異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~
可愛いリーゼロッテと魔法の国
「リーゼロッテ、来週の月曜日、予定を空けておいてくれないか?」
来たっ!! これはデートね。ふふふ、どんな予定もキャンセル祭よ。
「もちろんよ私の騎士。念のため次の日もお休みにしておくわね」
いつもより激しくされたら次の日はちょっと動けないからね。
「ああ、そこまでしなくても大丈夫だぞ。カケルノの視察に行くだけだから……ぐへっ!?」
なんか言ってたみたいだけど聞こえなかったわ。思い切り首を絞めて封殺する。
「……それで、カケルノがなんですって?」
「……せっかくだから、カケルノを視察するついでにゆっくりとデートしようか?」
「仕方が無いわね……そこまで言うなら付き合ってあげてもいいわよ。特別なんだからね?」
******
「ねえミヅハ、デートに着ていく服が欲しいんだけど……」
「ふふふ、リーゼロッテならそう言うかと思って準備してあります」
「うそっ!! さっすがミヅハ!! 大好き♡」
ミヅハが作ってくれたのは、フリフリの可愛いドレス。大きなリボンが付いていて本当に可愛いのよ。まさに思っていた通り……いいえ、思っていた以上の仕上がりだわ。
せっかく二人きりでカケルノへ行くんですもの。
街の住人にカケルノ領主夫人というものを見せつけてあげないとね。ふふっ。あれ? パレードとかした方がいいわよね? うん、手配しておかないと。
******
カケルノ視察出発当日。
「あの……リーゼロッテ? なんで俺まで正装しているんだ?」
「何言ってるの? パレードをするんだから当然でしょ」
「ぱ、ぱぱパレードっ!? 聞いてないんだけど?」
「はぁ……あのね、領主が交代したら、普通はするものなの。いくら代官を置いているからって、それぐらいはしないと人心は掴めないわよ」
「……言われてみればそれもそうだな。でも、それなら住民のみなさんにも何かお土産があったほうが喜ぶんじゃないのか? お菓子でも配ろうか?」
私の騎士のお菓子ですって!? それは良い考えね……。じゅるり。
「いい考えだと思うわ。一応お酒と簡単な料理を用意するようにマリネには連絡してあるけど……」
「……マリネに? 心配だな」
うっ……たしかに心配になってきた。あの子、事務作業は超人的だけど、そういうの苦手そうだもんね。
「ま、まあ、大丈夫。お菓子のついでに、料理と酒も用意するよ」
「悪いわね。かえって手間を増やしてしまって……」
******
カケルノ執務室
「……どうしよう。リーゼロッテ様から、パレードをするから準備よろしくって、連絡が来たんだけど」
『大丈夫、マリネなら出来るわ。自信を持って!!』
『そうそう、詳しい人に丸投げすれば良いのです』
「ありがとう、ドール、ドーラ。でも、詳しい人って……?」
『……たしかに居ませんね』
『……この町の幹部は皆牢獄送りになってしまいましたからね』
『ふふふ、お困りのようですね?』
『貴女は……ヨカゼ!?』
『久しぶりじゃない……ずいぶん自信がありそうね?』
全身黒ずくめのハーピー、ヨカゼが颯爽と登場する。
『当然です。私と王さまは切っても切れない繋がりがあるのです……ああ……こうしているだけで胸がはり裂けそう……』
『……繋がりというなら、私たちもカケルさまにこの身体を与えられた身。カケルさまの一部と言っても過言ではないのですよ?』
負けじと張り合う双子の人形たち。
『……ドール、ドーラ、人形風情が笑わせないでください。ですが、王さまに創っていただいたのは、正直羨ましいわね……』
「……それで? ヨカゼさんはパレードを知っているんですか?」
カケルとのつながりが薄いマリネが拗ねたようにたずねる。
『ふふふ、私にお任せあれ』
******
「――――なるほど、それで私のところに来たのね。任せなさい、最高のパレードにしてあげる」
「ありがとうございます!! 刹那さま」
力強く応える刹那に頭を下げるヨカゼ。
「後は食べ物とお酒……王さまのパレードなのですから、最高級のものを集めなければ!!」
******
パレード当日、カケルノ
『ようこそカケルさま、リーゼロッテさま、さあどうぞお乗りください!!』
「きゃあああ!! 素敵!! こんな乗り物初めて見たわ!! ね、私の騎士?」
「へ? あ、ああ、そうだな。おいマリネ、こんなものどうやって?」
どう見てもネズミ―ランドのパレードでキャストの人たちが上から手を振っているアレだな。滅茶苦茶キラキラしてやがる……。
「…………」
『全部ヨカゼがやったとマリネが申しております』
「は? なんでヨカゼが?」
『ふふふ、王様に喜んでいただこうと異世界風パレードをご用意しました』
「そんなこと言ったって、どうやって作ったんだこれ?」
「駆、私が作ったのよ」
「「刹那!? 何でここに!? しかもその格好!?」」
ネズミ―プリンセス顔負けのフル装備に身を包んだ刹那がそこには居た。
「約束を忘れたの? いつかネズミ―ランドをこの世界に創るんだって言ったじゃない」
「あ、ああ、たしかに……」
「今日は丁度良いチャンスだから、試作品の試験も兼ねて……ね?」
そうか……刹那、楽しみにしていたもんな。ネズミ―ランド。そろそろ本気で創るか。
「刹那……せっかくのデートだったのに。でも良いわ、なんだか楽しそうだし。ふふっ」
良かった。リーゼロッテも楽しそうだし、俺さえ恥ずかしいのを我慢すればいいんだ。
問題は料理と酒だが……どこの宮廷料理を用意したんだ? いや、めっちゃ美味そうだけど、やり過ぎじゃないのか?
「……ヨカゼ」
『はい!! 王さま!!』
うっ……そんなにキラキラした瞳で見られたら何も言えないじゃないか……。
「……よく頑張ったな。お前も一緒にパレードに加わってくれ」
『よろしいのですかっ!! 有り難き幸せっ!! 街中に黒い羽を敷き詰めますね!!』
いや……それはなんか不吉だから止めておけ。
その日、カケルノは大変な盛り上がりとなった。
なにせ宮廷顔負けの豪華な料理と名酒飲み放題。その上、見たこともないような煌びやかなパレードのショー。色とりどりのハーピー隊の美女たちが舞い踊り、今や皇帝となった領主カケルとその夫人たちを生で見ることが出来るチャンスだ。当然、住人すべてが集まったのは言うまでもない。
カケル手作りのお菓子や料理は人々を魅了し、町の新たな名物となってゆくのだが、それはもう少し先のお話。
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