小さなヒカリの物語
122ページ目
探すこと。あの時俺は正解を見つけられなくてここまで苦しんできた。だから今日こそは答えを見つける。人はこれをこじつけと言うだろうか。答えは、見つかるだろうか。
たぶんヒカリはあの時のことなんか覚えちゃいない。俺がそのことでどれだけ苦しんできたかなんて絶対に知らない。それなのに俺は走り出すことを選んだ。この状況、この場面、このタイミングで俺は自分の意志を持って走り出すことを決めたんだ。ゴールは必ずある。見つかる。見つけるんだ。まだ見えないけれど、この道の先に光はあって、それはきっと俺らを救ってくれると信じて。
ドサッ。ヒカリが倒れる音が後ろの方で聞こえた。込み上げてきた思いをぐっとこらえる。耐える。オウムは俺に向けて突進し始めるだろう。けど後ろは振り向かない。まだ走りきってないから。前を向くと決めたから。
「うぁっ」
足が絡まって、地面に頭からなだれ込む。オウムがすれすれの所を通過したのが見えた。転ばなかったら俺は突進を食らっていた。地面を両手両足で押して、再び俺は走り出す。
「うおおおおおおおお!」
俺はヒカリに助けられた。助けられた命を俺はどう使う? 見つけることでそれは報われるはず。校舎とグラウンドをつなぐ階段を上りきって、俺は見た。俺の目は天へと伸びる、オレンジ色の龍を見た。夕焼けに染まったそれは逃げることなく、ただそこにそびえたっていた。
やっと見つけた。と、背中に息の止まるような衝撃がはしった。力を抜いた俺の体は勢いよく吹き飛んだ。本音を言えばもう死にそう。あきらめたい。けど、何度だって俺は立ち上がってやる。ヒカリの元へ戻らなきゃならないから。
龍の近くまで足を急がせる。肺がもう機能してない。酸素が足りない。けど、あそこまでもてばなんとかなる。
そして、辿り着いた。
旋廻してくるオウムがくしくも夕陽と重なった。
俺は夕陽に、あの時の自分に、打ち勝つ。生まれ変わる。乗り越えるんだ!
「俺はここだ! ここにいる! お前は俺に全速力で向かって来い!」
慣れなくたって、射れなくたって、戦う術はあった。それが大きな代償の上になりたっているとしても俺は迷わずヒカリを救うことを選択する。
オウムが俺の方に向かってきた。ぎりぎりまで引きつけて、最後にオウム一つ分、体を横にずらす。学校を支える、中央の大きな柱がオウムによって破壊された。真っ直ぐ突っ込んだオウムの上にたくさんの大きな瓦礫が落ちて、オウムの四方八方を封じ込めた。校舎が倒壊し始める。オウムは校舎に飲み込まれ、すぐに見えなくなった。これでもう動くことは出来ないはずだ。感慨に浸ることは全身を襲う激痛が許さない。
急いで、来た道を戻る。広いグラウンドの中にヒカリの姿を見つけた。近づいて、地面に倒れたヒカリを抱きかかえる。よかった。今度はヒカリの存在を両腕で確かめられた。心なしか冷たい。
たぶんヒカリはあの時のことなんか覚えちゃいない。俺がそのことでどれだけ苦しんできたかなんて絶対に知らない。それなのに俺は走り出すことを選んだ。この状況、この場面、このタイミングで俺は自分の意志を持って走り出すことを決めたんだ。ゴールは必ずある。見つかる。見つけるんだ。まだ見えないけれど、この道の先に光はあって、それはきっと俺らを救ってくれると信じて。
ドサッ。ヒカリが倒れる音が後ろの方で聞こえた。込み上げてきた思いをぐっとこらえる。耐える。オウムは俺に向けて突進し始めるだろう。けど後ろは振り向かない。まだ走りきってないから。前を向くと決めたから。
「うぁっ」
足が絡まって、地面に頭からなだれ込む。オウムがすれすれの所を通過したのが見えた。転ばなかったら俺は突進を食らっていた。地面を両手両足で押して、再び俺は走り出す。
「うおおおおおおおお!」
俺はヒカリに助けられた。助けられた命を俺はどう使う? 見つけることでそれは報われるはず。校舎とグラウンドをつなぐ階段を上りきって、俺は見た。俺の目は天へと伸びる、オレンジ色の龍を見た。夕焼けに染まったそれは逃げることなく、ただそこにそびえたっていた。
やっと見つけた。と、背中に息の止まるような衝撃がはしった。力を抜いた俺の体は勢いよく吹き飛んだ。本音を言えばもう死にそう。あきらめたい。けど、何度だって俺は立ち上がってやる。ヒカリの元へ戻らなきゃならないから。
龍の近くまで足を急がせる。肺がもう機能してない。酸素が足りない。けど、あそこまでもてばなんとかなる。
そして、辿り着いた。
旋廻してくるオウムがくしくも夕陽と重なった。
俺は夕陽に、あの時の自分に、打ち勝つ。生まれ変わる。乗り越えるんだ!
「俺はここだ! ここにいる! お前は俺に全速力で向かって来い!」
慣れなくたって、射れなくたって、戦う術はあった。それが大きな代償の上になりたっているとしても俺は迷わずヒカリを救うことを選択する。
オウムが俺の方に向かってきた。ぎりぎりまで引きつけて、最後にオウム一つ分、体を横にずらす。学校を支える、中央の大きな柱がオウムによって破壊された。真っ直ぐ突っ込んだオウムの上にたくさんの大きな瓦礫が落ちて、オウムの四方八方を封じ込めた。校舎が倒壊し始める。オウムは校舎に飲み込まれ、すぐに見えなくなった。これでもう動くことは出来ないはずだ。感慨に浸ることは全身を襲う激痛が許さない。
急いで、来た道を戻る。広いグラウンドの中にヒカリの姿を見つけた。近づいて、地面に倒れたヒカリを抱きかかえる。よかった。今度はヒカリの存在を両腕で確かめられた。心なしか冷たい。
「小さなヒカリの物語」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
2.1万
-
7万
-
-
6,681
-
2.9万
-
-
176
-
61
-
-
66
-
22
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
5,039
-
1万
-
-
5,217
-
2.6万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
8,191
-
5.5万
-
-
2,534
-
6,825
-
-
3,152
-
3,387
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
3,548
-
5,228
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
6,199
-
2.6万
-
-
1,295
-
1,425
-
-
2,860
-
4,949
-
-
6,675
-
6,971
-
-
3万
-
4.9万
-
-
6,044
-
2.9万
-
-
344
-
843
-
-
76
-
153
-
-
6,237
-
3.1万
-
-
3,653
-
9,436
-
-
1,863
-
1,560
-
-
1,301
-
8,782
-
-
14
-
8
-
-
108
-
364
-
-
86
-
288
-
-
218
-
165
-
-
23
-
3
-
-
3,224
-
1.5万
-
-
2,629
-
7,284
-
-
2,951
-
4,405
-
-
2,430
-
9,370
-
-
408
-
439
-
-
7,474
-
1.5万
-
-
220
-
516
-
-
614
-
1,144
-
-
42
-
14
-
-
88
-
150
-
-
4,922
-
1.7万
-
-
51
-
163
-
-
34
-
83
-
-
164
-
253
-
-
614
-
221
コメント