異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~
二人の皇帝
邪神の因子に侵され、なおかつ悪意の魂に憑りつかれていた宮廷錬金術師の男。
彼は、名をアルケミストと言い、各地の古代遺跡の調査発掘をしていた際に、邪神の因子に憑りつかれたようだ。
発掘された隷属の首飾りを始めとした大量の禁忌の魔道具。使ってはならないとわかっていながら、因子によって増幅された錬金術師としての好奇心に勝てなかったのだろう。
そして皇帝もまた、因子の影響から、元々強かった領土拡大の野望を増幅させ、侵略戦争へと突き進んでいったようだ。
俺は一旦、異空間に戻ると、キリハさんと電車ごっこを堪能し、今度はコンスタンティアを伴い、再び皇帝と相まみえることになる。
「グリモワール帝国皇帝ビザンティヌスだ」
見た目30歳前後にみえる灰色の髪のイケメン偉丈夫。その眼力と迫力は、さすが皇帝を名乗るだけのことはある。これまでに会った王たちとは違う、獰猛な野生の肉食獣のような印象を受ける。
「カケルノ連邦帝国皇帝カケルだ」
あくまでも同格。だからこそ、あえて敬語は使わない。
「ほう……なるほど。これは敵わないな……」
両手を挙げて降参のポーズをとるビザンティヌス。どうやら、コンスタンティアの絶対零度の視線に耐え切れなかったようだ。
「カケル殿、娘のことも含めて、心より感謝する。どうやら、返しきれない恩を受けてしまったようだな……何が望みだ?」
「コンスタンティアとの結婚を認めてもらいたい。あとは貴国とも同盟関係を結べればいいと考えている。条件次第では、国際条約にも加盟してもらいたいが……」
「……わかった。コンスタンティアとの結婚は認めよう。俺としても、英雄と関係が持てるのはありがたいからな。同盟に関しても、不可侵条約なら構わない。そちらまで領土を拡げるつもりはないからな。条約に関しては、宰相に任せる。それで良いか?」
「ああ、構わない。それと、ひとつだけ忠告を。コーナン王国には手を出さないほうが良い。俺の配下の中でもとびっきり危険な奴が大勢潜んでいるからな」
「……覚えておこう」
苦笑いするビザンティヌス。まあ、これでひとまずは大丈夫だろう。
残る問題は……人身売買組織とのつながりの件だな。
「カイ、エルゼ、ソニア」
『はっ……連れてまいりました』
実は、帝国に入る際、組織の殲滅を配下たちに命じていたのだ。
カイたちが連れてきたのは、帝国側の幹部たち。複数の将軍や大臣たちが捕縛されて皇帝の前に引きずり出された。
そして、彼らを指揮していたのは、皇帝の叔父ブラウタス。
彼らのやってきた一切のことは、呼び寄せたヒルデガルドの尋問という名の透視によって、丸裸にされた。隠し金庫や、証拠書類の場所など、すべてを明らかにされては、もはや言い訳すらできない。
「……叔父上、貴方という人は……」
自分の叔父をにらみつけるビザンティヌス。ブラウタスは、皇帝を廃して、国を乗っ取るつもりだったのだ。
「くそっ……あと少しだったのに。お前のような甘い考えでは、無理だ。私なら、必ずや世界征服できたはずなのに……」
「叔父上……力だけでは、民は付いてきませんよ?」
「黙れ、若造が分かった風なことをいうな、く、くくく、まだだ、まだ終わっていないぞ、全員殺してやる……ひゃははははは!!」
ブラウタスは、最凶の力を持つ魔物へと変化しようとするが――――
「な、なせだ!? なぜ魔物化が発動しない!?」
一向に変化の兆しがみられない己の体に焦るブラウタスたち幹部連中。
「ああ、悪いなブラウタス。お前を含めて、すでに全員魔物化能力は解除してあるから」
幸いなことに、魔物化スキルの所有権が俺に移った瞬間に、全員の魔物化解除が可能となったのだ。
最悪、国民全員を虱潰ししなくてはならないかと思っていたから、本当に助かった。
結局、主犯格は全員奴隷化されて、一生表に出てくることはないとのことだ。
「すまんな、カケル殿、配下の責任は、すべて俺にある。これからも、全力で被害者の人々のために働くことを誓おう」
為政者の責任とは、結果を出すことだ。みんなが幸せになれるような国にすること。どんなに難しかろうが、それを目指すことを止めてはいけない。
「期待している。困ったことがあれば、何でも言ってくれ、俺たちはもう家族なんだからな」
「そういえば、そうだったな。とりあえず、人材が一気に減ってしまった。カケル殿には、叔父上の領地と公爵位、それから、大臣職も好きなものをやるがいい。そうだ、豊乳育成担当大臣なんかどうだ?」
「……断わる」
ふざけるな。それなら、ドブさらい担当大臣の方がマシだ。そんな大臣があるか知らないけど。
「なぜだ!? 帝国一人気のポストだぞ? 我が国では、まな板問題に悩む女性が多いからな」
マジかよ……帝国最強じゃないか!!
「それならば、俺はまな板保護管理担当大臣をやらせてくれ。俺の国では、まな板は守るべき宝石なんだ」
「そ、そうか、ならば任せる。今日からカケル殿は、まな板保護管理担当大臣だ」
ふふっ。俺の守ったものは、とてもとても素晴らしいものだったんだな。
だからさ、そんなジト目でみないでくれコンスタンティア。なんたってお前のまな板は国宝級なんだからさ。
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