小さなヒカリの物語

あがごん

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オウムに当てることは出来るわけ。けど、消費が大きいから、そう何発も撃てないって結論です」
「それってヒカリの力を矢に備えれば俺でも戦うことが出来るってことだよな?」
「うーん、そういうことにもなる……のかな?」
おっしゃーっ!とガッツポーズしようとしたが、まだだ。使うことが可能で終わってはいけない。大事なのは俺が使用することを許可してもらうことだ。
「もし、ヒカリ以外の人が弓を使って戦うとしたら、ヒカリ的には何本分くらい操力を回すことが出来るんだ?」
「うーんとねー、二、三発ぐらいならまだ大丈夫だと思うけど」
ヒカリは指を折って譲与可能な数を示している。
「それを俺用に回してはくれないか?」
ヒカリは俺が戦いに参加することを望んでいない。でも、昨日今日と俺が戦いを手伝う意志を見せてるんだ。さっき戦い方を教えてくれないかと言った時、ヒカリも覚悟はしてたはずだ。そして、話すよと言ったってことは承諾したと言ってもいい。
「……無茶な使い方したらすぐに取り上げるからね」
これはヒカリの遠まわしな抵抗、そして遠まわしな肯定。
「あぁ、ありがとな。俺は結果を残すべくして残そうと思う」
そう言いつつも、慢心が身を滅ぼさないよう謙虚に今日からトレーニングを実行する。
青春ドラマにありそうな、あの夕陽に向かって走れ!とか激しく励ます鬼コーチや、自転車も要らない目的に合った訓練。弓道場を借りて弓の練習をすることをそれっぽく言ってみた。
「やる気まんまんだね」
「口先だけの男にはなりたくないからな」
心の底からそう思うなら最初から何も言わなければ良かったはずだけど。




「えぇー、今から練習するの?」
「やっぱダメか?」
現在、時刻は夜の九時。俺は弓の練習をすることをヒカリに提案していた。有言実行。何か努力しなければ上達しないと思ったからだ。
「いや、いいけど……こーちゃんのお母さんは何も言わないの?」
「『もう高校生なんだから責任を持って行動すること。それさえ分かっていれば後は好きにしなさい。でもあんまり遅くなったら駄目だからね』だってさ」
高校生になったらいちいち口出さないと約束したからといって、夜九時に二人で外に出かける理由を一切聞いてこないなんてな。前々からどこか抜けてるなって感じてたけど、ここまでとは。お小言を言うのをやめることになった瞬間、一転して全面放任主義になった。高校生の立場から見ると最高の母



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