小さなヒカリの物語

あがごん

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のろけられた。けどなんかすがすがしい。
父さんのことは母さんにあらかた聞いた。後は自分がそれとどう向き合っていくかだ。
と、母さんは立ち上がって、
「ヒカリちゃんが起きたら、伝えるべきことは自分の口から話してあげなさいよね」
使用済みのおしぼりをおぼんに載せて、階段を降りていった。
伝えるべきこと……ね。母さんはあのことまで知ってたりするのかな。
「ヒカリ」
俺は繋いだ右手に少し力をいれて握り返した。もう離さないからと伝えるようにして。
「……ぅ……ぅん? ……こーちゃん?」
ヒカリが目を覚ました。


**************


「今日こそ俺と英人と康介とヒカリちゃんの四人でデパート行こうぜ!」
「わりぃ、今日はパスだ」
「康介つれないぞー! なぁ、英人もそう思わないか?」
「ここは康介の好きにさせてやれよ。今日だけなら俺が買い物に付き合ってやるからさ」
「ほんとか!? やっぱ持つべきものは英人だよな!」
「俺限定なのか……」
教室を出る。鈴木達には悪いことをしたなと思っている。
大切な友達の誘いを断るのはあまり好ましくない。
「ねぇ、こーちゃん」
けど、いま俺にはもっと大切な存在がいるって知ったから。
 あの戦いから三週間が過ぎた。壊れたはずの学校は次の日には修復されていて、正直驚いた。母さんに話を聞くと、討魔師協会が人を派遣して、何事もなかったようにしたらしい。いくら何でもそれは無理だろうと思ったが、結界を張って、異次元空間の学校と基本空間の学校を入れ替えた、ということだ。遂行するには大勢の討魔師を要したようで、かなり大変だったようだ。色々疑問はあるが、その点についてはあまり突っ込まないことにした。
あの後俺らはお互いの罪を打ち明けた。ヒカリの言う罪とは、俺の肩に出来たあざのことらしい。幼い時に俺がヒカリをオウムから庇って出来た痕らしくて、それのせいでオウムに狙われる体質になってしまったと言っていた。そういう体質だから異空間も見えるようになったとヒカリは思ったらしく、あの時理由を言わなかったのは、自分の罪を俺に言えなかったからだと言う。だが結果として、俺は討魔師の家系であり、そのためにそういう能力が発現したのだと分かった。だからヒカリには何の罪もないって言った。すると、でもあざのせいでオウムに狙われやすくなるんだよと返されたので、もと

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