異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~
インキュア帝国 前編
「カケルさま、事前打ち合わせだと言ったのにやりすぎです……」
すまないソルテ。反省はしている。
「ソルテが魅力的過ぎるのが悪いと思うんだ」
「……そういえば、擦り合わせが必要な案件がありましたね」
「それは大変だ。出発前にすませておかないと」
「……そろそろ出発しませんとね」
何をしているんだって? もちろん事前の擦り合わせ、仕事の話だ。
「よし、今度こそ出発しよう」
謎の病に苦しむインキュア帝国を一刻も早く救わねば。
「ところでカケルさま、インキュア帝国があるのははるか遠くの未知の大陸だと聞いております。どうやって行くのですか?」
まあもっともな疑問だ。インキュア帝国は、おそらく地球で言えば南米大陸にある。空を飛べるサキュバスとはいえちょっと遠すぎるよな。
ちなみに、北米大陸に相当する地域には、すでにハーピー隊を先遣隊として送りこんで調査させているのだが、南米相当エリアは手つかずのままだった。今回は丁度良いきっかけになったと思っている。
「心配するな。今回の任務に最適な守護聖獣がいる。出でよルーラ!!」
特大の魔法陣が展開され、輝く白い羽根が舞い上がる。
原初の魔獣の一角、空の守護聖獣ガルーダのルーラを召喚。
『……ん~……主、おはようなのです?』
寝ぼけ眼のルーラが目をこすりながら抱き着いてくる。
折れそうなほどに華奢でスレンダーなのに、たわわに実った凶悪なブツが俺のまな板以外無効障壁を易々と突破して押しつけられる。
「ルーラ、乗せていって欲しいところがあるんだけどお願いできるかな?」
『お安いご用なのです。この星の全ての空は、私の庭なのです』
ルーラは、この星が誕生した頃から存在している天空の支配者。当然この星のすみずみまで知り尽くしている。
正直言えば、ルーラと情報共有してしまえば、転移も可能だけど、それじゃあつまらない。
『それでは背中に乗るのです』
背中を向けてしゃがみ込むルーラ。
……大丈夫なのはわかっているが、人型の小さい背中に乗るのは罪悪感と言うか、申し訳ない感じになるからな? ソルテも乗って良いものか困惑している。
「ルーラ、申し訳ないんだが、鳥型でたのむ。あ、宮殿が壊れない程度の大きさでな?」
『どっちでも同じなのです。仕方ない主なのです』
文句を言いながらも人型から飛竜サイズの鳥型に変身するルーラ。
十分巨大だが、ルーラの本質は十数キロもある巨大な聖鳥ガルーダだ。その気になれば羽ばたき一つで山を消し飛ばし、国を丸ごと滅ぼすことだってたやすい。
「よし、それじゃあ行こうか、ソルテ」
「はいっ!! 空の旅へ出発ですね、ふふふ。空の上で食べられるようにお弁当も用意してあります」
珍しく上機嫌ではしゃいでいるようにみえるソルテ。そういえば俺の屋敷以外で国外に出るのは初めてだって言っていたな。
空の上で食べるお弁当か……仕事とはいえ、たしかにワクワクする。そういえばルーラに乗るのは俺も初めてだ。
「おうふっ!? なんだこのもふもふな羽毛は……」
「はわわ……カケルさま、これは危険です。底なし沼です」
ルーラのSSSランクのもふもふに大興奮の俺とソルテ。これは人を駄目にする羽毛だ。高級布団やベッドの材料として少し分けてもらってもいいかもしれない。
この極上の羽毛に包まれながらの空の旅……控えめに言っても最高じゃないか。
『それでは出発するのです』
ルーラとは情報共有しているので、道案内は必要ない。到着するまで羽毛を堪能させてもらうとしようか。
「ルーラ、急ぐ必要はないからな? ゆっくり飛んでくれ」
『はいなのです』
飛び立つルーラ。わずかに浮遊感を感じた以外はほとんど変化を感じない。風も遮断されている。
「カケルさま、せっかくですから、羽毛の中でミーティングをしておきましょう」
ナイスアイデアだな、ソルテ。さすがは敏腕秘書。
『着いたのです』
「「…………」」
速い……速すぎるだろうルーラ? まだ30秒も経っていないんだが!?
『これでもゆっくり飛んだのです』
……そうだったな。人選を誤った俺が悪い。いや、俺の言い方が悪かった。
「ルーラ、この星をゆ~っくりと一周してみようか」
『ずるいのです。ルーラも一緒にミーティングしたいのです』
む……たしかにルーラだけ除け者と言うのも可哀想だな。
「出でよフリューゲル、氷の翼」
白毛のグリフォン、フリューゲルとシュヴァインたちを呼び出す。
『おおっ!! 主!! 呼んでくれて嬉しいぞ」
久しぶりに呼ばれてテンションが高いフリューゲル。
『俺は別に嬉しくないが……』
一方でテンション低めのシュヴァインと苦笑いの氷の翼メンバー。今回キタカゼは別任務だ。
「悪いんだけど俺はこれから緊急ミーティングをするんで、その間にこの辺の調査と情報収集を頼む。必要なら他のメンバーを使ってもらって構わない」
『了解したぞ主。このフリューゲルに任せろ!!』
『……緊急ミーティングねえ? どうせ主のことだからエロイことでもするつもりなんだろうな……はいはい、せいぜい頑張って調査しておきますんで、どうぞごゆっくり』
くっ……シュヴァインのやつ……人のことをエロ魔人みたいに言いやがって。
『おい主よ、ルーラだけとはずるいではないか?』
『うむ、我ら姉妹は三位一体、我もミーティングとやらに参加するぞ』
リヴァイアサンのリーヴァとベヒーモスのべステラが呼んでもいないのに現れる。
「仕方ない奴らだな。よし、ミーティング始めるか!!」
亜空間へ移動してミーティング……って、うわっ!? ミヅハ、なんで皆いるんだよ?
『あら、お兄さま、今日は亜空間で女子会をしているって言ってませんでしたっけ?』
やれやれ……これは思っていたよりハードなミーティングになりそうだ。
コメント
ノベルバー姉です
神の世界観と人間、人間の裏の世界も混じってドキドキしました。かなり引き込まれる小説でした。