千年続いた神火を自分が殺したのだとたくさんの涙を流した。ある特殊な遺伝子を持った家系の末裔だったウサギの涙は、イーシャの火を呑み込んだクリスタルに打ちかかり、特別に作用した。
     クリスタルは輝いた。コスモフレアにとどまらずルナベーヌスの辺りの夜を昼に変え、結集したエネルギーは一本の槍となって天を貫き宇宙に飛び出した。
     ルナベーヌスの一地方から宇宙に飛び出したエネルギーは偶然か縁起か、地球に届き南極の氷の大地を穿ち地下5900m付近に生息していた生物に直撃した。
     当代になって、日本の極地観測所がニュージーランドの土木会社と協力して南極の地下を掘れるところまで掘り地下水脈から研究用に水を採取した。イーシャの火のエネルギーを受けた生物は、その時にサンプルの水と一緒に地表へと引き上げられ運搬の振動で氷の大地に落ち、生まれて初めて大気を感じた。目も見えない世界は、生物にとってとても新鮮で少しだけ恐ろしかった。
     生物は他を捕食して吸収する能力に非常に優れていた。それはクリスタルエネルギーが与えた魔法の力だった。南極の他生物を吸収し、探査に来ていたフランス人学者まで捕食したその生物は知能を得て自らを「マザーランド」と名乗り瞬く間に南極世界に君臨した。
     ルナベーヌスには軍隊があった。せっかく植民した星で、地球のような人間同士の争いが起こらないよう組織された軍隊だった。軍隊は「アマノガワ銀河軍」と呼称され、冥王星人の襲来までルナベーヌスは彼らのおかげで長い平和を維持していた。
     コスモフレアに近いルナベーヌス東方の一都市「ノバラ」でクーデターが発生した。蜂起の首謀はノバラに潜入し、200年をかけて掌握していった冥王星人のグループだった。
     クーデターの少し前、アマノガワ銀河軍第1梯団長シリウスの下にひとりの少女が姿を現した。少

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